測量法とは?目的・測量の3区分・測量士と測量士補の資格・測量業者の登録・罰則を条文で整理

測量士補

結論から先に言うと
測量法は、国や公共団体のお金で行う測量などについて、実施の基準を定め、測量の重複を除き、正確さを確保する法律です(第1条)。測量を基本測量・公共測量・それ以外の3つに分け、技術者の資格(測量士・測量士補)と、測量を請け負う会社の登録まで決めています。測量士補試験では、用語の定義と「誰が何をしなければならないか」を言い換えた選択肢が出ます。民間の境界測量は、この法律の中心にある公共測量とは土俵が違います。
試験全体の概要は、記事の途中の関連記事から確認できます。

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測量士補の教材を開くと、最初の章に測量法が出てくる。条文の言い回しは固く、用語も似たものが並ぶので、ここでつまずく人は少なくないと思う。一方で、この分野は覚える範囲が限られていて、理屈が分かれば点が取りやすい。

この記事では、測量法の全体像を順番に整理する。条番号は、e-Gov法令検索で測量法の条文を開いて確かめたものだけを書いた(確認の範囲は末尾の出典欄)。個別の手続や案件の判断は、当てはまる専門家や窓口の領分になる。


1. 測量法の目的と、法律の全体像

第1条が言っていること

第1条は、この法律の目的をこう書いている。国または公共団体が費用の全部または一部を負担・補助して実施する土地の測量、またはその結果を利用する土地の測量について、実施の基準と必要な権能を定め、測量の重複を除き、測量の正確さを確保すること。あわせて、測量業を営む者の登録や業務の規制によって、測量業の適正な運営と健全な発達を図ること。

つまり、民間の測量をすべて縛る法律というより、「公のお金が入る測量を、ムダなく、同じ物差しで行うためのルール」が出発点になっている。測量の重複を除く、という考え方は、あとで出てくる作業規程や成果の提出の仕組みにつながる。

「測量」の意味と、章立て

第3条で、測量とは土地の測量をいい、地図の調製と測量用写真の撮影を含むと定められている。試験で「地図の調製や測量用写真の撮影は含まない」と書き換えた誤りの選択肢が出たことがあるので、ここは言葉ごと覚えておきたい(出題例は5節で触れる)。

法律の大きな構成は、総則、基本測量、公共測量、基本測量及び公共測量以外の測量、測量士及び測量士補、測量業者、補則、罰則の順になっている。この記事もほぼその順に進める。


2. 測量の区分:基本測量・公共測量・それ以外

測量法は、測量を基本測量、公共測量、基本測量及び公共測量以外の測量の3つに分けている。それぞれの定義は第4条から第6条にある。

区分 条文 ひとことで
基本測量 第4条 すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院が行うもの
公共測量 第5条 基本測量以外の測量で、費用を国・公共団体が負担・補助するものなど
基本測量及び公共測量以外の測量 第6条 基本測量または公共測量の成果を使って実施する、それ以外の測量

公共測量には、第5条に細かい但し書きがある。建物に関する測量その他の局地的な測量や、小縮尺図の調製など高い精度を必要としない測量で、政令で定めるものは除かれる。政令の中身までは今回開いていないので、どの測量が除かれるかの個別の線引きはここでは書かない。

公共測量そのものの考え方や具体例は、別の記事に詳しく書いた。この記事では重ねて説明せず、基本測量との違いや民間の測量との線引きを知りたい人は公共測量とは?基本測量との違いと作業規程の準則に進んでほしい。

定義の周辺で押さえる用語

第7条以降にも、試験によく出る用語が並ぶ。測量計画機関は測量を計画する者(第7条)、測量作業機関は計画機関の指示または委託を受けて作業を実施する者(第8条)。測量成果は、その測量で最終の目的として得た結果、測量記録は、成果を得る過程の作業記録(第9条)。この成果と記録の区別は、あとで成果の提出や使用承認の話になるときにも使う。


3. 測量標の扱い

測量標(第10条)は、永久標識、一時標識、仮設標識の3つに分かれる。三角点標石や水準点標石のように恒久的なものが永久標識、測標や標杭が一時標識、標旗や仮杭が仮設標識だ。「測量標とは、永久標識、一時標識及び仮設標識をいう」が、試験の条文穴埋めの定番になる。

測量標の扱いは、公共測量・基本測量それぞれにルールがある。

  • 何人も、国土地理院の長の承諾を得ないで、基本測量の測量標を移転・汚損したり、その効用を害したりしてはならない(第22条)
  • 基本測量以外の測量を実施しようとする者は、国土地理院の長の承認を得て、基本測量の測量標を使える(第26条)
  • 公共測量を実施する者は、設置する測量標に、公共測量の測量標であることと測量計画機関の名称を表示する(第37条第1項)

つまり、測量標は勝手に動かさない、使うなら承認を取る、設置したら表示するという3点で整理できる。


4. 測量士・測量士補の資格と登録

誰が必要か

第48条は、技術者として基本測量または公共測量に従事する者は、登録された測量士または測量士補でなければならないと定める。測量士は測量に関する計画を作製し、または実施する。測量士補は、測量士の作製した計画に従って測量に従事する。計画をつくるのが測量士、その計画の下で作業するのが測量士補、という役割分担だ。

