結論から先に言うと
編集部が国土地理院の公式発表で確認できた令和元年〜令和8年の8年間で見ると、測量士試験の合格率は平均約17.8%、測量士補は平均約38.0%と、測量士は測量士補の半分よりやや低い水準です。しかも測量士は年による振れ幅が7.7%〜40.2%と非常に大きく、測量士補以上に「その年の問題との相性」が結果を左右します。年度の当たり外れに得点力で対応したいなら、独学だけに頼らず通信講座のカリキュラムも比較しておくと安心です。
「測量士は測量士補よりどのくらい難しいのか」を数字で説明できる人は、実はそう多くありません。「上位資格だから難しい」というふんわりしたイメージは広く知られていても、合格率が具体的に何%で、年度によってどれくらい動くのかまで把握している受験者は少ないはずです。本記事では、国土地理院が公式に発表している測量士試験の実施結果を、測量士補と同じ8年間分そろえて比較しました。合格率で見るとどちらがどれくらい難しいのか、年度による振れ幅はどちらが大きいのか。編集部が一次情報として確認できなかった年度は、無理に埋めずに正直に「確認できず」と書いています。
本記事のデータについて(正直に書きます)
国土地理院公式サイトで2026年9月16日時点に編集部が実際にアクセスして数値を確認できたのは、測量士試験・測量士補試験ともに令和元年(2019年)〜令和8年(2026年)の8年分です。平成30年以前については、当時の合格発表ページの多くが本記事執筆時点でリンク切れ(トップページへのリダイレクト)になっており、一次情報として確認できませんでした。不確かな数値を「公式発表」として載せることは避けたいため、確認できなかった年度はそのまま「確認できず」としています。測量士補側の詳しい年度推移は、別記事測量士補の難易度は?合格率8年推移・合格点・勉強時間の目安で扱っています。
1. 結論を先に数字で ― 8年間の合格率を並べてみる
編集部が国土地理院の公式発表(個別の合格発表ニュースリリース、および直近5年分をまとめた「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果」ページ)で確認できた数値は、以下のとおりです。
| 実施年度 | 試験日 | 測量士 受験者数 | 測量士 合格者数 | 測量士 合格率 | 測量士補 合格率(参考) |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和8年(2026) | 5月17日 | 3,966名 | 961名 | 24.2% | 44.4% |
| 令和7年(2025) | 5月18日 | 3,703名 | 1,487名 | 40.2% | 51.2% |
| 令和6年(2024) | 5月19日 | 3,717名 | 485名 | 13.0% | 31.4% |
| 令和5年(2023) | 5月21日 | 3,667名 | 379名 | 10.3% | 32.2% |
| 令和4年(2022) | 5月15日 | 3,194名 | 460名 | 14.4% | 44.1% |
| 令和3年(2021) | 9月12日 | 2,773名 | 498名 | 18.0% | 34.8% |
| 令和2年(2020) | 11月22日 | 2,276名 | 176名 | 7.7% | 30.3% |
| 令和元年(2019) | 5月19日 | 3,232名 | 479名 | 14.8% | 35.8% |
測量士補側の合格率は、別記事で扱った令和元年〜令和8年の数値をそのまま再掲しています。両者を横に並べてみると、どの年度でも測量士の合格率が測量士補を下回っていることが分かります。差が最も小さい令和7年でも11ポイント、最も大きい令和4年では29.7ポイントの開きがあり、「測量士補より難しい」という漠然としたイメージが、数字の上でもはっきり裏付けられる形です。各年度に実際どんな問題が出たのかは、令和8年〜令和4年の測量士の過去問を午前・午後別に整理したページから公式PDFで確認できます。
2. 平均合格率で比べると、測量士は測量士補の半分以下
8年分の単純平均を出すと、測量士は約17.8%、測量士補は約38.0%です。測量士の平均合格率は、測量士補のおよそ47%、つまり半分よりやや低い水準にとどまっています。「測量士補は3人に1人以上が合格する試験」と言われる一方で、測量士は「5〜6人に1人」程度というのが、確認できた8年間の実態に近い表現になりそうです。
もっとも、平均だけを見て「毎年これくらいの確率」と考えるのは早計です。次の項目で触れるとおり、測量士の合格率は年によるブレそのものが測量士補よりもずっと大きいからです。
「偏差値」は公式の指標ではない
