単曲線(円曲線)の計算を例題で解説|接線長・曲線長・BC・ECの追加距離と偏角法

測量士補

結論から先に言うと
単曲線の計算は、交角 I と半径 R の2つから始まります。接線長 TL=R·tan(I/2)、曲線長 CL=R·I(Iはラジアン)の2式を押さえれば、BC=IP−TL、EC=BC+CL で位置まで出せます。試験で間違えやすいのは「ECをIP+TLで出してしまう」「度のまま掛けてしまう」の2点。この記事では編集部が作った例題と、令和8年の過去問No.26を、検算済みの数値で解きます。計算問題の全体像は測量士補試験の計算問題パターン・公式一覧にあります。

道路や鉄道のカーブは、直線と直線のあいだを円弧でなめらかにつなぐ形で設計される。測量士補の試験では、この円弧の長さや位置を求める問題が応用測量の分野で顔を出す。トラバース計算ほど毎年必ず出るわけではないが、出たときは公式を知っているかどうかで差がつく、いわば「取りこぼしたくない」計算だ。

この記事では、まず単曲線の用語と図を整理し、公式を一つずつ確かめる。そのうえで例題を3本(BC・ECの追加距離、偏角法、令和8年の過去問)解き、最後によくあるミスを整理する。縦断・横断測量など路線測量の他の作業は縦断測量・横断測量の記事に分けたので、ここでは曲線の計算だけを扱う。路線測量の作業全体の流れ(線形決定から用地幅杭設置まで)は路線測量の記事にまとめた。

本記事の情報について
例題1・2は編集部が作ったオリジナルで、実在の道路や案件ではありません。数値はすべてPythonで計算して検算しています。例題3は国土地理院の令和8年測量士補試験の問題で、公表されている正解と一致することを確かめました。なお、国土地理院の「作業規程の準則」には、単曲線の公式そのものは載っていません。公式は円と接線の幾何から導けるもので、本文では図の関係から確かめる形にしています(出典は末尾)。


1. 単曲線とは:用語と記号をそろえる

IP・BC・EC・交角・半径

単曲線とは、2本の直線(接線)を1つの円弧でつなぐカーブのこと。円弧の半径がずっと一定なので、「円曲線」とも呼ばれる。試験の問題文でも「円曲線」と書かれることが多い。

用語は次のとおり。

記号 呼び方 意味
IP 交点 2本の直線を延長してぶつかる点
BC 曲線始点 直線から円弧に入る点
EC 曲線終点 円弧から直線に戻る点
I 交角 直線の向きが変わる角(進行方向がどれだけ曲がるか)
R 曲線半径 円弧の半径
TL 接線長 IPからBC(またはEC)までの距離
CL 曲線長 BCからECまでの円弧の長さ
SL 外線長 IPから円弧の中点までの距離
M 中央縦距 円弧の中点から、BCとECを結ぶ弦までの距離

このうち、IPについては準則の第639条に出てくる。「線形決定」とは、路線選定の結果に基づいて地形図上で交点(IP)の位置を座標として定め、線形図データファイルを作る作業だと定められている。道路をどこに通すかを決めるとき、まず設計者が置くのがこのIPで、BCやECはそこから計算で求まる点にあたる。

「交角」の取り方に注意

ここが最初のつまずきどころになる。試験で言う交角Iは、直線がどれだけ向きを変えたか(偏向角)のこと。IPで2本の直線が作る内側の角(たとえば120°)ではなく、真っすぐ進んだ場合からの曲がり量(その場合は60°)を指す。この記事の例題で I=60° としているのは、内側の角が120°のカーブにあたる。

試験では図が付いているので、角度記号がどこに付いているかを図で確かめれば迷わない。令和8年のNo.26の図でも、交角の記号は「まっすぐ進んだ線の延長」と「曲がったあとの線」のあいだに付いていた。


2. 公式を図から確かめる

BCで円弧に接する半径と、ECで円弧に接する半径は、どちらも接線と直角に交わる。この2本の半径がつくる角(中心角)は、交角Iと同じ大きさになる。ここが全部の出発点だ。

接線長 TL=R·tan(I/2)

