令和8年 測量士補試験 過去問解説【第2弾】No.4〜No.7 測量の基準・多角測量

測量士補

結論から先に言うと
令和8年(2026年)5月17日実施の測量士補試験から、No.4〜No.7を解説します。No.4は測量法が定める「測量の基準」に関する法規問題、No.5〜No.7は多角測量分野からTSの器械誤差・基準点測量の等級別規定・距離測定の計算が出題されました。特にNo.4とNo.5は、似た用語をわざと入れ替えて誤りに仕立てる典型的なひっかけパターンです。過去問を解いていて法規・多角測量のどちらかでつまずいた方は、3社の講座を価格・カリキュラムで比較したページも参考にしてみてください。

この記事について

本記事は前回のNo.1〜No.3の解説に続く、令和8年測量士補試験の解説シリーズ第2弾です。国土地理院が公表した「測量士補試験問題」「測量士補試験解答」の各PDF(出典は末尾に明記)をもとに、編集部が論点を要約し、解き方のポイントを整理しました。問題文の全文転載は避けているので、正確な文言・図表は公式PDFで確認してください。監修者・境さんは不動産仕入れ営業の実務者としての視点に加え、自身も測量士補試験に挑む受験者という立場からコメントを添えています。

今回のNo.4は測量法第11条の「測量の基準」、No.5〜No.7は多角測量(トラバース測量)の基礎となるTS(トータルステーション)まわりの出題です。分野としては法規1問・多角測量3問という構成で、後半3問はいずれもTSという同じ機材を軸にした知識・計算問題が並んでいます。


No.4 測量法における「測量の基準」(位置の表示・原点・標高)

論点の要約:測量法(昭和24年法律第188号)が定める「測量の基準」について述べたa〜eの5つの記述のうち、「明らかに間違っているものだけの組合せ」を選ぶ問題です。地心直交座標の算出方法、位置の表示形式、測量の原点(日本経緯度原点・日本水準原点)、地理学的経緯度の測定方法、標高の定義が題材になっています。

解答へのアプローチ:正解はa・eの組合せでした。この2つに共通するのは、「楕円体高」「ジオイド高」「標高」という高さに関する3つの用語を、微妙に入れ替えて誤りに仕立てている点です。

aは「緯度、経度及びジオイド高から、その地点における地心直交座標が計算できる」という記述。実際に地心直交座標(X・Y・Z)を求める計算に必要なのは、緯度・経度に加えて「楕円体高」であり、ジオイド高だけでは足りません。楕円体高は標高とジオイド高を足し合わせた値なので、ジオイド高だけでは地点の高さ方向の位置が決まらず、地心直交座標は計算できません。

eは「標高とは、地球の形状及び大きさに近似した回転楕円体の表面から、平均海面を陸側に延長したと仮定した面までの高さである」という記述。これは実は標高ではなく「ジオイド高」の説明になっています。標高は本来、平均海面を陸側に延長した仮想の面(ジオイド面)から地表までの高さのこと。回転楕円体の表面からジオイド面までの高さを指すのがジオイド高なので、両者を入れ替えて誤りに仕立てた選択肢です。

楕円体面・ジオイド面・地表面の断面図:標高はジオイド面から地表まで、ジオイド高は楕円体面からジオイド面まで、楕円体高=標高+ジオイド高

残るb・c・dは条文どおりの正しい記述でした。bは「位置は地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし場合により直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる」という表示方法の原則。cは「測量の原点は日本経緯度原点及び日本水準原点とする。ただし離島の測量その他特別の事情がある場合において国土地理院の長の承認を得たときは、この限りではない」という原点の規定。dは「地理学的経緯度は世界測地系に従って測定しなければならない」という測定方式の規定です。いずれも測量法の条文に沿った内容だと確認できます。

関連知識ポイント:測量士補試験では、標高・楕円体高・ジオイド高の3つを混同させる出題がよく出ます。「標高=ジオイド面から地表まで」「楕円体高=楕円体面から地表まで」「ジオイド高=楕円体面からジオイド面まで」という3段構造さえイメージできれば、どの用語がどこで入れ替えられても気づきやすくなるはずです。図を1枚頭に描けるようにしておくのが近道でしょう。


No.5 TSを用いた水平角観測の器械誤差

論点の要約:トータルステーション(TS)を用いた水平角観測で生じる器械誤差について述べた1〜5の記述のうち、「明らかに間違っているもの」を1つ選ぶ問題です。視準軸誤差・鉛直軸誤差・偏心誤差・外心誤差・目盛誤差という5種類の誤差の定義が並びます。

