結論から先に言うと
用地測量とは、土地と境界を調べて、用地取得に必要な資料と図面をつくる作業のことです。国土地理院の「作業規程の準則」は、これを作業計画から用地平面図データファイルの作成まで9つの工程に分けています。試験で数字を扱うのは面積計算で、準則は面積計算を「原則として座標法」と定めています。座標法の公式は計算問題パターン・公式一覧にもまとめてありますが、この記事では用地測量の工程と、座標法の例題、令和8年No.27の過去問に絞って書きます。
測量士補の試験で応用測量というと、路線測量の単曲線や縦断・横断の話が目立つ。ただ、準則の応用測量には路線測量・河川測量・用地測量・その他の応用測量の4つがあって、用地測量は「道路や河川のための土地を、誰からどの範囲で取得するか」を測量の側から支える部分にあたる。名前は地味だが、工程の中身は境界を確かめて、座標を出して、面積を計算するという流れで、試験でも不動産の仕事でも出会う話が詰まっている。
この記事は、準則の用地測量の章(第4章)を実際に読み、工程の順番と、各工程で何を決めているかを整理した。そのうえで座標法の面積計算を例題で解き、令和8年の過去問も確かめている。後半では、民間の確定測量や官民境界と何が違うのかを、仕入れの現場の目線で一般論として添えた。
本記事の情報について
工程の名称と条番号は、国土地理院が掲載している「作業規程の準則」の全文PDFで確かめました。例題1の数値は編集部が作ったオリジナルで、実在の土地や案件ではありません。計算はすべてPythonで検算しています。例題2は国土地理院の令和8年測量士補試験の問題で、公表された正答と一致することを確かめました。出典と、確かめられなかったことは末尾にまとめています。
1. 用地測量とは:応用測量のなかの位置づけ
準則の定義
準則第680条は、用地測量を「土地及び境界等について調査し、用地取得等に必要な資料及び図面を作成する作業」と定めている。道路をつくる、河川を広げるといった事業のために土地を取得するとき、その土地がどこからどこまでで、誰のもので、面積はいくつか、を図面と数字で示すための測量だ。
応用測量は、準則第629条で目的によって4つに分かれている。路線測量、河川測量、用地測量、その他の応用測量だ。同じ条の第2項は、建設事業に付随する測量ごとに、必要に応じてこれらを行うと書いている。つまり、道路をつくる事業なら、まず路線測量で道路の形と範囲を決め、土地を取得する段階で用地測量が動く、という関係になる。
路線測量の「用地幅杭設置測量」とは別物
ここで一つ、混同しやすい点がある。路線測量の章には「用地幅杭設置測量」という作業が入っている(第654条)。取得などに係る用地の範囲を示すため、所定の位置に用地幅杭を設置する作業だ。用地測量の章のほうは、境界を確認して座標を出し、面積を計算して図面にする作業を指す。どちらも「用地」の字が付くが、用地幅杭設置測量は路線測量の工程、用地測量は独立した応用測量の1区分で、章が違う。
この区別は試験でも意味を持つ。令和8年のNo.25では、路線測量について述べた選択肢のなかに用地幅杭設置測量の文が入っていた。その話は5節で触れる。
準則が適用されるのは公共測量
準則は、第1条第2項で公共測量に適用すると書かれている。用地測量の章も同じで、国や自治体などが計画機関になって行う測量を想定している。準則にいう計画機関は測量を計画する側、作業機関は実際に測量作業をする側のことだ。個人や会社が土地の売買のために行う測量は、この準則の適用対象としては書かれていない。この違いは6節で改めて整理する。
2. 用地測量の作業の流れ:準則の9工程
工程の一覧
準則第681条は、用地測量を次の9つに細分している。順番は条文の並びのとおりだ。
| 順 | 工程 | 準則の節(条) | 何をするか |
|---|---|---|---|
| 1 | 作業計画 | 第682条 | 区域の地形、土地の利用状況、植生の状況などを把握し、細分ごとに作業計画を作る |
| 2 | 資料調査 | 第683〜688条 | 公図等の転写、土地・建物の登記記録の調査、権利者の確認調査 |
| 3 | 復元測量 | 第689・690条 | 境界確認に先立ち、地積測量図等に基づいて境界杭の位置を確認し、亡失などがあれば復元杭を設置する |
| 4 | 境界確認 | 第691・692条 | 現地で一筆ごとに、関係権利者の立会いのもと境界点を確認し、標杭を設置する |
| 5 | 境界測量 | 第693〜697条 | 現地で境界点を測定し、座標値を求める |