注意したいのは、この条文が義務づけているのが基本測量と公共測量だという点。基本測量及び公共測量以外の測量については、同じ条文では資格者の従事を義務づけていない。

資格の取り方

測量士補になる資格は第51条に5つ並ぶ。大学で測量に関する科目を修めて卒業した者、短期大学または高等専門学校で同じく修めて卒業した者、登録を受けた専門の養成施設で1年以上学んだ者、国土地理院の長が行う測量士補試験に合格した者、国土交通大臣が同等以上と認定した者だ。

測量士の資格は第50条で、学歴+実務経験、養成施設+実務経験、測量士試験の合格などのルートが定められている。たとえば大学(認定を受けたもの)で測量に関する科目を修めて卒業し、実務経験が1年以上ある者、短期大学等を卒業して実務経験が3年以上ある者、といった形だ。測量士補から測量士になるときは、実務経験を積むだけでなる道は条文上にはなく、測量士試験か、養成施設の高度課程などを通る(第50条第4号・第5号)。このあたりは測量士補から測量士になるにはでルートごとに整理してある。

登録は別の手続

資格を満たしても、技術者として従事するには登録が要る。第49条により、資格を証する書類を添えて、国土地理院の長に測量士名簿・測量士補名簿への登録を申請する。試験に合格しただけでは名簿に載らない、という流れだ。申請の実務(必要書類・費用・期間)は測量士補の登録手続きに書いてあるので、ここでは条文の位置づけだけ押さえておけばよい。

名簿からの消除についても、第52条に定めがある。死亡したとき、測量法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたとき、資格を有しないことが判明したときは、国土地理院の長が登録を消除しなければならない。


5. 公共測量の流れと作業規程・準則

作業規程と作業規程の準則

公共測量には、決まった型がある。ここが試験でも一番問われやすい。

測量計画機関は、公共測量を実施しようとするときは、観測機械の種類・観測法・計算法などを定めた作業規程を定め、あらかじめ国土交通大臣の承認を得なければならない。変更するときも同じだ。そして公共測量は、承認を得た作業規程に基づいて実施しなければならない(第33条)。

ではその作業規程の手本は何か。第34条は、国土交通大臣は作業規程の準則を定めることができる、と書いている。この準則は国土交通省告示として公開されていて、第1条には、公共測量における標準的な作業方法等を定め、その規格を統一するとともに必要な精度を確保することを目的とする、とある。準則は公共測量に適用される(準則第1条第2項)。

関係をひとことで言うなら、準則は国が示す標準、作業規程は個々の測量計画機関が承認を受けて定める実施ルールだ。準則の個別の作業方法(基準点測量や水準測量など)は、各分野の記事で扱っている。

公共測量のその他のルール

第32条は、公共測量は基本測量または公共測量の測量成果に基づいて実施しなければならない、とする。民間の測量成果ではなく、国や公共のものが基準になるという意味だ。試験では、ここを「基本測量・公共測量・それ以外の測量の成果に基づいて」と書き換えた誤りの選択肢が出た。

そのほか、測量計画機関は、計画書を提出して国土地理院の長の技術的助言を求める(第36条)。公共測量の成果を得たときは、遅滞なく写しを国土地理院の長に送付する(第40条)。公共測量の成果を使って測量を実施しようとする者は、あらかじめ、その成果を得た測量計画機関の承認が要る(第44条第1項)。


6. 測量業者の登録

測量を仕事として請け負うには、会社の側にも登録が要る。測量業を営もうとする者は、測量業者としての登録を受けなければならない(第55条第1項)。登録の有効期間は5年で、続けるなら更新の登録を受ける(第55条第2項・第3項)。

主な義務をいくつか挙げておく。

  • 営業所ごとに、測量士を1人以上置く(第55条の13)
  • 登録を受けないで測量業を営んではならない(第55条の14)
  • 請け負った測量を一括して他人に請け負わせてはならない(第56条の2。注文者の書面による承諾がある場合は別)

ここで見落としやすいのは、測量業の範囲だ。第10条の2は、測量業を基本測量、公共測量、または基本測量及び公共測量以外の測量を請け負う営業と定義している。さらに第59条で、報酬を得て測量の完成を目的として締結する契約は請負契約とみなされる。登録の義務は公共測量だけの話ではない。


7. 罰則の概要

罰則は第61条から第66条にある。金額と年数を、条文で確かめたものだけ並べる。

内容 条文 罰
基本測量の測量標を、承諾なく移転・汚損するなど(公共測量にも準用) 第61条 2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
登録を受けずに測量業を営む、不正の手段で登録を受けるなど 第61条の2 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
測量成果を真実に反するものにする行為、資格者でない者が技術者として従事 第62条 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
正当な理由なく基本測量・公共測量の実施を妨げるなど 第63条 6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
承認なく基本測量の測量標を使用するなど 第64条 30万円以下の罰金

