結論から先に言うと
公共測量とは、国や地方公共団体などが費用を負担・補助して行う測量のうち、国土地理院が行う基本測量を除いたものです。道路・河川・地図づくりなど、公共の事業のための測量がこれにあたります。測量士補の試験では、この区分と作業規程の準則の考え方が土台として何度も出てきます。民間の土地の境界測量(登記のための測量)とは別物なので、混ぜて覚えないのがコツです。資格の学習で迷ったら3社の比較ページから確認してみてください。
「公共測量」という言葉は、測量士補の教材を開くと最初のほうで出てくる。ところが、実際に不動産の仕入れをしていると、日常で使うことはまずない。登場するのは、道路や河川の工事が近くで始まるときくらいだ。
だから、言葉の意味をなんとなくしか知らないまま試験勉強に入ってしまう人は多いと思う。この記事では、測量法が測量をどう分けているか、公共測量の例、作業規程の準則と国土地理院への手続の大まかな流れ、測量士・測量士補が必要とされる理由、そして民間の境界測量との違いを順に整理する。
なお、ここに書くのは一般的な整理で、条文そのものは確認できていない(出典欄を参照)。個別の手続や案件については国土地理院に確認してほしい。
1. 測量法は測量を3つに分けている
測量法では、測量は大きく3つの区分で考えられている。基本測量、公共測量、そして「基本測量及び公共測量以外の測量」だ。違いを決めているのは、測量の中身よりも「誰が、何のために、費用を誰が出して行うか」である。
| 区分 | 誰が行うか(一般に) | 位置づけ |
|---|---|---|
| 基本測量 | 国土地理院 | すべての測量の基礎になる測量。基準点や地図の整備など |
| 公共測量 | 国・地方公共団体などが、費用を負担・補助して実施 | 基本測量以外の、公共の事業のための測量 |
| 基本測量及び公共測量以外の測量 | 民間の事業者や個人など | 上の2つに当てはまらない測量 |
基本測量とは
基本測量は、国土地理院が行う測量で、国の土地の位置や高さの基礎になる。三角点や水準点といった基準点を整備したり、全国の基本になる地図をつくったりする仕事がそうだ。測量士補の試験でおなじみの電子基準点も、この基礎を支える仕組みのひとつにあたる。基準点の種類は測量用語集でやさしくまとめ、国の基準点から公共測量の1〜4級基準点へ点を増やしていく流れは基準点測量の記事で書いた。
公共測量とは
公共測量は、基本測量の成果をもとに、国や地方公共団体などが行う、または費用を負担・補助して行わせる測量のことだ。ここが少し分かりにくいのだが、自分たちで測量しなくても、費用を出してほかの人にやってもらえば公共測量になる、というのがポイントになる。実際の作業は、測量会社などが発注を受けて行うことが多い。
基本測量及び公共測量以外の測量とは
民間の会社や個人が、自分の費用で行う測量はここに入る。土地の境界を確かめる測量や、建築のための現況測量などだ。名前が長くて覚えにくいが、要するに「基本測量でも公共測量でもない、それ以外」である。
2. 公共測量の例
公共測量にあたる仕事の例は、身近なところにたくさんある。
道路の新設や改良のための測量、河川の整備や堤防の工事のための測量、都市計画のための地形図づくり、公共施設の用地の測量、といったものがそうだ。国や自治体が発注する、地図作成のための空中写真測量や航空レーザ測量も、公共測量として行われることがある。
共通しているのは、最終的に公共の事業のために使われるという点だ。品質を揃えるために出てくるのが、次の作業規程だ。
3. 作業規程の準則と国土地理院への手続
作業規程とは、その準則とは
公共測量を行う機関は、測量の方法や精度などを決めた「作業規程」を定める。そしてその作業規程の手本になるのが、国土交通大臣が定めた「作業規程の準則」だ。作業規程の準則は、公共測量の作業方法をそろえるための標準的なルールと考えるとよい。
公共測量の発注者は、一般にこの準則に沿って(準拠して)自分たちの作業規程をつくる。準則には、トータルステーションやGNSS測量、水準測量、写真測量、地図編集といった各測量の方法が項目別に書かれている。測量士補の試験で問われる内容と、ほぼ重なっている。
国土地理院への手続のおおまかな流れ
公共測量を実施する機関(測量計画機関)は、一般に次のような手続を求められる。
測量を始める前に、計画書を国土地理院に提出する。測量が終わったら、成果について審査を受ける。そのほか、作業規程を定めるときや、基本測量の成果(基準点など)を使うときにも、手続や承認が関わる場面がある。
どのタイミングでどの書類が必要か、期限や様式はどうなっているかといった中身は、条文や国土地理院の案内を見ないと正確に書けない。ここでは「国土地理院を窓口とした計画・審査の仕組みがある」ところまでを押さえておけば、試験のうえでも十分だ。実際の手続は国土地理院で確認できる。
4. 測量士・測量士補が必要とされる理由
公共測量の現場では、一般に測量士または測量士補が作業に従事する決まりになっている。計画をつくる段階では測量士が関わり、現場の作業では測量士補が従事する、というイメージだ。測量士と測量士補の違いは測量士とは?測量士補との違いを完全解説で詳しく書いている。
理由は、公共測量の成果がほかの測量や工事の土台として長く使われるからだ。作業にばらつきがあると、あとで誤差が積み重なって、道路や河川の工事に影響しかねない。そこで、一定の知識を身につけた資格者を作業の責任のあるところに置く、という仕組みになっている。