「測量士の偏差値は60前後」といった数字をネットで見かけることがありますが、これは各サイトが独自に推定したもので、国土地理院などの公的機関が出している指標ではありません。算出方法もサイトごとに違うため、本記事では偏差値は載せず、公表されている合格率で位置づけを見ています。合格率も試験ごとの受験者の顔ぶれに左右されるので、「数字が低い=必ず難しい」と単純に並べられない点は押さえておきたいところです。
3. 実は「振れ幅」も測量士のほうがずっと大きい
8年間の最高値と最低値を比べると、両者の性格の違いがよく見えます。
- 測量士:最高40.2%(令和7年)、最低7.7%(令和2年) ― 約5.2倍の開き
- 測量士補:最高51.2%(令和7年)、最低30.3%(令和2年) ― 約1.7倍の開き
測量士補も年度差はそれなりにありますが、測量士はその比ではありません。ある年は10人に1人も受からず、別の年には5人に2人が受かる。そのくらい振れ幅の大きい試験だと考えておいたほうがよさそうです。
令和元年 士14.8%███ 補35.8%███████
令和2年 士 7.7%██ 補30.3%██████
令和3年 士18.0%████ 補34.8%███████
令和4年 士14.4%███ 補44.1%█████████
令和5年 士10.3%██ 補32.2%██████
令和6年 士13.0%███ 補31.4%██████
令和7年 士40.2%████████ 補51.2%██████████
令和8年 士24.2%█████ 補44.4%█████████
この振れ幅の大きさには、受験者数の少なさも関係していると考えられます。測量士の受験者数は8年間で2,276名(令和2年)〜3,966名(令和8年)と、測量士補(10,361名〜13,764名)の3分の1以下の規模です。受験者の母数が小さい試験は、合格者数が数十人〜百人単位で変わっただけでも、合格率のパーセンテージには大きく跳ね返りやすくなります。実際、令和6年から令和7年にかけて測量士の合格者数は485名から1,487名へと1,000名以上増え、合格率も13.0%から40.2%へと一気に跳ね上がりました。なお、建通新聞電子版の報道によると令和8年試験は受験者数が「過去20年最多」だったとされていますが、編集部が国土地理院の一次情報で20年分をさかのぼって確認できたわけではないため、この点は報道内容として紹介するにとどめます。
受験者数そのものの推移にも触れておく
測量士の受験者数を年度順に並べると、令和元年3,232名→令和2年2,276名→令和3年2,773名→令和4年3,194名→令和5年3,667名→令和6年3,717名→令和7年3,703名→令和8年3,966名という推移です。令和2年に大きく落ち込んでいるのは、別記事でも触れた新型コロナウイルス感染症に伴う試験延期の影響で、これは測量士補とまったく同じ理由です。その後は令和3年の振替受験を経て、令和4年以降はゆるやかな増加基調が続いており、令和8年は確認できた8年間で最も多い受験者数になっています。合格率の上下ばかりに目が行きがちですが、受験者数そのものが底を打って回復してきているという流れも、あわせて見ておくと数字の解像度が上がるはずです。
4. 令和7年、測量士も測量士補も揃って合格率が跳ねた年
表を見ていて目を引くのが、令和7年は測量士(40.2%)・測量士補(51.2%)ともに8年間で最も合格率が高い年になっている点です。別記事「測量士補の難易度は?合格率8年推移・合格点・勉強時間の目安」でも触れたとおり、令和6年6月12日の測量法改正(令和7年4月1日施行)により、両試験の科目名が整理され、三次元点群測量が出題対象に加わりました。この改正が施行されて最初に実施されたのが令和7年試験です。
法改正と合格率上昇のタイミングが重なっているのは興味深い事実ですが、国土地理院は出題難易度の調整基準を公表していないため、「法改正によって易化した」と編集部が因果関係を断定することはできません。あくまで、施行初年度に両試験がそろって高い合格率になった、という事実だけを押さえておくのが妥当だと考えています。翌令和8年には測量士24.2%・測量士補44.4%と、いずれも令和7年よりは下がっており、1年だけの結果で傾向を語るのは早計だとあらためて感じます。
5. なぜここまで差がつくのか ― 出題形式そのものが違う
合格率の差を生んでいる一番の理由は、そもそも試験の作りが違うことです。測量士補との構造的な違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 測量士補 | 測量士 |
|---|---|---|
| 試験構成 | 午後のみ・択一式28問 | 午前(択一式28問)+午後(記述式) |