解答へのアプローチ:誤りは選択肢2でした。「鉛直軸誤差は、TSの鉛直軸に対し、TSの水平軸が直交しないために水平角に生じる誤差である」という記述ですが、これは鉛直軸誤差ではなく「水平軸誤差」の定義をそのまま持ってきたものです。TSの角度観測にまつわる代表的な誤差は、視準軸誤差・水平軸誤差・鉛直軸誤差の3つ(あわせて三軸誤差と呼ばれます)に、偏心誤差・外心誤差・目盛誤差を加えた構成が定番。鉛直軸誤差は本来、TSの鉛直軸そのものが真の鉛直方向を向いていない(整準の不完全や気泡管の調整不良による)ために生じる誤差で、水平軸との直交関係とは別の話です。似た名前の誤差をすり替える、この分野ではおなじみの出題パターンといえます。

TSの三軸誤差の比較:視準軸誤差は視準線が水平軸と直交しない、水平軸誤差は水平軸が鉛直軸と直交しない、鉛直軸誤差は鉛直軸自体の傾きで正反観測でも消えない

残る選択肢1・3・4・5は、視準軸誤差(視準線と視準軸の不一致)、偏心誤差(鉛直軸が水平目盛盤の中心を通らない)、外心誤差(視準線が鉛直軸と交わらない)、目盛誤差(目盛盤の目盛間隔の不均等)の定義として、いずれも正しい内容でした。

関連知識ポイント:これらの誤差は、望遠鏡の正位・反位を観測して平均をとることで消去できるものと、できないものに分かれるのがもう一段深い出題ポイントです。視準軸誤差・水平軸誤差・偏心誤差・外心誤差は正反観測の平均で消去できますが、鉛直軸誤差と目盛誤差は消去できません。鉛直軸誤差は器械の丁寧な整準・気泡管の点検調整で、目盛誤差は対回観測で対回ごとに水平目盛の初期位置(読み始めの目盛)を変えることでそれぞれ軽減するしかない、という点までセットで覚えておくと関連問題に強くなります。


No.6 TSを用いた基準点測量の等級別規定(穴埋め)

論点の要約:公共測量におけるTSを用いた基準点測量について述べたa〜cの文の空欄ア〜エに入る語句の組合せを選ぶ穴埋め問題です。1級基準点測量の観測方式、2級基準点測量における器械高の測定単位、3級基準点測量における基準面上の距離計算の代用規定が題材でした。

解答へのアプローチ:正解は「ア=結合多角方式、イ=ミリメートル、ウ=楕円体高、エ=標高」の組合せです。3つの文はそれぞれ独立した知識なので、一つずつ確認しましょう。

aの「1級基準点測量では、原則として ア により行う」は結合多角方式が入ります。結合多角方式は、3点以上の既知点を使い、複数の路線を交点で結んだ多角網として観測する方式で、点検条件が多く精度を確かめやすいことから上位等級の原則とされています。単路線方式(2つの既知点を1本の路線で結ぶ簡便な方式)は、下位の等級で認められる方式です。

bの「2級基準点測量では、器械高を イ 位まで測定する」はミリメートルが入ります。TSを用いた基準点測量では、器械高や反射鏡高(目標高)をミリメートル位まで測定します。

cの「3級基準点測量では、基準面上の距離の計算は ウ に代えて エ を用いることができる」は、ウ=楕円体高、エ=標高です。基準面上の距離を厳密に計算するには本来「楕円体高」を使いますが、問題文のとおり、3級基準点測量では楕円体高に代えて標高を用いることができます。楕円体高と標高の差はジオイド高の分だけで、その差が基準面上の距離に与える影響は、3級程度の要求精度であれば実用上問題にならない、という考え方です。

関連知識ポイント:基準点測量は1級から4級へ等級が下がるほど、観測方式や計算方法で認められる簡略化の範囲が段階的に広がっていきます。等級ごとの数値をそれぞれ丸暗記するより、「上位等級ほど厳密に、下位等級ほど簡略化が許される」という方向性で押さえておくと、初見の空欄補充問題でも推測が効きやすくなります。


No.7 一直線上の3点から器械定数・反射鏡定数を求める計算

論点の要約:平たんな土地に点A・点B・点Cを一直線上に設け、各点でTSの器械高と反射鏡高を同一にして距離測定を行ったところ、測定距離はAB間290.560m、AC間966.744m、BC間676.144mでした。器械定数と反射鏡定数を用いてこの測定距離を補正した場合の、BC間の距離を求める計算問題です。

解答へのアプローチ:同じTSと反射鏡を使い続ける限り、測定距離には器械定数と反射鏡定数を合わせた一定の誤差(以下、合成定数C)が、区間の長さに関係なく毎回同じだけ乗ってきます。つまり測定値と真の距離の関係は次のようになります。

測定距離AB = 真のAB距離 + C
測定距離BC = 真のBC距離 + C
測定距離AC = 真のAC距離 + C

A・B・Cは一直線上にあるので、真の距離については「AB+BC=AC」が成り立ちます。ここに上の関係を代入すると、

(測定AB-C)+(測定BC-C)= 測定AC-C
測定AB + 測定BC - C = 測定AC
C = 測定AB + 測定BC - 測定AC

という形でCだけを求める式が作れます。数値を当てはめると、

C = 290.560 + 676.144 − 966.744
  = 966.704 − 966.744
  = −0.040(m)

