地籍調査とは?国土調査法にもとづく流れ・費用負担・進捗率の調べ方と、調査済みの土地で変わること【仕入れ営業目線】

仕入れ営業×測量

結論から先に言うと
地籍調査とは、国土調査法にもとづいて、一筆ごとの土地の所有者・地番・地目を調べ、境界と面積を測って地図と簿冊にまとめる調査です。主に市町村が進めていて、終わった地域の成果は法務局に送られ、登記簿の内容が直され、地籍図が登記所の地図として備え付けられます。仕入れの目で見ると、その土地が調査済みかどうかで、公図の信頼度と登記簿の面積の当てになり方が変わるので、早い段階で確かめておく価値があります。調査済みかどうかは、市区町村の担当課と法務局で確認できます。測量の知識を体系的に身につけたいなら3社の比較表も参考にしてください。

土地の資料を集めていると、「国土調査済み」「地籍調査による地籍図」といった言葉に出会うことがある。逆に、公図を見ても何の調査を経た図面なのか分からず、そのまま次の作業に進んでしまう人も多いのではないか。

地籍調査は、役所が主体になって、土地の境界と面積を一筆ずつ調べ直していく大きな事業だ。名前は知っていても、誰が・どんな手順で・誰のお金でやっているのかを説明できる人は意外と少ない。この記事では、条文と国土交通省の資料で確かめた範囲で制度の骨組みを整理し、そのうえで仕入れの現場で「調査済みかどうか」をどう扱うかを書いていく。

なお、この記事は制度の説明であり、個別の土地が調査済みかどうか、境界がどこにあるかを判断するものではない。個別の土地は、所在地の市区町村の窓口、法務局、土地家屋調査士に確認してほしい。何をどう聞けばよいかは、後半の「調査済みかどうかの確かめ方」にまとめた。


  1. 1. 地籍調査とは何か
    1. 条文での定義:毎筆の土地を調べて、地図と簿冊にする
    2. 「測量」と「調査」が一体になっているのがポイント
  2. 2. 誰が行い、費用は誰が負担するのか
    1. 実施するのは市町村など
    2. 費用負担の考え方:国・都道府県・市町村で分ける
  3. 3. 調査の流れと、立会いで何が行われるのか
    1. 一筆地調査:現地立会いが原則
    2. 立会いが得られないと「筆界未定」になることがある
    3. 閲覧、認証、登記所への送付
  4. 4. 終わった地域で作られる「地籍図」と、14条地図の関係
    1. 地籍図は、登記所の「地図」として備え付けられる
    2. 14条地図の精度は、規則で決められている
    3. 登記簿の内容も同時に直される
  5. 5. 全国の進捗率と、調べ方
    1. 令和7年度末の進捗率:全国で53%
    2. 進捗率は「どの段階」を指しているか
    3. 市区町村別に調べるには
  6. 6. 調査済みかどうかで、仕入れの何が変わるか
    1. 調査済みなら、見るべき図面の質が変わる
    2. 登記簿の面積が、測量値に近い
    3. 筆界について、関係者の確認を経ている
    4. 調査済みでも、変わらないこと
    5. 調査済みでない地域の図面にズレがあるときは
  7. 7. 調査済みかどうかの確かめ方
    1. ステップ1:地番を調べておく
    2. ステップ2:法務局で、地図の「種類」を見る
    3. ステップ3:市区町村の担当課に、事実を聞く
    4. ステップ4:境界の位置そのものを確かめたいとき
  8. 8. まとめ:仕入れ営業が持ち帰るポイント
  9. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 地籍調査とは、簡単に言うとどんな調査ですか?
    2. Q2. 地籍調査の費用は誰が負担しますか?
    3. Q3. 地籍調査の立会いに行けないとどうなりますか?
    4. Q4. 地籍調査が終わった地域の「地籍図」は、公図と同じものですか?
    5. Q5. 自分の土地(または仕入れ候補の土地)が地籍調査済みかは、どこで分かりますか?
    6. Q6. 調査済みの土地なら、確定測量は要りませんか?
  10. 出典・参考(確認日:2026年10月17日)