円の中心Oと、IPと、BCを結ぶと、BCで直角の三角形ができる。直角を挟む辺は半径R(O〜BC)と接線長TL(BC〜IP)で、IPの側から見た中心Oの方向は、中心角Iの半分の角度を作る。だから、

TL=R·tan(I/2)

となる。IPからECまでの長さも同じTLで、二等辺の形になる。

曲線長 CL=R·I(ラジアン)

円弧の長さは「半径×中心角(ラジアン)」。中心角が交角Iに等しいので、CL=R·I(Iはラジアン)。度で与えられたときは、π=3.14などを使ってCL=R×I(度)×π÷180とする。試験で「度のままR×60を計算してしまう」ミスは、よくある。必ず180分のπを掛ける。

外線長 SL と中央縦距 M

円弧の中点は、IPと中心Oを結ぶ線の上にある。IP〜O間の距離は R÷cos(I/2) だから、そこから半径Rを引いた分がIPから円弧の中点までの距離になる。

SL=R(1/cos(I/2)−1)、 M=R(1−cos(I/2))

Mは、弦(BCとECを結ぶ線)の中点から円弧の中点までの距離で、弦の長さは C=2R·sin(I/2)。試験で出る頻度はTLやCLより低いが、念のため式だけは持っておくと安心だ。

数値の一例で確かめる

R=300 m、I=60° で計算すると、次のようになる(Pythonで計算した値)。

要素 式 値
接線長 TL 300×tan30° 173.205 m
曲線長 CL 300×(60×π÷180) 314.159 m
外線長 SL 300×(1/cos30°−1) 46.410 m
中央縦距 M 300×(1−cos30°) 40.192 m
弦長 C 2×300×sin30° 300.000 m

弦長がちょうどRと同じ300mになるのは、I=60°のとき、BC・EC・中心Oが正三角形になるため。数字の見た目で検算しやすい。さらに、座標で円と接線を置いて、IPから円弧の中点までの距離を直接計算しても46.410m、中点から弦までの距離も40.192mと、上の値に一致した。


3. 例題1:BC・ECの追加距離を求める

追加距離とは

路線の起点からの距離を追加距離という。道路の図面では、起点から20mごとの杭を「No.1」「No.2」と呼び、その間の点は「No.12+10.000」のように書く。準則の中心点の設置間隔は、道路の実施設計で20m、計画調査で100mまたは50mが標準とされている(第643条第3項)。杭の番号は図面上の慣行なので、準則の条文に書式の定めがあるわけではない。

問題

IPの追加距離が 1,234.560 m、交角 I=60°、曲線半径 R=300 m の単曲線がある。TL、CL、BCの追加距離、ECの追加距離を求めよ。

解き方

(1) 接線長
TL=300×tan30°=300×0.57735=173.205 m

(2) 曲線長
CL=300×60×π÷180=314.159 m

(3) BCの追加距離
BC=IP−TL=1,234.560−173.205=1,061.355 m

(4) ECの追加距離
EC=BC+CL=1,061.355+314.159=1,375.514 m

ここが落とし穴

ECを「IP+TL=1,407.765 m」としてしまうのが、よくある間違い。IPまで曲線に沿わずに直線で来る道のりはBC〜IP〜ECで2TL=346.410mだが、実際に通る道のりは円弧のCL=314.159m。その差 2TL−CL=32.251mだけ、曲線に沿うほうが短い。だからEC=IP+TL−(2TL−CL)=IP+CL−TLになる。検算すると、1,234.560+314.159−173.205=1,375.514mで、上の結果と一致する。

IPの追加距離は「直線の折れ線で測った距離」、ECの追加距離は「曲線に沿った距離」であることを、図に書き込んでおくと間違えにくい。


4. 例題2:偏角法で曲線を現地に出す考え方

偏角法とは

BCとECがわかったら、そのあいだの円弧を現地に杭で出していく。その方法のひとつが偏角法だ。BCにトータルステーション等を据えて、接線から測った角度(偏角)と、BCからの距離で、曲線上の点を一つずつ決めていく。なお、この方法の手順そのものは今回、準則の条文では確かめられていないため、ここでは幾何から導ける範囲に絞って説明する。

