令和7年 測量士補 過去問解説【第6弾】No.21〜24 地図編集

測量士補

結論から先に言うと
令和7年(2025年)5月18日に実施された測量士補試験のNo.21〜24を解説します。4問とも「地図編集」分野からの出題で、電子地形図の読図、UTM図法・平面直角座標系の数値穴埋め、地形図編集の転位の優先順位、ベクタ・ラスタデータの特徴の組合せが題材です。計算問題は1問もなく、地図記号と用語の定義を正確に覚えているかがそのまま得点を左右する分野なので、独学で知識が抜け落ちやすい人ほど差が出やすいところです。読図に時間がかかってしまう、投影法の数値が混ざってしまうという方は、講座選びを比較ページで確認してみるのも一つの手です。

この記事について

測量士補試験は例年5月に実施されていて、国土地理院が試験後に公式サイトで問題と正解を公表しています。令和7年試験は2025年5月18日に実施され、受験者13,363名のうち6,837名が合格、合格率は51.2%でした。本記事は国土地理院公開の「測量士補試験問題」PDF・正解PDF(出典は末尾に明記)をもとに、編集部が論点を要約し、解き方のポイントを整理したものです。

No.21で使われている電子地形図25000(広島県安芸高田市吉田町付近)については、著作権への配慮から図そのものは記事内に転載していません。代わりに、どこに注目してどう読み解けば正解にたどり着けるかを、文章と表で説明しています。正確な図・問題文は公式PDFで必ずご確認ください。過去問を年度・分野をまたいで探している方は、測量士補 過去問のインデックスページから他の年度・単元も一覧できます。なお監修者・境さんは、不動産仕入れ営業の実務者としての視点に加え、自身も測量士補試験に挑む受験者という立場からコメントを添えています。


No.21 電子地形図25000(安芸高田市吉田町付近)の読図

論点の要約:国土地理院の電子地形図25000の一部(縮尺を変更、一部を改変した広島県安芸高田市吉田町付近)を見て、そこに表現されている内容について述べた1〜5の記述のうち「明らかに間違っているもの」を1つ選ぶ問題です。光井山の三角点と警察署の標高差、史跡・名勝・天然記念物にあたる地物、河川上の2地点の上流・下流関係、電波塔と税務署の東西の位置関係、博物館から図書館までの水平距離が問われました。正解は4です。

解答へのアプローチ:この手の読図問題は、選択肢ごとに「地図上のどこを見ればよいか」を切り分けて、地図記号を1つずつ確認していくのが定石です。試験問題に凡例は付いていないので、主要な地図記号(三角点・警察署・税務署・電波塔・博物館・図書館など)は事前に覚えておく必要があります。今回の5つの記述と確認ポイントを整理すると、次のようになります。

選択肢 論点 確認するポイント 判定
1 光井山の三角点と警察署の標高差は、およそ170m 光井山の三角点(△366.8)と、警察署の記号のすぐ横にある水準点の標高(200.3)を比較する 正しい
2 史跡・名勝・天然記念物にあたるのは毛利氏城跡(郡山城跡) 郡山の山頂付近(標高点402)の「毛利氏城跡(郡山城跡)」の注記に、史跡・名勝・天然記念物の記号(3つの点「∴」)が付いているかを確認する 正しい
3 地点Bの方が地点Aより下流 河川沿いの等高線・標高点や支流の合流の仕方から、流れの向きを判断する 正しい
4 電波塔と税務署では、税務署の方が東 電波塔の記号と税務署の記号(そろばんの珠をかたどった記号)を探し、東西の位置関係を確認する 誤り
5 博物館から図書館までの水平距離は、およそ540m 博物館(神殿風の建物をかたどった記号)と図書館(開いた本の記号)の間を、図の下の縮尺バーで測る 正しい

光井山の三角点には366.8、市街地の警察署の記号のすぐ横にある水準点には200.3という標高数値が付いているので、その差は366.8−200.3=166.5mです。「およそ170m」という記述の範囲に収まっており、正しい内容です。郡山の山頂付近には「毛利氏城跡(郡山城跡)」の注記とともに、史跡・名勝・天然記念物を表す記号(∴)が付いているので、これも正しい記述です。河川上のA・B2地点については、正解が4であることから「Bの方が下流」は正しい記述として扱われます。図だけから流れの向きを判断するには、河川沿いの等高線や標高点、支流の合流の仕方などを手がかりにします。