| 満点 | 700点 | 1,400点(午前700点+午後700点) |
| 合格基準 | 450点以上(単純な絶対評価) | 午前450点以上、かつ合計910点以上の2段階 |
| 出題科目数 | 4科目 | 5科目(関連国際条約・地理情報システムを含む) |
測量士補が択一式28問だけで完結するのに対し、測量士は午前の択一に加えて午後に記述式の問題が課され、必須問題と選択問題を自分で組み立てて答案を書く力まで問われます。しかも合格基準は「午前450点以上」と「午前午後合計910点以上」の両方を満たす必要があり、どちらか一方が弱いだけで不合格になる設計です。出題科目も測量士補より1科目多く、範囲そのものが広がっています。この3つの違い(記述式・2段階の合格基準・科目の広さ)が、平均合格率で2倍以上、年による振れ幅ではさらに大きな差となって表れていると考えられます。試験制度そのものをより詳しく知りたい方は、別記事「測量士とは?測量士補との違いを完全解説」もあわせてご覧ください。
合格基準を問題数に直すと
2段階の合格基準を、具体的な数字に置き換えてみます。午前は1問25点×28問の700点満点なので、450点は「28問中18問正解」に当たります。つまり午前で11問以上落とすと、午後の出来にかかわらず不合格が決まります。午後は必須問題(300点)と、選択問題4題から2題(各200点)を解く700点満点の記述式です。午前をぎりぎりの450点で通過した場合、合計910点に届くには午後で460点、約66%が必要になります。午前で余裕を持って点を取るほど午後の負担が軽くなるので、「午前は通過できればよい」ではなく「午前でどれだけ貯金を作れるか」が戦略の軸になる試験です。
6. 「午前試験免除」と混同しないための注意
測量士補に関連する制度として「午前試験免除」という言葉を見かけることがありますが、これは土地家屋調査士試験を受ける際に、測量士補となる資格を持つ人(測量士補試験の合格者など)が午前の部を免除されるという制度です。測量士試験とはまったく別の話であり、「測量士補に受かれば測量士の午前が免除される」というような制度は存在しません。学歴と実務経験を組み合わせて試験なしで測量士になるルートは別にありますが、測量士補試験の合格だけでは使えず、これも免除制度とは別の話です。この違いについては、試験ルートと実務経験ルートを比べた記事で詳しく整理していますので、混同しそうな方はあわせて確認しておくと安心です。
7. 独学で埋められる差か ― データが示す判断材料
測量士補は、平均合格率約38%というデータからも分かるとおり、市販テキストと過去問だけで合格する独学者が一定数いる試験です。一方の測量士は、平均約17.8%、年によっては10%を下回る(令和2年は7.7%)こともあり、単純な暗記量だけでなく午後の記述式にどう対応するかが合否を分けます。記述式は択一式と違って「自分の答案がどこまで採点基準を満たしているか」を独学で客観的に判断しづらいという壁があり、これが測量士補と測量士とで独学の難易度感が大きく変わる理由のひとつです。
もちろん、実務で測量に日常的に触れている人や、記述対策に近い勉強をすでに積んできた人であれば、独学での合格も十分に現実的です。自分がどちらのタイプに近いか、必要な勉強時間の目安も含めてもう少し具体的に知りたい方は、別記事「測量士は独学で合格できる?必要な勉強時間」で詳しく扱っています。合格率のデータだけを根拠に「独学は無理」と決めつけるつもりはありませんが、記述式という未知の壁がある以上、演習量と添削サポートのある講座を選択肢に入れておいて損はないはずです。
監修者・境さんのコメント
「仕入れ営業の実務では測量士の方が作った測量図や計画書を見る機会があるのですが、あの資料の裏に、これだけ振れ幅の大きい試験を突破した積み重ねがあるのかと思うと、見え方が変わります。8年分の数字を並べてみると、測量士補よりずっと当たり外れが大きい試験なんだな、というのが率直な感想です。今は測量士補の学習段階で、測量士の記述式問題はまだ実際に解いたことがありませんが、自分がいつか測量士を目指すとしたら、記述式の対策だけは独学で乗り切れる自信は正直ありません。」
測量士試験の電卓は、会場で用意されたものだけ
午後の記述式には、計算や作図を伴う問題も出ます。ここで見落としがちなのが電卓のルールで、測量士試験で使えるのは国土地理院が会場で用意する電卓だけです。使い慣れた自分の関数電卓は持ち込めないので、普段から高機能な電卓に頼っている人ほど、本番の計算手順を組み立て直す必要があります。過去問は国土地理院が問題と解答例を公式サイトで公開しているので、まずは公式の解答例と自分の答案を突き合わせるところから始めるのが、費用をかけずにできる最初の一歩です。