偏角の求め方

円周角の定理(接線と弦のなす角は、その弦に対する中心角の半分)から、BCから曲線上の点までの円弧の長さをlとすると、

偏角 δ=(l÷R)÷2 ラジアン=l÷(2R) ラジアン

となる。度に直すなら、δ(度)=l÷(2R)×180÷π。ECでの偏角はl=CLのときで、CL÷(2R)=I÷2。つまりECでの偏角は常に I/2になる。これが検算に使える。

計算してみる

例題1と同じ曲線(R=300 m、BC=1,061.355 m)に、20mごとの杭を出す。BCの次の杭はNo.54(1,080 m)で、BCからの円弧の長さは18.645m。以下、20m刻みで進む。

点 追加距離 BCからの円弧長 l 偏角 δ 弦長 2R·sin(δ)
BC 1,061.355 0.000 0°00′00″ 0.000
No.54 1,080.000 18.645 1°46′50″ 18.642
No.55 1,100.000 38.645 3°41′25″ 38.618
No.56 1,120.000 58.645 5°36′01″ 58.552
…… …… …… …… ……
EC 1,375.514 314.159 30°00′00″ 300.000

弦長は、円弧の長さlよりほんの少し短くなる(No.56で58.645mに対して58.552m)。現地で距離を出すとき、この差は無視できない。ただ、20mごとに刻むと、弦と弧の差はごくわずかになる。

最後のECの偏角が、検算どおり30°00′00″(=I÷2)に収まった。本番の試験で偏角法そのものを問う問題は多くない。ただ、「偏角=円弧がつくる中心角の半分」という関係は、図から式を作り直すときに役に立つ。



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5. 例題3:令和8年 測量士補試験 No.26 を解く

問題の内容

国土地理院が公表している令和8年測量士補試験問題のNo.26では、曲線半径R=350 m、交角α=90°の円曲線(現道路)を、交角β=60°の新しい円曲線(新道路)に改良する場面が出る。新道路の起点BCと交点IPの位置は現道路と同じで、円周率π=3.14とし、新道路のBC〜EC′の路線長に最も近いものを5つの選択肢から選ぶ、という問題だ。選択肢は518m、550m、606m、634m、672mで、公表された正解は4(634m)である。

この問題の解き方は、令和8年の応用測量の問題を扱った令和8年 測量士補 過去問解説【第7弾】No.25〜28でも図入りで説明している。ここでは、公式の使い方だけを追う。

解き方

BCとIPの位置が変わらないので、接線長TLも変わらない。

(1) 現道路の接線長 TL=350×tan45°=350 m

(2) 新道路の半径 R′=TL÷tan30°=350÷0.57735=606.2 m

(3) 新道路の路線長 CL′=R′×β(度)×π÷180=606.2×60×3.14÷180=634.5 m

よって最も近いのは選択肢4の634 m。Pythonで計算した値は、R′=606.218 m、CL′=634.508 m(π=3.14を使った場合)で、公表正解と一致した。

選択肢に用意されている「途中の数字」

ここで気をつけたいのは、選択肢の中に途中経過の数値が並んでいることだ。(2)の606.2mは選択肢3の「606 m」に、現道路の路線長350×90×3.14÷180=549.5mは選択肢2の「550 m」に、それぞれほぼ一致する。半径を出したところで手を止めると不正解になる仕組みになっている。何を求める問題か(路線長)を、式を立てる前にもう一度確認する癖をつけておくとよい。

なお、問題文には「関数の値が必要な場合は、巻末の関数表を使用すること」とある。電卓で tan を出す前提ではなく、関数表の値を使って筆算する形だ。電卓が使えない試験での計算の進め方はトラバース測量の計算の記事の後半にまとめてある。


6. 試験で使う型のまとめと、よくあるミス

単曲線の問題を解くとき、まず「何が与えられていて、何を求めるのか」を整理すると、使う式が決まる。

与えられたもの 求めるもの 使う式
R、I TL R·tan(I/2)
R、I CL R×I(度)×π÷180
TL、I R TL÷tan(I/2)
IPの追加距離、TL BC IP−TL
BC、CL EC BC+CL
R、I SL・M 第2節の式