| 6 | 境界点間測量 | 第698・699条 | 隣り合う境界点どうしの距離を測り、精度を確認する |
| 7 | 面積計算 | 第700・701条 | 各筆などの取得用地と残地の面積を算出し、面積計算書を作る |
| 8 | 用地実測図データファイルの作成 | 第702・703条 | 1〜7の結果をもとに用地実測図データを作る |
| 9 | 用地平面図データファイルの作成 | 第704・705条 | 用地実測図データから必要項目を抜き出し、建物などの主要な地物を測って用地平面図データを作る |
試験の対策として覚えるなら、「資料調査→復元測量→境界確認→境界測量→境界点間測量→面積計算」の順が土台になる。以下、工程ごとに準則が何を書いているかを見ていく。
資料調査:まず机の上で調べる
資料調査は、現地に行く前の下調べだ。準則は第684条で、法務局等に備える公図等の転写、土地と建物の登記記録の調査、権利者確認調査の3つに区分している。成果としては、公図等転写図、土地調査表、建物の登記記録等調査表、権利者調査表をつくる(第685〜688条)。権利者確認調査は、計画機関から貸与された資料等を基に行うとされている。
地積測量図という言葉が、次の復元測量の定義の中に出てくることにも注目したい。登記の世界でできた図面が、公共事業の測量の入口として使われているわけだ。
復元測量:杭が無ければ、まず仮杭で位置を戻す
復元測量は、境界確認の前に行う作業だ。地積測量図等に基づいて境界杭の位置を確認し、亡失などがある場合は復元杭という仮杭を設置する(第689条)。
第690条には、細かい決まりがいくつもある。収集した図面の精度や測量年度を確認すること、現地に入る前に関係権利者へ日程を通知すること、復元杭を設置する場合は事前説明を行うこと。そして、復元の作業では原則として関係権利者による立会いは行わないとされている。復元した結果が現地と食い違うときは、復元杭を設置せずに原因を調べて計画機関に報告する。この「勝手に杭を打たない」姿勢は、次の境界確認との役割分担を表している。
境界確認:関係権利者の立会いが要る工程
境界確認は、現地で一筆ごとに境界点を確認する作業だ(第691条)。第692条によると、復元測量の結果、公図等転写図、土地調査表などをもとに、関係権利者の立会いの上で境界点を確認し、標杭を設置する。立会いを求める日は事前に通知する。既に標識が設置されている境界点は、関係権利者の同意を得て、そのまま境界点にできる。
境界確認が完了すると、土地境界確認書をつくり、関係権利者全員に確認の署名等を求める(同条第5項)。この確認書は、準則の成果等の一覧(第708条)にも、境界確認の成果として載っている。
境界確認の範囲は、基本は一筆の画地だ。ただし、一筆の土地でも所有権以外の権利が設定されている場合はその権利ごとの画地、一部が異なる現況地目になっている場合は現況の地目ごとの画地に分ける、といった細かい規定もある(第692条第2項)。
境界測量:座標を出す工程
境界測量は、現地で境界点を測定して座標値を求める作業(第693条)。第694条は、近傍の4級基準点以上の基準点に基づき、放射法等により行うと定めている。見通しが悪いなどのやむを得ない場合は、補助基準点を置いてそこから測ることもできる。
トータルステーション等で観測する場合の標準は、水平角観測と鉛直角観測が0.5対回、距離測定が2回測定で、距離の較差の許容範囲は5mm。計算結果の表示単位は、方向角が秒、距離と座標値が0.001mで、座標値は1mmの位まで出す。
この工程には、用地境界仮杭の設置(第695・696条)と用地境界杭の設置(第697条)も含まれる。用地幅杭の位置以外の境界線上に杭が必要なときに、仮杭を置き、のちに同じ位置に境界杭を置き換えるという流れだ。
境界点間測量:座標で出した距離と、現地で測った距離を突き合わせる
境界点間測量は、境界測量などで隣り合う境界点どうしの距離を、トータルステーション等で測って精度を確認する作業(第698条)。第699条は、隣接する境界点間の距離を全辺について現地で測定し、座標から計算した距離と比較するように定めている。
較差の許容範囲は、距離が20m未満なら平地10mm・山地20mm。20m以上なら平地でS/2,000、山地でS/1,000(Sは距離)が標準だ。座標で出した数字と巻尺の数字が合うかを確かめて、杭の位置の信頼性を担保する工程といえる。
面積計算以降:図面と数字に落とす
面積計算は、境界測量の成果に基づき、各筆などの取得用地と残地の面積を算出して面積計算書をつくる作業(第700条)。方法は3節で詳しく見る。