公式の解答例とあわせて、過去問を分野ごとにまとめて解き比べたい場合は、科目別に整理された解答集が使えます。
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8. よくある質問
Q. 測量士と測量士補、合格率はどれくらい違いますか?
A. 編集部が確認できた令和元年〜令和8年の8年間で見ると、測量士の平均合格率は約17.8%、測量士補は約38.0%です。測量士は測量士補のおよそ半分より少し低い水準で推移しています。
Q. 測量士試験は年によって合格率の差が大きいですか?
A. はい。確認できた8年間で測量士は7.7%〜40.2%と約5.2倍の開きがあり、測量士補の30.3%〜51.2%(約1.7倍)と比べても振れ幅がかなり大きい試験です。受験者数が測量士補の3分の1以下と少ないことも、振れ幅の大きさに影響していると考えられます。
Q. 測量士補に合格していないと測量士は受けられませんか?
A. 受験資格に測量士補の有無は関係ありません。測量士試験も測量士補と同じく、年齢・学歴・実務経験・国籍を問わず誰でも受験できます。詳しくは別記事測量士とは?測量士補との違いを完全解説で解説しています。
Q. 独学で測量士に合格するのは難しいですか?
A. 不可能ではありませんが、測量士補より独学のハードルは上がります。特に午後の記述式は自己採点が難しく、答案添削のある講座を活用する受験者も少なくありません。詳細は別記事測量士は独学で合格できる?必要な勉強時間をご覧ください。
Q. 測量士補から測量士へ「午前試験免除」で進めますか?
A. いいえ。午前試験免除は土地家屋調査士試験に関する制度であり、測量士試験とは無関係です。測量士補から測量士へのルートについては、試験ルートと実務経験ルートを比べた記事で正確に整理しています。
9. まとめ
測量士試験の合格率は、編集部が確認できた令和元年〜令和8年の8年間で平均約17.8%と、測量士補の約38.0%と比べて一段低い水準です。しかも年による振れ幅は測量士補以上に大きく、最低7.7%から最高40.2%まで約5.2倍の差が開いています。午前・午後2部構成で記述式問題が課される出題形式、そして「午前450点以上かつ合計910点以上」という2段階の合格基準が、この難易度差を生んでいる主な要因です。
年度の当たり外れが測量士補以上に大きい試験だからこそ、独学だけに頼らず、記述式対策や演習量をサポートしてくれる講座も視野に入れておくと、どの年の問題に当たっても対応できる得点力を作りやすくなります。迷ったときは、まず通信講座の比較ページで各社のカリキュラムと価格を見比べてみることをおすすめします。
出典・参考情報(2026年9月16日確認)
- 国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果」 https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html
- 国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果(受験者数・合格者数・合格率)」(令和4年〜令和8年分の一覧)
- 国土地理院「令和8年測量士試験の合格者を発表」(受験者数3,966名、合格者数961名、合格率24.2%)
- 国土地理院「令和7年測量士試験の合格者を発表」(受験者数3,703名、合格者数1,487名、合格率40.2%、前年比1,002名増)
- 国土地理院「令和3年測量士・測量士補試験の合格者を発表」(測量士:受験者2,773名・合格者498名・合格率18.0%/測量士補:受験者12,905名・合格者4,490名・合格率34.8%)
- 国土地理院「令和2年測量士・測量士補試験の合格者を発表」(測量士:受験者2,276名・合格者176名・合格率7.7%/測量士補:受験者10,361名・合格者3,138名・合格率30.3%)
- 国土地理院「令和元年測量士・測量士補試験の合格者を発表」(測量士:受験者3,232名・合格者479名・合格率14.8%/測量士補:受験者13,764名・合格者4,924名・合格率35.8%)
- 国土地理院「令和8年測量士・測量士補試験受験案内」PDF(合格基準・配点・試験科目)
- 建通新聞電子版「測量士試験の合格率24.2% 受験者数は過去20年最多」(参考情報として紹介、編集部による一次情報の20年分遡及確認はしていません)
- 本サイト記事「測量士補の難易度は?合格率8年推移・合格点・勉強時間の目安」(測量士補側の年度推移データ)
- 本サイト記事「測量士とは?測量士補との違いを完全解説」(試験制度・出題形式の詳細)
※合格率は年度により変動します。最新の試験結果は国土地理院公式サイトで必ずご確認ください。平成30年以前のデータは、本記事執筆時点で公式ページを確認できなかったため掲載していません。





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