1. 地籍調査とは何か

条文での定義:毎筆の土地を調べて、地図と簿冊にする

国土調査法の2条5項は、地籍調査を次のように定めている。「毎筆の土地について、その所有者、地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い、その結果を地図及び簿冊に作成すること」。つまり調べるのは、所有者・地番・地目・境界・面積の5つで、できあがるのが地図(地籍図)と簿冊(地籍簿)だ。

国土調査法の1条は、この法律の目的を「国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、あわせて地籍の明確化を図るため、国土の実態を科学的且つ総合的に調査すること」としている。地籍調査は、国土調査という大きな枠のうち、土地一筆ごとの「地籍」を明らかにする部分にあたる。国土交通省が発表資料で地籍調査を「土地の戸籍」と呼んでいるのも、この性格をよく表している。

「測量」と「調査」が一体になっているのがポイント

測量士補の勉強をしていると、測量は「測る作業」というイメージが強くなる。ところが地籍調査は、測ることと同じくらい、調べること(誰の土地か、境界をどこと確認するか)に重みがある。一筆地調査で現地の筆界を確認し、そのうえで地籍測量で境界点を測る、という順序だ。ここが、土地家屋調査士が個別の依頼で行う境界の測量とは性格が違うところで、後ほど立会いの節でもう一度触れる。

2. 誰が行い、費用は誰が負担するのか

実施するのは市町村など

国土調査法の6条の4は、都道府県・市町村・土地改良区等が、定められた事業計画にもとづいて地籍調査を行うと定めている。国土交通省の資料でも、実施主体は「市町村等」と書かれている。私たちが現実に接するのは、ほとんどの場合、市町村(東京の特別区を含む)が進める調査だ。

実際の作業は、全部を職員が手作業でやっているわけではない。国土交通省の資料には、一筆地調査の大部分は土地家屋調査士や測量士などの民間事業者が実施できるとある(外注の実施要領に基づく)。国土調査法の10条も、都道府県や市町村が国土調査の実施を委託できると定めている。ただし同じ資料に、所有者の所在が分からない土地の調査は、実施主体である市町村が自ら行うことになっている、とも書かれている。

費用負担の考え方:国・都道府県・市町村で分ける

費用の持ち方は、国土調査法の9条の2に書かれている。市町村が行う地籍調査では、都道府県がその経費の4分の3を負担し(1項)、国は、都道府県が負担するその経費の3分の2を負担する(2項)。ここから計算すると、国が2分の1、都道府県が4分の1、残りの4分の1を市町村が持つという割り振りになる。これは条文の数字から編集部が計算したもので、実際の交付金の細かい扱いまでは確かめていない。

また、国が負担する額は、事業計画への国土交通大臣の同意の範囲が上限になる(9条の2の3項、6条の3の3項・4項)。予算の枠があるので、すべての市町村が希望どおりのペースで進められるわけではない、ということだ。

読者として気になるのは、土地の所有者に請求が来るのかどうかだろう。9条の2が定めているのは国・都道府県・市町村の負担の分け方で、所有者に費用を請求する規定は、この条には出てこない。表示に関する登記も、登記官が職権でするものとされている(国土調査法による不動産登記に関する政令1条)。個別の自治体の運用までは確かめていないので、気になるときは担当課の案内を見てほしい。

3. 調査の流れと、立会いで何が行われるのか

国土交通省の資料(「都市部等の一筆地調査の効率化」)では、地籍調査の流れは次の6段階で整理されている。

  1. 住民への説明会
  2. 一筆地調査(土地所有者との現地立会いで、一筆ごとの境界等を確認)
  3. 地籍測量(測量の基準点の設置と、一筆ごとの境界の正確な測量)
  4. 地積測定・地籍図等の作成
  5. 成果の閲覧・確認(地籍簿と地籍図の案を閲覧にかけ、誤りがあれば訂正)
  6. 登記所への送付(登記簿が書き改められ、地籍図が備え付けられる)

一筆地調査:現地立会いが原則

2の一筆地調査では、まず登記所に備え付けられている「地図に準ずる図面」をもとに調査図素図を、登記簿をもとに地籍調査票を作る。そのうえで、土地の所有者その他の利害関係人(またはその代理人)に、調査する地域と時期、調査に立ち会うべきことを通知する。これは地籍調査作業規程準則の20条に書かれている。