用地実測図データファイルの作成は、第703条によると、境界点の座標値等を用いて作る。標準の項目は、基準点や境界点の座標値・点名・標杭の種類、面積計算表、各筆の地番・地目・土地所有者氏名、境界辺長、隣接地の地番、用地取得線、画地及び残地の面積など、13項目が並んでいる。地図情報レベルは250が標準だ。
用地平面図データファイルは、実測図の境界点の座標値などを抜き出し、現地で建物等の主要な地物を測って作る(第705条)。地図情報レベルは同じく250が標準。用地実測図に比べて、建物や工作物といった地物が入るのが特徴だ。
3. 面積計算(座標法):公式と例題
準則の定め
準則第701条は、面積計算は原則として座標法により行うと書いている。計算機で行う場合は、面積の単位は平方メートルで、位は0.000001。その位の次の位以下は切り捨てる、という決まりだ。座標値や距離を四捨五入する工程と違い、面積は切り捨てる点に目を留めておきたい。
座標法とは、多角形の頂点の座標から面積を出す計算のこと。測量では、X軸を北、Y軸を東にとる平面直角座標系を使う(準則第2条の基準)。公式は次のとおり。
2S=Σ Xi × (Yi+1 − Yi−1)
頂点を順番に並べ、各頂点のX座標に「次の点のY座標から前の点のY座標を引いた値」を掛けて合計する。S は面積。右回りでも左回りでも、順番どおりに全部足せば、答えの符号が正か負かが違うだけで絶対値は同じになる。最後は絶対値を取って2で割る。
例題1:用地取得線で、一筆を取得部分と残地に分ける
ここからは編集部のオリジナルの例題。道路の拡幅で、ある一筆の土地の道路側を取得することになった、と考える。境界点1〜5の座標値は次のとおり(平面直角座標系の値、単位はm)。
| 境界点 | X | Y |
|---|---|---|
| 1 | 0.000 | 0.000 |
| 2 | 38.000 | 2.000 |
| 3 | 41.500 | 27.250 |
| 4 | 22.750 | 31.000 |
| 5 | 1.250 | 19.500 |
1と2を結ぶ辺が道路との境界だとする。
(1)まず、この一筆全体の面積を、座標法で出す。
| 点 | Xi | Yi+1 − Yi−1 | Xi × (Yi+1 − Yi−1) |
|---|---|---|---|
| 1 | 0.000 | 2.000 − 19.500 = −17.500 | 0.000 |
| 2 | 38.000 | 27.250 − 0.000 = 27.250 | 1,035.500 |
| 3 | 41.500 | 31.000 − 2.000 = 29.000 | 1,203.500 |
| 4 | 22.750 | 19.500 − 27.250 = −7.750 | −176.3125 |
| 5 | 1.250 | 0.000 − 31.000 = −31.000 | −38.750 |
合計は 2S=2,023.9375。面積は S=2,023.9375 ÷ 2=1,011.96875 m²だ。第701条の表示単位で書けば、1,011.968750 m²となる。念のため、点1を起点に三角形に分けて外積で計算し直しても、同じ1,011.96875 m²になった。
(2)次に、用地取得線をY=6.000の直線とする。取得線より道路側(Yが小さい側)が取得部分、反対側が残地だ。取得線が、辺2〜3と辺5〜1を切る点をそれぞれQ、Rとする。
辺2〜3は、点2(38.000, 2.000)から点3(41.500, 27.250)へ向かう。Y=6.000になる位置の割合は(6.000−2.000)÷(27.250−2.000)=0.15842なので、Qの X は 38.000+0.15842×3.500=38.5545。mm単位に四捨五入して、Q(38.554, 6.000)とする。辺5〜1は、点5(1.250, 19.500)から点1(0.000, 0.000)へ向かう直線で、R の X は 1.250×6.000÷19.500=0.3846。四捨五入してR(0.385, 6.000)とする。
(3)取得部分は 1→2→Q→R の四角形。座標法で計算すると、
2S=0.000×(2.000−6.000)+38.000×(6.000−0.000)+38.554×(6.000−2.000)+0.385×(0.000−6.000)
=0+228.000+154.216−2.310=379.906
