令和8年 測量士試験 午前 過去問解説【第1弾】No.1〜No.3

令和8年 測量士試験 過去問解説【第1弾】No.1〜No.3(午前・択一式) 測量士

結論から先に言うと
令和8年(2026年)5月17日実施の測量士試験・午前(択一式)について、国土地理院が公表した公式の問題・正解をもとに、No.1〜No.3を解説します。測量法の用語、測地系(JGD2024・ITRF)、公共測量の作業規程と、いずれも測量士補より一段踏み込んだ内容です。本シリーズは今後、問題ごとに1本ずつ積み増していく予定です。午前の範囲で不安な単元があった方は、講座選びの前に比較ページをチェックするから検討してみてください。

この記事について

測量士試験は午前(択一式・28問)と午後(記述式・必須1題+選択2題)の2部構成で、令和8年試験は測量士補試験と同じ2026年5月17日に実施されました。本記事は国土地理院公開の「測量士試験問題」「測量士試験解答」PDF(出典は末尾に明記)をもとに、午前の択一問題のうちNo.1〜No.3を編集部が要約・解説したものです。午後の記述式は採点の粒度が択一と大きく異なるため、このシリーズでは当面、午前の択一式に絞って扱います。著作権に配慮し問題文の全文転載は避けているので、正確な文言は公式PDFでご確認ください。監修者・境さんは不動産仕入れ営業の実務者で、日常的に測量図面や境界の話に触れています(測量士補試験の受験者で、測量士試験は未受験)。今回は、実務でどう見えるかという目線でコメントしています。


No.1 測量法の用語(測量・公共測量・測量標)

論点の要約:測量法に規定された事項について述べたa〜eの5つの記述のうち、「明らかに間違っているものだけの組合せ」を選ぶ問題です。「測量」「公共測量」「基本測量及び公共測量以外の測量」といった定義語の正誤と、測量標の保護規定の正誤が問われています。

解答へのアプローチ:誤りは、公共測量の定義を「費用の負担」のみで説明し「費用の補助」を含めなかった記述と、「基本測量及び公共測量以外の測量」を「測量成果を使わない測量」と言い換えてしまった記述の2つです。公共測量は費用を国・公共団体が負担する場合だけでなく、補助する場合も含みます。また「基本測量及び公共測量以外の測量」は、成果を使うかどうかではなく、実施主体や費用負担の枠組みで分類される概念なので、この言い換えは成立しません。残る3つの記述、すなわち測量の定義に地図の調製・測量用写真の撮影が含まれること、公共測量が基本測量または公共測量の成果に基づいて実施されなければならないこと、国土地理院の長の承諾なく測量標を移転・汚損してはならないことは、いずれも条文どおり正しい内容です。

関連知識ポイント:測量士補試験でも「測量記録」「測量成果」「測量標」といった用語の混同を狙う出題がありますが、測量士試験ではそこに「公共測量の定義」「費用負担の範囲」まで踏み込んだ精度が要求されます。条文の言葉を自分の言葉で言い換えず、定義そのものを正確に覚える姿勢が問われる問題です。


No.2 国際地球基準座標系(ITRF)と我が国の測地系

論点の要約:ITRF(国際地球基準座標系)と日本の位置の基準について述べたa〜eの記述から、「明らかに間違っているものだけを全て含む組合せ」を選ぶ問題です。JGD2024とITRFの関係、測量法が規定する回転楕円体、日本各地をITRF座標で表した場合のX・Y座標の符号や大小関係が題材になっています。

解答へのアプローチ:測量法が規定する回転楕円体はGRS80で、GPSで馴染み深いWGS84とは法令上別物です。ここを混同させる記述が1つ目の誤り。次にITRFの座標軸は赤道面上でX軸がグリニッジ子午線(経度0°)、Y軸が東経90°の方向を向いており、経度120〜150°付近にある日本列島のX座標は負になるため、「X座標の符号は正」とする記述も誤りです。さらにY座標は90°から離れるほど値が小さくなる関係にあり、経度約131°の九州より経度約143°の北海道のほうが90°から離れているため、Y座標が大きいのは九州側です。「北海道のほうが大きい」という記述もここで誤りとなります。一方、JGD2024がITRF2020に基づいていること、ITRFの原点(X・Y・Z座標が全て0の点)が地球の重心であることは、いずれも正しい記述です。