ミスが出やすいのは次の3点。

  1. CLを出すとき、度のまま掛ける(π÷180を忘れる)
  2. ECをIP+TLにしてしまう(例題1の落とし穴)
  3. 交角Iと、IPでの内側の角(180°−I)を取り違える

もう1つ、tan(I/2) の「2で割る」のを忘れる人も多い。I=60°なのに tan60°(=1.732)で計算すると、TLが3倍になって、図で見ると明らかにおかしい長さになる。答えが出たら「TLは半径と比べて大きすぎないか」を目で確かめるのが安全だ。

こうした計算練習を過去問でどこまでやるかは、測量士補 過去問|年度別の問題・解答と分野別の解き方まとめの分野別の辿り方が使いやすい。




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7. まとめ

  1. 単曲線の計算は、交角Iと半径Rから始める。TL=R·tan(I/2)、CL=R×I(ラジアン)が基本の2式
  2. 追加距離は、BC=IP−TL、EC=BC+CL。ECをIP+TLにしないこと
  3. SL=R(1/cos(I/2)−1)、M=R(1−cos(I/2))、弦長C=2R·sin(I/2)。図から作り直せる
  4. 偏角法の偏角は円弧の中心角の半分で、ECでの偏角は常にI/2になる。検算に使える
  5. 令和8年No.26は、TLが共通という条件から半径を逆算し、路線長まで進める問題。途中の数値が選択肢に用意されている

公式を覚えるだけでなく、図に書いて「何が既知か」を整理する練習を数問重ねるのが近道だ。計算問題の演習量に不安があるなら、3社のカリキュラムと価格を並べた比較ページで演習の量や形式も見比べてみるとよい。


よくある質問(FAQ)

Q1. 接線長の公式 R·tan(I/2) の I は、度のままで使えますか?

tan の中は度のままで構いません。ただし、曲線長CL=R·I のときは、Iをラジアンにする必要があります。度で計算するなら、R×I(度)×π÷180とします。

Q2. 交角Iが大きいほど、曲線は急になりますか?

半径Rが同じなら、Iが大きいほど曲線長CLは長くなります。「急さ」を決めるのは半径で、半径が小さいほどカーブはきつくなります。

Q3. ECの追加距離は、IPの追加距離に接線長を足せば求まりますか?

求まりません。IPの追加距離は直線の折れ線に沿った距離で、曲線に沿うとBC〜ECは直線2本より短くなります。BC=IP−TLを出してから、EC=BC+CLで求めてください。

Q4. 試験で関数表が必要なとき、tanの値は覚えておくべきですか?

令和8年のNo.26の問題文には、関数の値が必要な場合は巻末の関数表を使うとありました。30°・45°・60°のような代表的な角度の値(tan30°≒0.577など)は、覚えておくと検算が速くなります。

Q5. 緩和曲線は試験に出ますか?

この記事は、単曲線だけを扱っています。緩和曲線は準則の条文や過去問で確かめられていないため、ここでは触れません。


出典・参考

いずれも2026年10月26日に開いて確認した。

  • 国土交通省告示第413号「作業規程の準則」(国土地理院掲載の全文PDF): https://www.gsi.go.jp/common/000258734.pdf
  • 使った箇所は、第5編 応用測量 第2章 路線測量の第637条(細分)、第639条(線形決定。IPの定義)、第642・643条(中心線測量、中心点の設置間隔)。準則には単曲線の公式(接線長・曲線長など)は書かれていないことも、全文を検索して確かめた。
  • 国土地理院「令和8年測量士補試験問題」(No.26 は28ページ): https://www.gsi.go.jp/common/000278974.pdf
  • 国土地理院「令和8年測量士補試験解答」(No.26 の正解は4): https://www.gsi.go.jp/common/000278975.pdf
  • 確かめられなかったもの: 偏角法の手順を定めた公的資料、単曲線の公式を載せた公的資料(公式は円と接線の幾何から導き、数値は編集部がPythonで検算した)、図面上の曲線の寸法の書き方の決まり。これらは断定していない。

※本記事は一般的な解説記事です。個別の土地や案件の判断は、土地家屋調査士・測量士等の専門家にご確認ください。例題1・2の数値は編集部が作成したもので、実在の道路や案件ではありません。

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