S=189.953 m²。
(4)残地は R→Q→3→4→5 の五角形で、同じ手順で 2S=1,644.0125、S=822.00625 m²になる。
取得部分と残地の和が、全体と合わないときがある
189.953+822.00625=1,011.95925 m²。(1)の全体の1,011.96875 m²と比べると、0.0095 m²だけ小さい。これは、QとRの座標を1mmの位に丸めたためだ。丸めずに厳密な交点で計算すると、取得部分と残地の合計は全体の面積に一致することも、Pythonで確かめた。
つまり、座標を丸めた後の面積どうしを足しても、丸める前の全体の面積とは、ごくわずかにずれる。試験の問題では点の座標が最初から与えられるのでこの問題は起きにくいが、用地測量では取得部分と残地の面積を別々に出す場面があり、こうした桁の扱いが現実の課題になる。このずれをどう扱うかは、計画機関の指示や発注仕様によるので、準則の条文だけでは決まらない。
例題2:令和8年 測量士補試験 No.27
次は過去問。国土地理院の令和8年測量士補試験のNo.27は、境界点A〜Dで囲まれた四角形の土地で、AとBが道路との境界になっている。道路が3.000m拡幅されて、AB と平行な新しい境界線PQが引かれる。点P・点Q・境界点C・境界点Dで囲まれた四角形の面積を、5つの選択肢(328・352・386・411・432 m²)から選ぶ問題だ。座標値は次のとおり。
| 境界点 | X(m) | Y(m) |
|---|---|---|
| A | −25.000 | −5.000 |
| B | +4.000 | −5.000 |
| C | −21.000 | +20.000 |
| D | −25.000 | +19.000 |
ABはY=−5.000の直線なので、3.000m拡幅した新しい境界線PQは Y=−2.000。Pは辺AD(X=−25.000)の上にあるので P(−25.000, −2.000)。Qは辺BC上でY=−2.000になる点で、BからCへの変化の割合は 3÷25=0.12、だから X=4.000+0.12×(−25.000)=1.000、Q(1.000, −2.000)となる。
P・Q・C・Dの座標法は、
2S=(−25.000)×(−2.000−19.000)+1.000×(20.000+2.000)+(−21.000)×(19.000+2.000)+(−25.000)×(−2.000−20.000)
=525.000+22.000−441.000+550.000=656.000
S=328.000 m²で選択肢1。国土地理院が公表した正答(No.27は1)と一致した。拡幅前の四角形ABCDの面積は410.5 m²で、選択肢4の411 m²に近い。P・Qを求めずに元の座標で計算した人が選ぶ誤りの選択肢が用意されている。
この問題の図の入った解説は、令和8年の過去問解説【第7弾】No.25〜28にもある。
4. 公式を覚えるときの注意:座標法の落とし穴
座標法でよく起きるミスを、編集部の見立てで挙げる。
1つ目は、頂点を並べる順番。ジグザグに飛ばして書くと、答えが変わってしまう。多角形の周りを一周する順で、必ず同じ向きに並べる。
2つ目は、「次の点」と「前の点」の取り違え。公式の括弧の中は(次の点のY − 前の点のY)で、順序を逆にすると符号が反転する。符号がずれたまま全項を足し引きすると、全体の値が大きくずれるので、最後に絶対値を取る前に、各項の符号が一貫しているかを確かめるとよい。
3つ目は、2で割り忘れること。公式の左辺は2Sで、S ではない。例題1でも2Sが2,023.9375、Sがその半分の1,011.96875だった。
4つ目は、座標が負の数のときの計算ミス。令和8年のNo.27のように、X座標がマイナスの問題は、符号の掛け算で落としやすい。(−25.000)×(−21.000)=+525.000のように、手順を一つずつ書き出すと落ち着いて解ける。
他の計算パターンとの関係は、前節末尾のカードの計算問題パターン・公式一覧で全体像を確かめてほしい。
5. 測量士補試験での出方
令和8年の応用測量(No.25〜28)で確かめたこと
国土地理院が公表している令和8年の問題PDFと正答PDFを開いて、応用測量のあたりを確かめた。No.25は路線測量、No.26は円曲線、No.27は面積計算(座標法)、No.28は河川測量の分野で、正答はNo.25が3、No.26が4、No.27が1、No.28が3だった。応用測量は4問で構成されている。