問題は電波塔と税務署の位置関係です。図の中で電波塔の記号と、税務署の記号(そろばんの珠をかたどった菱形の記号)をそれぞれ探すと、電波塔は市街地の東寄り、税務署は市街地の西寄りにあり、電波塔のほうが東側です。つまり「税務署の方が東」という記述は東西が逆で、これが明らかな誤りです。方位記号も上が北を示しているので、図の左右がそのまま西・東になります。博物館と図書館の水平距離については、図の下にある縮尺バー(0〜500〜1,000m)を当てて測ると、おおむね540m前後になり、記述どおりの内容と判断できます(縮尺を変更した図なので、必ず図に付いた縮尺バーで測ります)。

No.21の読図の判定手順の概念図。選択肢1は三角点366.8と警察署横の水準点200.3の差166.5mでおよそ170mに収まり正しい。選択肢4は方位記号で上が北、西寄りに税務署・東寄りに電波塔があり「税務署の方が東」は東西が逆で誤り(正解)。選択肢5は縮尺バーで測って博物館〜図書館がおおむね540m前後で正しい。史跡・名勝・天然記念物(∴)、税務署(そろばんの珠)、博物館(神殿風の建物)、図書館(開いた本)の記号の手がかりも併記

関連知識ポイント:読図問題は「地図記号を知っているか」と「方角・距離をどう測るか」がセットで問われます。方位記号で北の向きを確かめたうえで東西南北を判断し、距離を聞かれたら図に付いた縮尺バーを定規のように当てて測る。この2つの型を身につけておくと、初めて見る場所の地図でも慌てず対応できます。三角点・水準点など基準点系の用語を復習したい方は、測量用語集もあわせて確認しておくと理解が早まります。


No.22 UTM図法・平面直角座標系の数値穴埋め

論点の要約:ユニバーサル横メルカトル図法(UTM図法)と平面直角座標系について述べた文章の空欄ア〜オに入る語句・数値の組合せを選ぶ問題です。両者に共通する投影法の性質、UTM図法の座標帯の経度差、縮尺係数が1.0000になる中央経線からの距離、平面直角座標系の系の数、こちらも縮尺係数が1.0000になる距離が問われました。

解答へのアプローチ:正解は5の「ア=正角、イ=6°、ウ=180、エ=19、オ=90」の組合せです。

アについて、UTM図法と平面直角座標系はどちらも横円筒図法の一種であるガウス・クリューゲル図法を採用しています。ガウス・クリューゲル図法は角度を正しく表現する正角図法であり、距離を正しく表す正距図法ではありません。選択肢では「正角」と「正距」が並んでいるので、ここで選択肢を絞り込めます。イについて、UTM図法は地球全体を経度差6°ごとの南北に長い座標帯(全60帯)に分割し、各座標帯の中央経線と赤道の交点を原点としています。

ウとオは、どちらも「中央経線(座標系原点)からどれくらい離れると縮尺係数が1.0000になるか」という数値です。UTM図法は中央経線上の縮尺係数0.9996が、東西に約180km離れた地点で1.0000になります。一方、平面直角座標系は座標系原点を通る子午線上の縮尺係数0.9999が、東西に約90km離れた地点で1.0000になります。180kmと90kmを入れ替えた選択肢(2・3)も用意されているので、「UTMは0.9996で180km、平面直角座標系は0.9999で90km」とセットで覚えておくと取り違えを防げます。エについて、平面直角座標系は日本全国を19の区域(第I系〜第XIX系)に区分しています。選択肢の「16」は誤りです。

中央経線からの距離と縮尺係数の模式グラフ。UTM図法は0.9996から約180kmで1.0000に、平面直角座標系は0.9999から約90kmで1.0000になる。No.22の正解5はア正角、イ6°、ウ180、エ19、オ90