法人の代表者や従業者が業務に関して違反したときは、行為者のほか、その法人や人にも罰金刑が科される(第65条)。試験で罰則の年数や金額が直接問われることは多くないが、どの行為が罰則の対象になるかは、第22条・第48条・第55条の14などと一緒に覚えておくと選択肢の正誤判断に使える。なお、この記事の条文は2026年10月31日に確認した現行のものだ。罰則は法改正で変わるので、数字を引用するときは必ず現行条文を見直してほしい。


8. 測量士補試験での出方

この分野は「測量に関する法規」として出る。令和7年(2025年)の測量士補試験でNo.1とNo.2が測量法まわりの問題だったことを、国土地理院が公表した問題と正答一覧で確かめた。

No.1は、測量法の規定について述べた文a〜eから「明らかに間違っているものだけの組合せ」を選ぶ形式。選択肢には、測量の定義(地図の調製や測量用写真の撮影を含むか)、測量作業機関の定義、測量標の種類、基本測量の測量標の移転、公共測量が何の成果に基づくか、が並び、公表された正答は2(aとe)だった。誤りは「測量に地図の調製や写真撮影は含まない」と、「公共測量はそれ以外の測量の成果に基づく」の2つで、この記事の1節・5節の内容がそのまま対応する。

No.2は、公共測量の現場での測量作業機関の対応について、適切でないものを選ぶ問題で、公表された正答は3だった。現場の判断を問う形式で、準則の考え方が土台になる。ほかの年度の出方までは今回確認していないため、傾向を言い切ることは避ける。過去問を解いたあとの解説は令和7年 測量士補 過去問解説【第1弾】No.1〜4で読める。

学習のコツは、用語の定義を暗記するより、「誰が(計画機関・作業機関・測量士・測量士補)」「何を」「誰の承認を得て」の3点で整理することだ。



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9. まとめ

  1. 測量法の目的は、公のお金が入る測量の基準を定め、重複を除き、正確さを確保すること(第1条)
  2. 測量は基本測量・公共測量・それ以外の3区分。測量には地図の調製と写真撮影が含まれる(第3条〜第6条)
  3. 技術者として基本測量・公共測量に従事するのは、登録された測量士・測量士補(第48条)。登録は国土地理院の名簿(第49条)
  4. 公共測量は、国土交通大臣の承認を受けた作業規程に基づいて実施する。準則は国が定める標準(第33条・第34条)
  5. 測量業を営むには測量業者の登録が要り、営業所ごとに測量士を1人以上置く(第55条・第55条の13)
  6. 罰則は第61条〜第66条。無登録営業は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第61条の2)

よくある質問(FAQ)

Q1. 測量法は、民間の測量にも適用されますか?

測量法は、基本測量・公共測量・それ以外の測量という3区分で定めています。ただし、資格者の従事義務(第48条)は基本測量と公共測量に向けた規定です。民間の測量が条文上どう扱われるかは、測量の内容によって変わるので、個別の事情は専門家に確かめてください。

Q2. 測量士補は、測量士の計画がなくても測量できますか?

第48条は、測量士補は測量士の作製した計画に従って測量に従事する、としています。計画の作製や実施の主体は測量士です。

Q3. 測量士補試験の合格だけで、測量士補を名乗れますか?

測量士補になるには、資格のほかに国土地理院の名簿への登録が必要です(第49条)。登録の流れは、前の節で触れた登録手続きの記事に書いています。

Q4. 準則と作業規程は同じものですか?

別のものです。準則は国土交通大臣が定める標準で、作業規程は測量計画機関が国土交通大臣の承認を得て定める個別のルールです(第33条・第34条)。


出典・参考

  • e-Gov法令検索「測量法(昭和二十四年法律第百八十八号)」。令和8年9月3日施行分の条文を、e-Govの法令データで開いて確認した(2026年10月31日): https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000188
  • 確認した条文は、第1条〜第11条、第14条・第15条・第18条・第21条・第22条・第25条・第26条、第32条〜第47条、第48条〜第54条の2、第55条〜第59条、第61条〜第66条。
  • 国土交通省告示第413号「作業規程の準則」(国土地理院掲載の全文PDF、令和7年3月31日国土交通省告示第240号の改正まで反映): https://www.gsi.go.jp/common/000258734.pdf 。確認したのは第1条(目的及び適用範囲)、第3条(測量法の遵守)など総則の冒頭。
  • 国土地理院「令和7年測量士補試験問題」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000270177.pdf)のNo.1・No.2と、「令和7年測量士補試験解答」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000270180.pdf)。問題と正答の一致を確かめた。
  • 確かめられなかったもの: 第5条・第6条に出てくる政令の内容、土地家屋調査士法など他の法律の条文、令和7年以外の年度の出題、国土地理院ウェブサイトの試験案内ページ。これらは本文で断定していない。

※本記事は一般的な解説記事です。個別の測量・登記・取引の判断は、土地家屋調査士・測量士などの専門家に、制度の取り扱いは国土地理院・国土交通省の窓口にご確認ください。

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