現地調査では、おおむね土地の並んでいる順に、毎筆の土地について所有者等に立ち会ってもらい、筆界を確認していく(準則23条)。国土調査法の25条は、調査の実施者が、必要があれば所有者等を現地に立ち会わせることができると定めている。同じ法律の37条には、この立会いを拒んだ者を30万円以下の罰金とする規定もあるが、実際の運用がどうなっているかまでは確かめていない。

立会いが原則とされる理由について、国土交通省の資料は、地籍調査は新たに筆界を作る作業ではなく、既存の筆界を確認する作業だとしたうえで、公図などは現地の復元性が乏しいこと、土地の事情を最もよく知っているのは所有者であることを挙げている。

ここで大事なのは、立会いで「境界を決める」のではなく「もともとの筆界の位置を確認する」という位置づけの点だ。所有者同士が合意すれば好きな位置に引けるという話ではない。筆界と所有権界の違いは、境界確定とは?境界標の種類と立会いを拒否された時の進め方で整理している。

立会いが得られないと「筆界未定」になることがある

準則30条は、筆界の確認が得られないとき、調査図素図のその部分に「筆界未定」と朱書することを定めている。ただし、所有者が行方不明で立会いが求められないが、筆界を明らかにする客観的な資料がある場合には、関係行政機関と協議のうえ、所有者の確認なしに調査できる(30条3項)。

国土交通省の同じ資料には、平成28年度に一筆地調査をした地区で、追跡調査をしても最終的に所在不明で立会いができなかった土地が2,526筆あり、そのうち客観的資料で筆界を調査できたのは618筆(約25%)で、残りの1,908筆が筆界未定になった、という数字がある。調査対象は約62万筆だったので、筆界未定になる割合はごく小さい。それでも、1筆の立会いが得られないと隣接する土地を含めて筆界未定になりうる、と資料は図で示している。

筆界未定の土地は、地籍調査をしても筆界がはっきりしないまま残るということだ。そうした土地の筆界を法務局が専門家の意見も踏まえて特定する制度もあり、筆界特定制度とは?隣地が立会いを拒否・行方不明のときの費用と期間で扱っている。

閲覧、認証、登記所への送付

成果ができあがった後の流れも、条文で確かめた。

  • 17条:地図と簿冊を作成したら公告し、地籍調査の場合は市町村の事務所で、公告の日から20日間、一般の閲覧に供する。誤りや基準以上の誤差があると思う人は、その期間内に申し出ることができ、事実があれば修正される
  • 18条・19条:閲覧で申出がないなど所定の場合に、都道府県知事等へ送付し、認証を請求する。知事等は審査して、誤りなどがある場合を除いて認証する
  • 20条:認証した成果の写しを、地籍調査の場合は土地の登記を扱う登記所に送付する。登記所は、これに基づいて土地の表示に関する登記などをしなければならない
  • 21条:認証した成果の写しは、都道府県知事や市町村長に送付され、保管・閲覧に供される

つまり、調査が終わったように見えても、閲覧・認証・登記所への送付という段階が続く。この順序は、あとの「進捗率の調べ方」で効いてくる。



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4. 終わった地域で作られる「地籍図」と、14条地図の関係

地籍図は、登記所の「地図」として備え付けられる

ここが仕入れ営業にとっていちばん大事な部分だと思う。不動産登記法の14条は、登記所に「地図」を備え付けると定め、その地図は一筆または二筆以上の土地ごとに、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとしている。この14条1項の地図が、一般に「14条地図」と呼ばれる。14条4項は、地図が備え付けられるまでの間、「地図に準ずる図面」を代わりに備え付けてよいとしている。

地籍調査の成果とのつながりは、不動産登記規則の10条5項に書かれている。国土調査法20条1項で登記所に送付された地籍図は、同条の規定による登記が完了した後に、地図として備え付けるものとされている(ただし、不適当とする特別の事情があれば別)。国土交通省の資料でも、登記官は地籍簿に基づいて登記簿の表示事項を直し、地籍図を登記所の地図(不動産登記法14条1項)として備え付けると説明されている。

つまり、地籍調査が終わって登記所への送付と登記が済むと、その地域の「公図」は、図面の質が違うものに入れ替わるわけだ。この図面の違いは、公図とは?地積測量図との違いと「公図混乱地域」の見抜き方で詳しく扱っている。