公共測量に携わる仕事で測量士補が求められるのは、このためだ。測量士補の仕事の中身や収入の実態は測量士補の年収はいくら?で整理している。
境さんのコメント
境さんは、仕入れの現場で「公共測量」という言葉を聞くことはほとんどないという。出てくるのは、買おうとしている土地の前の道路が拡幅される、といった話のときだ。「公共の事業で測量が入っています」と言われたら、境界や面積の話が動く可能性があるので、そこで耳が立つ。
学習を始めて、役所の発注する測量は民間の境界測量とは別のルールで動いていると整理できてからは、話の聞き方が変わった。どの測量の話なのかを最初に聞くようになったのが、一番大きいという。
5. 民間の境界測量(登記のための測量)とは別物
ここは仕入れ営業の立場から、強調しておきたい。公共測量と、土地の売買や登記のための境界測量は、別のものだ。
公共測量は、国や自治体の事業のために、作業規程の準則に沿って行われる。一方、民間の土地の境界を確かめる測量や、分筆・地積更正のための測量は、土地家屋調査士が登記に使うために行う。目的も、使うルールも、成果の使い道も違う。
そのため、道路や河川の公共測量で出た成果が、そのまま自分の土地の筆界を決めてくれる、というわけではない。公共事業に絡んで境界の話が出たときは、その土地の境界の確認は、役所の担当窓口と土地家屋調査士の両方に確かめるのが筋になる。民間側の測量の種類は、確定測量とは?現況測量との違いと測量図の種類と違いで比べている。
資格の面でも整理しておこう。土地家屋調査士が登記の測量を担当し、測量士・測量士補は主に測量法の世界(公共測量や測量会社の仕事)で働く、という分け方が基本だ。その関係は下の記事にまとめた。
6. 試験ではどこに出るか
測量士補の試験では、測量法の測量の区分、公共測量の作業規程の準則、測量の基準(測地系・座標系)のあたりが出題範囲に入る。試験の最初のほうの問題で、測量法や準則に関する正誤を問う形で出ることが多い。計算問題のように手を動かして解く分野ではなく、用語と区分をきちんと覚えているかどうかで差がつく。
準則の内容は、トータルステーション測量、GNSS測量、水準測量、写真測量といった、試験の主要な分野の手法とそのまま重なる。ということは、準則の項目名を軸に学習を整理しておくと、分野ごとの勉強がつながる。路線測量の中の縦断測量・横断測量の位置づけは、縦断測量と横断測量の解説記事で図面の読み方まで扱っている。年度別の問題と分野別の解き方は測量士補 過去問|年度別の問題・解答と分野別の解き方まとめから見られる。試験そのものの概要は先に挙げた測量士補の完全ガイドを、勉強の進め方は独学の勉強法とスケジュールを参考にしてほしい。
体系的に学んで合格を目指すか、独学で行くかで迷っているなら、価格とカリキュラムを比べたページが判断材料になる。
よくある質問
Q. 公共測量と基本測量の違いは何ですか?
A. 基本測量は国土地理院が行う、すべての測量の基礎になる測量です。公共測量は、国や地方公共団体などが費用を負担・補助して行う測量のうち、基本測量以外のものを指します。誰が何のために行うかで区分されます。
Q. 作業規程の準則とは何ですか?
A. 公共測量の作業方法をそろえるための標準的なルールです。公共測量を行う機関は、一般にこれに準拠して自分の作業規程を定めます。具体的な項目は国土地理院で確認できます。
Q. 公共測量には測量士や測量士補が必ず必要ですか?
A. 一般に、公共測量の作業には測量士または測量士補が従事するとされています。条文の中身は確認できていないため、細かな要件は国土地理院で確認してください。
Q. 土地の売買のための境界測量も公共測量ですか?
A. いいえ。民間の土地の売買や登記のための境界測量は、公共測量とは別のものです。個別の土地については、土地家屋調査士に確認してください。
Q. 測量士補の試験に公共測量は出ますか?
A. 測量法の区分や作業規程の準則に関する問題として、出題範囲に含まれます。年度ごとの出題は過去問で確かめるのが確実です。
まとめ
- 測量法は測量を、基本測量・公共測量・それ以外の3つに分けている。決め手は「誰が・何のために・費用を誰が出すか」
- 公共測量は、国や自治体などが費用を負担・補助して行う、基本測量以外の測量。道路・河川・地図づくりなどが例
- 作業方法は、国土交通大臣が定める作業規程の準則に沿ってそろえる。計画や成果の審査では国土地理院が窓口になるのが一般的
- 資格者(測量士・測量士補)を置くのは、成果が長く使われる土台だから
- 民間の境界測量(登記のための測量)は別物。個別の土地は土地家屋調査士に確認する
出典・参考
- 国土地理院「測量法」関係の案内(https://www.gsi.go.jp/ )※このサイトは本記事の執筆環境から開けておらず、内容を確認していない。確認先としての案内にとどめる
- 国土交通省・国土地理院「作業規程の準則」の存在と位置づけは、測量士補試験の教材で一般に説明されている内容を編集部で整理したもの
- 本記事の実務論点は、不動産業界・測量業界で一般的に知られている典型的な整理であり、特定の実在案件・企業を示すものではありません。
※条文は未確認(許可待ち)。一次資料(e-Gov法令検索・国土地理院)を開ける環境になりしだい照合する。手続の期限・様式・必要書類は、国土地理院で確認すること。
※本記事は一般的な解説記事です。個別の土地・案件の判断は、土地家屋調査士・測量士等の専門家にご確認ください。




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