結論から先に言うと
ドローンや3Dスキャナーの普及で「現場で測る」作業は確実に自動化が進んでいますが、測量法は基本測量・公共測量に従事できる技術者を測量士・測量士補に限定しており、この枠組みが変わらない限り資格そのものが不要になることは考えにくい状況です。一方で国土地理院の調査からは、資格を持つ人が余っているどころか、業界の高齢化と担い手不足のほうが深刻な課題として浮かび上がっています。将来性への不安より先に、どんな学習をして資格を活かすかを考えたい方は、比較ページで各社の講座内容を見ておくと判断材料になります。
「測量士補は将来なくなるのでは」という検索は、AIやドローンのニュースを見た人がふと抱く、わりと自然な疑問だと思います。測量という仕事自体、正直あまり馴染みがない人が多く、「機械が測ってくれるなら資格はいらないのでは」と感じるのも無理はありません。この記事では、測量法という法律の建て付けと、国土地理院・国土交通省が公表している統計データをもとに、この疑問に編集部なりに向き合ってみます。不安を煽るつもりも、逆に「絶対安泰です」と楽観論だけを並べるつもりもありません。
本記事の情報について
本記事は2026年9月16日時点で確認できる測量法の条文、国土地理院「令和5年度 測量業における測量士・測量士補に関する実態調査 報告書」(令和6年3月公表)、国土交通省の建設関連業登録業者に関する報道発表、国土交通省「i-Construction 2.0」(令和6年4月)等の一次情報をもとに編集部が作成しています。法制度や統計は今後変更・更新される可能性があるため、最新情報は各機関の公表資料をご確認ください。本記事は広告(アフィリエイト)を含みます。
1. そもそも測量士補は法律上どんな役割と決められているか
将来性の話をする前に、測量士補という資格が法律上どう位置づけられているかを押さえておく必要があります。測量法第48条では、測量士は「測量に関する計画を作製し、又は実施」する者、測量士補は「測量士の作製した計画に従い測量に従事する」者と定義されています。つまり計画を立てて責任を持つのが測量士、その計画に沿って実際の測量作業にあたるのが測量士補という役割分担です。
そしてもう一点、基本測量・公共測量には誰でも従事できるわけではないという規定があります。測量法上、これらの測量に技術者として従事できるのは、国土地理院に登録された測量士または測量士補に限られています。さらに測量業者は営業所ごとに測量士を1人以上置かなければならないという配置義務も定められています(測量法第55条の13)。民間の測量であればこの限りではありませんが、道路・河川・公共施設の整備といった公共測量が絡む案件では、有資格者がいないと事業そのものが成立しない構造になっているわけです。この「資格がないと従事できない」という法律の建て付けが、将来性を考えるうえでの土台になります。
2. ドローン測量・3Dスキャナーは測量の何を変えたのか
ここ数年で最も大きく変わったのは、現地でデータを取得する部分です。国土交通省が進めるi-Constructionでは、ドローンや3Dレーザースキャナーを使った3次元計測が土木工事の現場で広がっており、国が直接発注する工事では令和5年度時点で87%の案件に3次元計測技術が導入されました。人が立ち入りにくい急傾斜地や災害現場でも、ドローンなら短時間で広範囲を計測でき、データ処理の工程を含めても従来の測量方法に比べて労働力を4割程度まで抑えられるとされています。工期全体でも2〜3割の短縮効果が報告されており、この技術進化は「話題」ではなく、もう現場の当たり前になりつつあるというのが実態です。
ただし同じ資料は、都道府県・政令市が発注する土工事での3次元計測技術の導入率がまだ23%にとどまっていることも示しています。国の直轄工事と、それ以外の中小規模の発注とでは普及の温度差がかなりあり、「ドローン測量がすでに業界全体の標準になった」と言い切るのは、少なくとも現時点では早計です。
3. 技術が進化しても「有資格者」が必要とされる制度上の理由
ドローンや3Dスキャナーが高精度化しても、それだけで測量士・測量士補が不要になるわけではありません。理由はシンプルで、1章で見た測量法の枠組みが技術の進化とは別の次元で存在しているからです。基本測量・公共測量に技術者として従事できるのは登録された測量士・測量士補に限る、という規定自体は、ドローンがどれだけ進化しても法律が改正されない限り変わりません。ドローンやAIは「誰が計測データを取得するか」という部分の効率を上げる道具であって、「誰が計画を立て、誰が責任を持って測量に従事したことになるか」という制度上の主体を代替するものではない、という整理になります。
もちろん、測量業界からは資格制度そのものの見直しを求める声が出ていないわけではありません。国土地理院も測量技術者の資格制度のあり方について継続的に検討を行っており、今後、技術の変化に合わせて試験内容や登録要件が調整されていく可能性はあります。ただ、それは「資格制度の中身が変わる」という話であって、「資格自体が丸ごとなくなる」という話とは別問題だと編集部は考えています。
4. 「AIに仕事を奪われる」論をどう受け止めるか
AIやロボットが将来の仕事に与える影響については、野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究(2015年公表)が「日本の労働人口の49%が技術的には代替可能」という試算を出し、大きな話題になりました。ただしこの研究自体が断っているとおり、これはあくまで「技術的に代替可能かどうか」の試算であり、実際に導入するにはセンサーやデータベースの整備コストがかかるため、必ずしもそのまま現実の失業につながるわけではないとされています。測量士・測量士補という職種がこの試算の中で具体的にどう評価されているかまでは、編集部が確認できた範囲の一次資料では明確な数値を確認できませんでした。断定的な数字を持ち出して不安を煽るのは本サイトの方針にも反するので、ここでは踏み込みません。