14条地図の精度は、規則で決められている

不動産登記規則10条は、地図を「正確な測量及び調査の成果に基づき作成する」ものとし、測量は三角点・電子基準点、または国土調査法で認証・指定された基準点などを基礎に行うこととしている。誤差の限度も定められていて、市街地地域は国土調査法施行令の別表に掲げる精度区分の甲二まで、村落・農耕地域は乙一まで、山林・原野地域は乙三までとされる。細かい数値は施行令の別表にあるので、ここでは書かない。覚えておくなら、市街地ほど厳しい精度が求められているという点だ。

登記簿の内容も同時に直される

もうひとつ見落としやすいのが、登記簿への影響だ。国土調査法による不動産登記に関する政令の1条は、登記官が地籍簿の送付を受けたとき、地籍簿の記載と土地の表題部の登記事項が一致しなければ、職権で変更または更正の登記をしなければならないと定めている。ただし、地籍簿の事項が地籍調査の後に変わったと認められるときは、その事項は除く。

この結果、調査済みの地域では、登記簿の面積(地積)が地籍調査の測量結果に合わせて直されているのが通常の流れになる。一方で、調査の後に分筆・合筆や地積更正などをした土地は、地籍調査の時点の内容と違うこともあるため、図面の日付と履歴は見ておく必要がある。

5. 全国の進捗率と、調べ方

令和7年度末の進捗率:全国で53%

動く数値なので、出典と日付を付けて書く。国土交通省が令和8年6月26日に公表した報道発表資料「『土地の戸籍』に関する最新の調査実施状況を公表します」(担当は政策統括官付 地理空間情報課 地籍整備室)には、次のとおり書かれている。

  • 令和7年度の調査実績は594㎢(前年度は623㎢)
  • 同年度末時点の進捗率は、全国の「地籍調査対象地域」で53%、「優先実施地域」で81%

※2026年10月17日に国土交通省のページを開いて確認した数字。

分母の違いに注意してほしい。資料の注記によれば、「地籍調査対象地域」は全国土面積から国有林野と公有水面(湖沼や河川等)を除いた地域、「優先実施地域」は、土地区画整理事業等で一定程度地籍が明確化された地域や、土地取引が行われる可能性が低い地域を除いた地域だ。つまり81%は「優先して調査すべき地域」の中での進捗で、国土全体でみた53%とは意味が違う。

なお、この資料では都市部(DID)の進捗率の記載は見つけられなかった。参考までに、平成25年8月の国土交通省の発表(平成25年3月末時点)では、全国50%に対し、都市部(DID)は23%と書かれている。古い数字なので現在の水準ではないが、都市部での調査が遅れがちだという傾向を示す材料にはなる。仕入れで扱う都市部の土地が、全国の数字よりも調査済みである可能性は高くない、という見方はできる。ただ、これは全国の話で、個別の土地や市区町村の状況は、ここで書いた数字では分からない。

進捗率は「どの段階」を指しているか

条文の順序で見ると、閲覧、認証、登記所への送付、登記、地図の備え付け、と進む。「調査が終わった」と言っても、段階によって手元の法務局の図面に反映されているかどうかが変わる。進捗率を見るときは、どの段階を基準にした数字なのかを確かめたい。今回開いた国土交通省の報道発表では、進捗率がどの段階の成果を数えているかまでは確認できなかったので、ここでは断定しない。

市区町村別に調べるには

国土交通省の平成25年の発表資料には、市町村別の進捗率と、調査が終わった地区の地図を地籍調査Webサイトに載せている、という案内がある。ただ、今回はそのサイトの現在の画面を開けなかったため、操作手順や表示内容は書かない。現行のサイトの案内に沿って、対象の都道府県・市区町村を選んでほしい。

6. 調査済みかどうかで、仕入れの何が変わるか

ここからは編集部の整理だ。条文と資料で確かめた事実を、仕入れの場面に当てはめている。個別の土地には当てはまらないこともある。

調査済みなら、見るべき図面の質が変わる

調査済みの地域では、法務局にある地図が、地籍図由来の14条地図になっているのが通常だ。公図(地図に準ずる図面)が明治期の図面を引き継いでいる地域と比べると、位置や形状を図面から読み取るときの当てになり方がまったく違う。公図混乱地域かどうかを神経質に疑う必要が小さくなる、とも言える。