関連知識ポイント:令和8年の同分野の過去問解説(令和8年 第6弾 No.21〜24 地図編集)でも、No.22で平面直角座標系・UTM図法・正距図法がテーマの問題を扱いましたが、あちらはa〜eの記述から誤りの組合せを選ぶ形式で、X軸・Y軸の向きや正距図法の性質が問われていました。令和7年のNo.22は穴埋め形式ですが、ガウス・クリューゲル図法であること、UTM図法の経度差6°の座標帯といった共通の知識が両年度で問われています。形式が変わっても中身を理解していれば対応できる、という点で読み比べる価値があります。


No.23 地形図編集の転位(真位置に描画する優先順位)

論点の要約:地形図を編集するにあたり、地形・地物等の転位について、真位置に描画すべき一般的な優先順位の並びを選ぶ問題です。三角点・海岸線・道路・建物・植生の5つの地物が並びます。

解答へのアプローチ:正解は1の「三角点 → 海岸線 → 道路 → 建物 → 植生」(優先順位が高い順)の並びです。

転位とは、複数の地物が接近して同じ位置に表現しきれないとき、どちらかをずらして描く編集作業のことです。このとき何を優先して真位置に残すかには、地物の性質に応じた一般的な序列があります。なお、作業規程の準則の地図編集の章(第8章)には、この5つの地物の優先順位そのものは列挙されていません。以下は、試験で問われる一般的な編集の考え方としての整理です。

三角点のような基準点は、位置そのものが測量の基準になる情報なので、最優先で真位置を維持します。海岸線は地形の骨格をなす自然の地物で、陸と海の境として図全体の位置関係の基準になるため、三角点に次いで優先されます。道路は交通網として地図の骨格をなす人工物で、建物などはその道路との位置関係に合わせて配置されるため、建物より上位に置かれます。植生は範囲を記号で示すもので境界が本来あいまいなため、転位の優先順位はもっとも低くなります。

転位で真位置に残す優先順位のピラミッド図。上から三角点、海岸線、道路、建物、植生の順で、植生は範囲を示す記号で境界が本来あいまいなため最下位。選択肢1と5は建物と植生の順だけが違い、正解は1

なお、この問題は「三角点→海岸線→道路→建物→植生」と「三角点→海岸線→道路→植生→建物」という、建物と植生の順番だけが入れ替わった2つの選択肢(1と5)が用意されており、そこが正誤の分かれ目になっています。細部まで丸暗記するより、「測量の基準になるものほど優先度が高く、範囲を示すだけで境界があいまいな地物ほど優先度が低い」という考え方の軸を持っておくと、選択肢の並びが変わっても対応しやすくなります。

関連知識ポイント:転位の考え方は、令和8年の同分野の過去問(No.23、地図編集の原則で誤りを選ぶ問題)でも、選択肢の1つとして「有形物と無形物のどちらを転位するか」という形で問われていました(有形物を真位置に保ち、無形物を転位するのが原則)。年度によって切り口は変わりますが、根っこにあるのは「実際の位置がずらせない・ずらすと困る地物を優先する」という同じ考え方です。


No.24 ベクタデータとラスタデータの特徴(組合せ)

論点の要約:ベクタデータとラスタデータについて述べたa〜eの5つの文のうち、「ラスタデータについて述べているものだけの組合せ」を選ぶ問題です。

解答へのアプローチ:正解は4の「b, e」の組合せです。

ベクタデータは、地形・地物等を座標値を持った点・線・面で表現するデータ形式で、正確な位置や形状を表すのに適しています(aの文)。GISソフトウェアで行政区域内の特定の地物を抽出して数を数えたり(cの文)、任意の倍率に拡大・縮小しても線の太さを変えずに表示したりできる(dの文)のは、座標値そのものを持つベクタデータならではの性質です。つまりa・c・dはいずれもベクタデータの説明であり、ラスタデータの説明ではありません。

一方で、地図等を微小な格子状の画素(ピクセル)に分割し、画素ごとに輝度や色調の情報を与えて表現するのはラスタデータの性質そのものです(bの文)。気温や降水量のように面的に連続して変化する事象を表すのに適しているのもラスタデータの特徴です(eの文)。標高のように面的に連続して変化する値を格子状の数値(標高メッシュ・DEMなど)で表す場面を思い浮かべると、bとeがラスタデータの説明であることがイメージしやすくなります。したがって、ラスタデータについて述べているものだけの組合せは「b, e」になります。