合成定数Cは−0.040m、つまり測定距離は真の距離より0.040m短く出ていたことになります。あとは測定BCからCを差し引けば、補正後のBC間距離が求まります。

真のBC距離 = 測定BC − C
        = 676.144 −(−0.040)
        = 676.184(m)

正解は選択肢4の676.184mです。

一直線上のA・B・Cの測定距離AB290.560m・BC676.144m・AC966.744mから合成定数C=−0.040mを求め、真のBC=676.184mに補正する流れ

関連知識ポイント:この手の問題は、「AB+BC=AC」という一直線上ならではの関係を使って、未知の定数を1本の式で消去するのが型です。器械定数・反射鏡定数がそれぞれ個別にいくつかは分からなくても、「合成した誤差が全区間に同じだけ乗る」という前提さえ押さえれば解けます。似た構造の計算問題は、計算問題のパターンと公式を1本にまとめた記事でも整理しているので、初見で詰まった方は型そのものを見直してみてください。



測量士補試験の計算問題パターン・公式一覧【保存版】
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他の年度・分野も通しで解くなら

このシリーズの前後の回:次の回は令和8年 測量士補【第3弾】No.8〜12 GNSS測量・水準測量です。同じ年度を順番に解いていくと、出題の流れがつかみやすくなります。

今回のNo.4は法規、No.5〜No.7は多角測量という分野構成でした。測量士補試験は例年、法規・多角測量・GNSS測量・水準測量・地形測量・写真測量・地図編集・応用測量という決まった分野構成で28問が出題されます。1年分だけを深く解くより、直近数年分を分野ごとに横断して解くほうが、頻出論点の偏りが見えやすくなるというのが編集部の実感です。何年分をどう周回すべきかは、過去問の年数・周回の組み方を整理した記事にまとめているので、あわせて参考にしてください。

過去問を年度ごとに解き進めるなら、解説付きの過去問集が1冊あると、公式PDFだけでは分からない「なぜその選択肢が誤りなのか」を確認しやすくなります。

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法規の用語の入れ替えや多角測量の器械誤差・観測規定は、条文や規程の数字を一つずつ覚えるより、測量の流れの中で「なぜその決まりがあるのか」を講義で一度通しておくと取り違えにくくなります。編集部が比べた中では、過去7年分の過去問集と計算問題対策がそろっているアガルートが最初の候補になります。

まとめ:次に何をすべきか

今回のNo.4は測量の基準に関する用語の入れ替え、No.5は器械誤差の名称の取り違え、No.6は基準点測量の等級別規定の穴埋め、No.7はTSの測距計算でした。法規と多角測量、どちらもパターンさえ知っていれば得点しやすい一方、似た用語のすり替えに気づけるかどうかで正誤が分かれる問題が多い分野でもあります。独学で進めていて「用語の違いが毎回あやふやになる」「計算の型が身につかない」と感じる方は、価格とカリキュラムを比較してみるのも一つの手です。



測量士補は独学で合格できる?勉強法とスケジュール
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監修者・境さんより
No.4の標高・楕円体高・ジオイド高の入れ替えは、正直この記事を読み返しながら「あ、また逆に覚えてた」となった箇所です。仕入れの現場では地積測量図や高低差の話が出ることはあっても、ジオイド高そのものを意識する場面はまずありません。ただ、境界や高低差の資料を見たときに「この数値がどの基準からの高さなのか」を一度立ち止まって確認する癖は、測量士補の勉強を始めてから明らかに強くなりました。仕入れ営業の実務にどうつながるかは、仕入れ営業シリーズのハブ記事でまとめて書いています。

過去問演習を進める中で「そもそも自分の弱点分野が分からない」「独学と講座、どちらが自分に合うか判断できない」という方は、以下もあわせて参考にしてください。

なお、問題を単元別(計算問題/法規/作業規程)に横断して復習できるインデックスページ、および令和8年のNo.8以降を扱う解説記事は、当メディアで順次公開準備を進めています。公開後、本記事および各記事の末尾から回遊できるようリンクを追加する予定です。


出典・参考情報(2026年9月26日確認)

  • 国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果」(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html )
  • 国土地理院「令和8年測量士補試験問題」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000278974.pdf )
  • 国土地理院「令和8年測量士補試験解答」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000278975.pdf )

※本記事の問題要約・解説は編集部が上記の公式PDFをもとに作成したものです。問題文の正確な表現・図表は国土地理院の公式PDFを必ずご確認ください。計算過程の数値は関数表・電卓の精度により若干の誤差が生じる場合があります。

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