登記簿の面積が、測量値に近い

地積が地籍調査の測量結果に直されているので、公簿面積と実測面積の差が出にくい傾向になる。公簿売買と実測売買の使い分けや面積差トラブルの考え方は、下のカードの記事にまとめた。調査済みの地域では、この論点が重くなりにくい。ただ、調査後に分筆・地積更正などがされていれば話は変わる。登記記録の履歴は見ておきたい。

筆界について、関係者の確認を経ている

地籍調査では、毎筆の土地について所有者等の立会いのうえ筆界を確認している。仕入れの現場でありがちな「隣地の確認がとれていない」という不安は、調査済みの地域では小さくなる。逆に、筆界未定として残された土地は、周囲の土地を巻き込んで境界の曖昧さが続くことになる。

調査済みでも、変わらないこと

ここは誤解しやすいので、はっきり書いておく。

調査済みでない地域の図面にズレがあるときは

調査がまだ及んでいない地域では、公図と現況のズレがあることを前提に調べを進めることになる。登記された図面の区画や位置に誤りがあれば、所有者が訂正を申し出る「地図訂正」という手続きがある。ただ、これは1筆ごとの申出で、地域をまとめて整える地籍調査とは役割が違う。仕組みは地図訂正(公図の訂正申出)とは?費用・期間の目安と地積更正登記との違いで整理した。



公簿売買とは?実測売買との違いと面積差トラブルの防ぎ方
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7. 調査済みかどうかの確かめ方

「調査済みか」は、個別の土地ごとの事実なので、ここで答えを書くことはできない。ただ、どこに何を聞けば分かるかは書ける。

ステップ1:地番を調べておく

住所ではなく、登記上の「地番」で確かめるのが基本だ。地番の調べ方は、前の節のカードの記事の「請求の前に用意する情報」に書いてある。

ステップ2:法務局で、地図の「種類」を見る

法務局で取得した地図の写しや登記情報提供サービスの図面で、その土地の図面が「地図」か「地図に準ずる図面」か、元になった資料が何かを見る。見方は公図の記事に詳しい。規則10条5項のとおり、地籍調査の成果は登記が完了した後に地図として備え付けられるので、法務局の図面は、成果が登記に反映されたかどうかを確かめる材料になる。

法務局に備え付けられた登記所備付地図は、G空間情報センターのウェブサイトでオープンデータとして無償公開されているとも、国土交通省の報道発表資料に書かれている。ただし、これはデータの公開の案内で、特定の土地が調査済みかを判定するものではない。

ステップ3:市区町村の担当課に、事実を聞く

調査の実施状況は、実施主体である市区町村が把握している。窓口やメールでは、たとえば次のように聞くとよい。

  • 対象の地番を含む地区が、地籍調査の「実施済み」「実施中」「未着手」のどれか
  • 実施済みなら、成果の認証や登記所への送付がいつごろだったか
  • 成果の写しの閲覧ができるか(国土調査法21条2項で、写しは都道府県知事または市町村長が保管し、一般の閲覧に供するとされている)

窓口の名称は自治体によって違う。「地籍調査担当」「国土調査担当」「用地」「土木」など、課の名前は一つとは限らないので、代表窓口で用件を伝えるのが早い。運用や日程は自治体ごとに違うので、一つの自治体の例を全国の決まりと思わないでほしい。

ステップ4:境界の位置そのものを確かめたいとき

調査済みかどうかが分かっても、境界の位置を確認したり、確定させたりするのは、土地家屋調査士の仕事になる。図面の見方を学んだうえで、何を依頼するかを整理して相談する、という順序が現実的だろう。


8. まとめ:仕入れ営業が持ち帰るポイント

  1. 地籍調査は、国土調査法2条5項にもとづき、毎筆の所有者・地番・地目・境界・面積を調べて地図と簿冊にする調査。主に市町村が行い、経費は国・都道府県・市町村で分担する
  2. 調査では原則として所有者等の立会いが求められ、確認が得られないと「筆界未定」になることがある。成果は閲覧・認証を経て登記所に送られ、登記簿が直され、地籍図が登記所の地図(14条地図)として備え付けられる
  3. 令和7年度末の進捗率は、全国の地籍調査対象地域で53%、優先実施地域で81%(国土交通省、2026年10月17日確認)。都市部や個別の土地の状況は別に調べる必要がある
  4. 調査済みかどうかは、法務局の地図の種類と、市区町村の担当課の両方で確かめる。調査済みでも、確定測量が不要になるとは言えず、境界標や越境の確認は現地で行う

地籍調査の仕組みを理解すると、図面を見る目がひとつ増える。測量の知識が仕入れ判断にどうつながるかは、ハブ記事の測量士補の知識は不動産の仕入れ営業にどう活きる?にまとめている。体系的に学ぶ手段で迷うなら、価格とカリキュラムを比較するのも一つの手だ。

よくある質問(FAQ)

Q1. 地籍調査とは、簡単に言うとどんな調査ですか?