用地測量の章そのものが直接問われたのは、このうちNo.27。準則が「面積計算は原則として座標法」と定める第701条に対応する計算問題で、前節の例題2のとおり、点P・Qの座標を先に求める1段階が挟まる形だった。No.25は路線測量の選択肢5に用地幅杭設置測量の文があり、「設置した標杭には、測点番号、中心杭などからの距離などを表示する」と書かれていた(第655条の内容と対応する)。この問の誤りはほかの選択肢だったが、路線測量の章に用地幅杭設置測量が入っていることは、ここでも確かめられる。
他の年度については
令和8年以外の年度の応用測量の問題は、本稿を書く時点で国土地理院の問題PDFを開いて確かめていない。年度ごとにどの工程が出たかは、サイト内の年度別の過去問解説で確かめてほしい。ここで断定できるのは「令和8年は、用地測量の章に対応する問題として、座標法の面積計算が出た」ところまでだ。
対策として押さえるところ
実際の出題の型は年度で変わるので、準則の用地測量の章から、数字と順番を中心に押さえておくのが安全だ。
- 工程の順番(資料調査→復元測量→境界確認→境界測量→境界点間測量→面積計算)
- 復元測量は「関係権利者の立会いは原則として行わない」、境界確認は「関係権利者の立会い」。ここを入れ替えた文は、ひっかけとして作りやすい
- 境界測量は4級基準点以上に基づく放射法等で、座標値は0.001m(1mm)の位まで
- 境界点間測量は全辺を測定。20m未満は平地10mm・山地20mm
- 面積計算は原則として座標法。面積は0.000001 m²の位まで計算して、次の位以下は切り捨て
- 用地実測図データの地図情報レベルは250が標準
路線測量の側の話は、縦断測量・横断測量の記事と単曲線の計算の記事に分けて書いてある。
6. 仕入れ営業の目線:民間の確定測量・官民境界との違い
ここからは、不動産の仕入れの現場で用地測量の知識がどう関わるかを、一般論として整理する。個別の土地の判断は、後述のとおり専門家や役所に確かめるものだ。
用地測量と、民間の確定測量の違い
土地の売買や分筆で行う確定測量(詳しくは、確定測量と現況測量の違いを整理した確定測量の記事にある)と、用地測量は、どちらも境界を確認して座標と面積を出す点が似ている。違いは、誰のために、何のためにやるかだ。
| 用地測量(準則) | 民間の確定測量(一般論) | |
|---|---|---|
| 目的 | 公共事業の用地取得に必要な資料と図面をつくる | 売買・分筆・建築などで、土地の境界と面積を確定する |
| 発注する側 | 国・自治体などの計画機関 | 土地の所有者や買主、不動産会社など |
| 範囲 | 事業に関わる複数の筆を、まとめて扱うことが多い | 一つの土地と、その隣接地が中心 |
| 守るべき基準 | 準則(公共測量に適用) | 準則の適用対象としては書かれていない。一般には、登記に使う図面の基準に沿って作られる |
| 面積の使い道 | 取得用地と残地の面積を出し、用地取得の資料にする | 売買の面積の根拠、登記の地積など |
つまり、同じ座標法で面積を出していても、図面の行き先と、確認する相手が違う。用地測量は事業の側の事情(取得する範囲)が先にあり、民間の確定測量は土地の境界そのものの確認が先にある。
官民境界との関わり
用地測量の境界確認は、民有地どうしだけでなく、官民、所有権、借地、地上権などの境界点も扱う。実測図の項目に「官民、所有権、借地、地上権等の境界点」が並んでいる(第703条第2項)のも、その表れだ。
仕入れの現場で出会う官民境界は、道路や水路などの管理者と民有地の境のことで、確定の進め方は官民境界とは?官民査定の流れで整理している。道路拡幅などの用地取得は、この官民境界とは別の話で、事業のために土地そのものを取得する手続きだ。両者を混ぜないほうがよい。官民境界が確定していても、その土地に道路事業の計画がかかっているかどうかは別に確かめることになる。
仕入れで気にしたい場面
用地測量の知識が仕入れで効く場面を、一般論として3つ挙げる。
1つ目は、道路の拡幅や新設が予定されている場所の土地。事業が進めば、道路側の一部が取得されて、敷地の面積や形が変わる。例題1のように、取得線で切られると、面積の違いだけでなく残地の形も変わる。取得されるのは一部でも、建築プランに響くのは残った土地の形だ。
2つ目は、過去に公共事業が入った土地の図面。用地実測図や用地平面図に当たる図面が残っている場合、座標値と面積が載っている。ただし、どの図面が保存され、閲覧や写しの交付ができるかは、事業を行った機関によって異なる。