その代わり、実務に近いところで起きていることを整理すると、ドローンや3Dスキャナーが代替しているのは、主に「現地で数値を取得する」という作業の部分です。取得したデータをどう測量計画に反映するか、境界の立会いで所有者同士の意見をどう調整するか、現場の異常値をどう判断するかといった場面には、依然として人の判断が必要とされています。技術が進化するほど、測量士・測量士補に求められる役割が「計測作業そのもの」から「計画・判断・品質管理」の側にシフトしていく、という見立てのほうが実態に近いのではないかと編集部は考えています。
5. むしろ深刻なのは「人手不足」というデータ
将来性を考えるうえで、AIよりも先に直視すべきデータがあります。国土地理院が令和6年3月に公表した「令和5年度 測量業における測量士・測量士補に関する実態調査 報告書」によると、測量業界では50歳代の測量士・測量士補が最も多く、5年前の調査と比較してさらに高齢化が進んでいます。経験年数でも20年以上のベテランが最も多い層で、若手への技術継承がうまく進んでいないことがうかがえます。
離職の傾向も対照的です。測量士の離職者は60歳代(定年退職)が最も多いのに対し、測量士補の離職者は20歳代が最も多く、理由としては「測量業以外への転職」が目立ちます。若手が資格を取っても業界に定着しにくいという、人材確保側の課題が浮かんできます。実際、同調査では令和2〜4年度の3年間で、測量士補の採用は5,568人の募集に対して応募1,874人・採用1,476人、測量士は募集6,497人に対して応募1,381人・採用995人にとどまっており、募集をかけても思うように人が集まっていない状況です。募集理由として最も多かったのは「人手不足のため」でした。
会社の数だけを見ても、測量業の登録業者数は平成15年度の14,750業者をピークに減り続けており、令和6年度末時点では11,140業者、21年連続の減少です(国土交通省、令和7年8月公表)。業者数が減っているという事実だけを見ると縮小業界に見えるかもしれませんが、実際に浮かび上がっている課題は「仕事がなくなって業者が減っている」というより、「小規模事業者を中心に、人材を確保できず事業継続が難しくなっている」という側面のほうが大きいというのが、この調査の分析です。将来性を「仕事があるかどうか」だけでなく「担い手が足りているかどうか」という角度から見ると、印象はだいぶ変わってくるのではないでしょうか。測量士補の資格を取ったあと、実際にどんな年収水準・仕事内容になるのかは、300万円台と500万円台でデータが割れる理由をまとめた記事で具体的に整理しています。
6. 監修者・境さんのコメント
境さんによると、不動産業界でも登記情報のデジタル化やAI査定ツールが増えているが、それで営業や査定の担当者が要らなくなった実感はない。むしろ、ツールが出す情報をどう解釈して現場の判断に落とし込むかに、より経験が求められるようになったという。測量業界の人間ではないが、外から見ても、この人手不足のデータは業界を問わず似た構造だと感じている。ドローンが数値を持ってくる時代だからこそ、その意味を理解できる有資格者の価値は下がらず、むしろ違う形で問われていくのではないかと見ている。
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まとめ:測量士補の将来性をどう考えるか
ドローンや3Dスキャナーが「現地で測る」作業を効率化していくのは間違いありませんが、測量法が基本測量・公共測量に従事できる技術者を測量士・測量士補に限定している以上、資格そのものが丸ごと不要になるとは考えにくいというのが、一次情報から読み取れる現状です。むしろ国土地理院の調査が示しているのは、資格者が余っているどころか、高齢化と若手の定着難という、AIとは別の角度の課題です。技術の進化によって仕事の中身が「計測」から「計画・判断」寄りにシフトしていく可能性は十分ありますが、それは仕事がなくなることとイコールではありません。
将来性への不安よりも大事なのは、変わっていく仕事の中身に対応できる基礎知識を、どう効率よく身につけるかだと編集部は考えています。独学で進めるか、通信講座で体系的にカバーするかを迷っている方は、比較ページで各社のカリキュラムを見比べてみてください。
測量業界の外でも、この手の基礎知識が「使える」と実感されている場面はあります。たとえば不動産の仕入れ営業では、境界や面積計算の知識が現場の判断にそのまま活きるという声があり、詳しくは別記事「測量士補の知識は不動産の仕入れ営業にどう活きる?」で具体的に紹介しています。
基礎を効率よく固める手段として講座を使うなら、過去7年分の過去問集と計算問題対策がそろっているアガルートが候補の一つです。フルカリキュラムは、2027年試験に合格すると条件付きで受講料(税抜)が返金される合格特典もあります。
不動産の仕入れ営業という仕事そのものに興味が湧いた方向けに、姉妹サイトで職種の中身と転職市場を解説しています。
出典・参考情報(2026年9月16日確認)
- 測量法 第48条(測量士・測量士補の職務)、第55条の13(測量業者の営業所ごとの測量士配置義務)
- 国土地理院「測量技術者の資格制度の在り方」(測量士・測量士補の資格制度、公共測量における必置規定の解説)
- 国土地理院「令和5年度 測量業における測量士・測量士補に関する実態調査 報告書」(令和6年3月公表、測量士・測量士補の年齢構成・離職動向・採用状況)
- 国土交通省「測量業は21年連続減少、建設コンサルタント・地質調査業は横ばい~令和6年度末の建設関連業登録業者の登録状況をとりまとめ~」(令和7年8月22日公表)
- 国土交通省「i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化~」(令和6年4月)
- 野村総合研究所「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」(2015年12月2日公表)
※統計・法制度は今後変更される可能性があります。最新の情報は各機関の公表資料をご確認ください。







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