関連知識ポイント:ベクタとラスタの違いは、「座標値を持つ図形データか、格子状の画素データか」という一点で整理すると迷いにくくなります。用途で覚えるなら、地物の抽出・集計や拡大・縮小表示に強いのがベクタ、気温・降水量・標高のように面的に連続変化する現象を表すのに向いているのがラスタ、という対応関係を押さえておくと判断しやすくなります。


他の年度も通しで解くなら

このシリーズの前後の回:前の回は令和7年 測量士補【第5弾】No.16〜20 写真測量・レーザ測量、次の回は令和7年 測量士補【第7弾】No.25〜28 応用測量です。同じ年度を順番に解いていくと、出題の流れがつかみやすくなります。

この記事で扱っているのは令和7年の一部の問題です。複数年度を通しで解くなら、年度別の問題がまとまった市販の過去問集が効率的です。

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地図編集は、地図記号・投影法・転位の考え方など覚える範囲が広い分野です。図解の多い講義で整理しておくと、読図問題で迷う時間が減ります。編集部が比べた中では、過去7年分の過去問集と計算問題対策がそろっているアガルートが最初の候補になります。

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まとめ:次に何をすべきか

今回のNo.21〜24はすべて「地図編集」分野からの出題で、計算問題は1問もありませんでした。地図記号の暗記量と、UTM図法・平面直角座標系の数値がそのまま得点に直結する分野なので、「読図で選択肢を絞りきれない」「投影法の数値がすぐ出てこない」という状態のまま本番を迎えるのは避けたいところです。独学でこのあたりの知識を体系的に埋めきれない場合は、演習量とカリキュラムが整った通信講座を比較ページで検討してみるのも現実的な選択肢です。



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監修者・境さんより
仕入れの実務では、現地に行く前に地理院地図で高低差や周辺施設の位置をひととおり見ておくのがルーティンになっています。No.21のような読図問題を解いていて感じたのは、警察署や税務署がどっちの方角にあるかなんて普段は気にも留めていないのに、いざ地図記号ベースで東西を聞かれると意外と迷うということです。現地の土地勘があると逆に「実際はこっちのはずだ」という思い込みで記号を読み違えることもありそうで、そこは自戒しています。地図記号は数が多いので、机の上で覚えるより、自分の担当エリアの地理院地図を見ながら「これは何の記号だろう」と確認していくほうが定着する気がしています。



測量士補の過去問は何年分解くべき?効率的な学習法
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過去問演習を進める中で「地図編集の分野だけ苦手」「独学と講座、どちらが自分に合うか判断できない」という方は、以下もあわせて参考にしてください。

なお、令和7年の他の問題番号・分野の解説、および問題を単元別(計算問題/法規/作業規程)に横断して復習できるインデックスページは、当メディアで公開準備を進めています。公開後、本記事末尾からも回遊できるようリンクを追加する予定です。


出典・参考情報(2026年9月26日確認)

  • 国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果」(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html )
  • 国土地理院「令和7年測量士補試験問題」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000270177.pdf )
  • 国土地理院「令和7年測量士補試験問題」PDF その2(https://www.gsi.go.jp/common/000270178.pdf )
  • 国土地理院「令和7年測量士補試験の正解」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000270180.pdf )
  • 国土地理院「作業規程の準則」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000258734.pdf )※No.23の地図編集(第8章)の確認に使用
  • 国土地理院「地図記号パンフレット」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000189126.pdf )※地図記号の由来の確認に使用

※本記事の問題要約・解説は編集部が上記の公式PDFをもとに作成したものです。問題文・図の正確な内容は国土地理院の公式PDFを必ずご確認ください。No.21の標高差・距離の記述は、図中の標高数値・縮尺バー(0〜500〜1,000m)をもとにした概算です。令和7年測量士補試験は2025年5月18日に実施され、受験者13,363名・合格者6,837名・合格率51.2%でした(国土地理院公表の実施状況等より)。

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