3つ目は、境界確認書の扱い。公共事業の境界確認も民間も、関係権利者の署名等で確認する書面を残す点は共通している。民間の書面については、[境界確認書の記事に整理した。
どこから先は、役所や専門家に確かめるか
道路や河川の事業計画が実際にその土地にかかるのか、取得される範囲と時期がいつか、といった個別の事情は、事業を行う役所の窓口でしか答えが出ない。図面の読み方や、境界の確認方法の最終判断は、測量士・土地家屋調査士に頼む領域だ。この記事は、そこに行く前に「何を聞けばいいか」の見当をつけるための整理として読んでほしい。
7. まとめ
用地測量は、公共事業のために土地を取得するとき、土地と境界を調べて、資料と図面をつくる測量。準則は9つの工程に分け、なかでも「資料調査→復元測量→境界確認→境界測量→境界点間測量→面積計算」の順が土台になる。
面積計算は原則として座標法で、公式は2S=Σ Xi × (Yi+1 − Yi−1)。例題1のように、取得線で土地を切るときは、切った点の座標を先に求める。令和8年のNo.27も、この「座標を求めてから座標法」の2段階だった。
民間の確定測量との違いは、目的と、誰のためにやるかにある。官民境界の確定とも別の話なので、仕入れの現場では、境界の確認と事業計画の有無を切り分けて考えるのがよい。
よくある質問(FAQ)
Q1. 用地測量は、測量士補が行う仕事ですか?
この記事では、資格ごとの業務範囲までは確かめていない。誰が何を行えるかは、測量法などの法令と、発注する機関の仕様で決まる。受験の観点では、用地測量は準則の内容が試験で問われる分野、という理解で足りる。
Q2. 用地測量と、用地幅杭設置測量はどう違いますか?
用地幅杭設置測量は、路線測量の章にある作業で、取得などに係る用地の範囲を示すため、所定の位置に用地幅杭を設置する(第654条)。用地測量は、別の章で、境界を確認して座標と面積を出す作業のこと。章が違うので、混同しないこと。
Q3. 座標法で、右回りと左回りのどちらで並べればいいですか?
どちらでも、同じ向きで一周すればよい。向きによって答えの符号が変わるだけで、絶対値は同じになる。
Q4. 面積の端数は、切り捨てですか、四捨五入ですか?
準則第701条は、計算機で面積計算を行う場合、0.000001 m²の位の次の位以下を切り捨てると定めている。座標値は逆に、表示する位の次の位で四捨五入する(第694条)。試験の選択肢は、問題文の指示に従って選ぶ。
Q5. 不動産の仕入れで、用地測量の知識は必要ですか?
日々の判断に数式を使う場面は少ないが、道路事業で土地が取得される流れと、境界確認書や面積の根拠の考え方を知っていると、図面の読み方が変わる。座標法は地積測量図の求積欄を読むときにも、そのまま役に立つ。
出典・参考
いずれも2026年10月31日に確認した。
- 国土交通省告示第413号「作業規程の準則」(平成20年3月31日、令和7年3月31日国土交通省告示第240号の改正までを含む全文PDF、国土地理院掲載): https://www.gsi.go.jp/common/000258734.pdf
- 確認した条文は、第1条(適用範囲)、第2条(測量の基準)、第5編 応用測量のうち第629条(応用測量の区分)、第654〜656条(用地幅杭設置測量)、第680〜708条(用地測量の全条文)。工程の名称・順番・数値は、この全文PDFから拾った。
- 国土地理院「令和8年測量士補試験問題」(No.25〜28は27〜30ページ): https://www.gsi.go.jp/common/000278974.pdf
- 国土地理院「令和8年測量士補試験解答」(No.27の正答は1): https://www.gsi.go.jp/common/000278975.pdf
- 確かめられなかったもの: 令和8年以外の年度の応用測量の問題、用地測量の成果の保存・閲覧・交付の運用、公共事業の用地取得の手続きを定めた法令、民間の確定測量で使う図面の基準(登記関係の法令)。これらは本文で数値や運用を断定していない。民間の確定測量との比較は、一般的な整理として書いた。
※本記事は一般的な解説記事です。個別の土地・案件の判断は、土地家屋調査士・測量士等の専門家に、道路や河川の事業計画については、事業を行う役所にご確認ください。例題1の数値は編集部が作成したもので、実在の土地・案件ではありません。




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