国土調査法にもとづいて、一筆ごとの土地の所有者・地番・地目を調べ、境界と面積を測り、地図と簿冊にまとめる調査です。主に市町村が行います。

Q2. 地籍調査の費用は誰が負担しますか?

国土調査法9条の2により、市町村が行う場合、都道府県が経費の4分の3、国が都道府県負担分の3分の2を負担します。計算すると国が2分の1、都道府県が4分の1、市町村が4分の1です。所有者に費用を求める規定は、この条には出てきません。実際の運用は自治体の案内を確認してください。

Q3. 地籍調査の立会いに行けないとどうなりますか?

代理人の立会いも認められています(通知の対象に代理人が含まれています)。確認が得られず、客観的な資料もないと、その部分は「筆界未定」として扱われることがあります。

Q4. 地籍調査が終わった地域の「地籍図」は、公図と同じものですか?

同じではありません。地籍図は、登記が完了した後に登記所の地図(14条地図)として備え付けられます。公図と呼ばれるものの多くは「地図に準ずる図面」で、精度の位置づけが違います。

Q5. 自分の土地(または仕入れ候補の土地)が地籍調査済みかは、どこで分かりますか?

市区町村の担当課への確認と、法務局の地図の種類の確認が基本です。進捗率は国土交通省が公表していますが、個別の土地が済んでいるかは、その数字からは分かりません。

Q6. 調査済みの土地なら、確定測量は要りませんか?

調査済みだけでは、不要になるとは言えません。取引の条件や土地の事情で決まります。調査後に分筆などで変わっていることもあります。

出典・参考(確認日:2026年10月17日)

実際にページを開いて確認したものだけを記載しています。

  • e-Gov法令検索 国土調査法(昭和26年法律第180号)。1条・2条・6条の3・6条の4・9条の2・10条・17条〜21条・25条・32条・37条を確認 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000180
  • e-Gov法令検索 不動産登記法(平成16年法律第123号)14条 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123
  • e-Gov法令検索 不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)10条 https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018
  • 国土交通省 報道発表「『土地の戸籍』に関する最新の調査実施状況を公表します~リモートセンシング手法等の活用拡大により林地の地籍調査が加速!~」(令和8年6月26日、政策統括官付 地理空間情報課 地籍整備室。令和7年度末の進捗率、調査実績、分母の定義、登記所備付地図のオープンデータの記載を確認) https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo06_hh_000001_00024.html
  • 国土交通省 資料3「都市部等の一筆地調査の効率化」(地籍調査の流れ、一筆地調査・立会い、地籍調査作業規程準則20条・23条・30条、国土調査法による不動産登記に関する政令1条、筆界未定の実績の記載を確認。作成時期は資料内に記載がなく、数値は平成28年度の調査) https://www.mlit.go.jp/common/001197001.pdf
  • 国土交通省 報道発表「全国の地籍調査実施状況について(平成25年3月末時点)」(平成25年8月23日。全国50%・都市部(DID)23%、地籍調査Webサイトの案内を確認。古い数字のため参考扱い) https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo06_hh_000011.html

※今回確かめられなかったこと:地籍調査Webサイト(chiseki.go.jp)の現在の画面・進捗率の表示方法、進捗率が認証・登記所送付のどの段階を数えているか、国土調査法施行令の精度区分の具体的な数値、費用負担の政令の細目、特別交付税などの財政措置、各市区町村の運用。これらは本文で断定していません。

※本記事は一般的な制度の説明です。個別の土地が調査済みかどうか、境界の位置、登記の申請の中身は、所在地の市区町村・法務局・土地家屋調査士にご確認ください。本記事は広告(アフィリエイト)を含みます。

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