ITRFのX軸(経度0°)・Y軸(東経90°)と日本列島の位置関係。日本のX座標は負、Y座標は北海道より九州のほうが大きい

関連知識ポイント:座標軸の向きから符号や大小を頭の中で組み立てる問題は、測量士試験らしい出題の一つです。暗記ではなく、経度・緯度と座標軸の関係を図でイメージできるかどうかが差になります。測量士補の学習範囲を一歩超えた、測地測量の基礎理論に踏み込む単元です。


No.3 公共測量における測量成果の検定・主任技術者

論点の要約:公共測量における測量計画機関・測量作業機関の対応について述べたa〜eの記述から、「明らかに間違っているものだけを全て含む組合せ」を選ぶ問題です。製品仕様書の作成義務、測量成果の検定の実施方法、主任技術者の資格要件が主なテーマです。

解答へのアプローチ:誤りは3つ。「作業規程の準則」を準用する場合でも地理空間情報プロファイル(JPGIS)準拠の製品仕様書を省略できる、とする記述(実際は省略できない)。測量計画機関から検定を指定された成果について、担当外の自社測量士が検定した、とする記述(この種の検定は自社内完結では不十分)。そして主任技術者は「測量士でなくとも高度な技術と実務経験があれば良い」とする記述(主任技術者は測量士であることが要件)です。一方、精度管理として作業終了後速やかに点検測量を行うこと、1級基準点測量の点検測量を標準の点検測量率で実施したことは、いずれも作業規程の準則に沿った正しい対応です。

関連知識ポイント:この問題は法規の暗記というより、公共測量の品質管理の仕組みそのものへの理解を問うています。誰が・何を・どこまで確認するのかという役割分担の感覚は、測量士補の学習段階では触れにくく、実務・上位資格ならではの視点です。


他の年度も通しで解くなら

測量士試験は記述式(午後)まで含めた模範解答が手元にあると、独学でも自己採点がしやすくなります。

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まとめ:次に何をすべきか

今回のNo.1〜No.3は、測量法の定義、測地系・ITRFの理論、公共測量の品質管理という3つの異なる角度からの出題でした。測量士補の過去問と比べると、暗記だけでなく理屈で組み立てる場面が増えるのが測量士試験の特徴だと感じます。午前で間違えた分野があった方は、独学で個別につぶすより、体系立てて学び直せる講座を検討したほうが効率的な場合もあります。

No.1〜No.3で誤りだった記述の一覧。公共測量の費用の補助、GRS80とWGS84、ITRFのX・Y座標、製品仕様書・検定・主任技術者

監修者・境さんより
「正直に言うと、No.2のITRFの問題は今の自分にはまだハードルが高いです。測量士補の勉強をしている今の視点から見ると、測量士はもう一段上の理屈の世界なんだなというのを実感しました。逆にNo.3の『検定を誰がやるか』という話は、仕事で書類や契約の確認を誰がどこまでチェックするかという場面と重なるところがあり、実務の感覚として腑に落ちるものがありました。測量士補から測量士へのキャリアパスについては別の記事にまとめているので、気になる方はそちらもどうぞ。」



測量士は独学で合格できる?必要な勉強時間
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過去問演習を進める中で「独学と講座、どちらが自分に合うか判断できない」「測量士補から測量士へのステップアップを具体的に知りたい」という方は、以下もあわせて参考にしてください。



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続くNo.4〜No.6(UAV事故時の対応・座標の回転変換・測量の基準)は令和8年 測量士 午前の過去問解説 第2弾で扱っており、令和8年〜令和4年の午前・午後の問題・解答PDFは測量士 過去問の年度別まとめから一覧で確認できます。


出典・参考情報(2026年9月16日確認)

  • 国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果」(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html )
  • 国土地理院「令和8年測量士試験問題(午前)」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000278970.pdf )
  • 国土地理院「令和8年測量士試験解答(午前)」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000278971.pdf )
  • 国土地理院「令和8年測量士・測量士補試験の実施状況等について」(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/goukaku_2026.html )

※本記事の問題要約・解説は編集部が公式PDFをもとに作成したものです。問題文の正確な表現は国土地理院の公式PDFでご確認ください。

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