令和7年 測量士補 過去問解説【第4弾】No.13〜15 地形測量

測量士補

結論から先に言うと
令和7年(2025年)5月18日に実施された測量士補試験から、No.13〜No.15の3問を解説します。分野はすべて「地形測量」で、縦断面図から地形図上の位置を求める計算、現地測量におけるTS点設置の規定に関する正誤問題、地上レーザ測量による数値地形図データ作成の穴埋め問題という組み合わせでした。No.13の計算問題は比例配分の考え方さえ分かれば得点しやすい一方、No.14・No.15は作業規程の準則の条文レベルの知識が問われていて、暗記だけでは太刀打ちしにくい出題です。地形測量の分野で手が止まった方は、講座選びの比較ページで学習の進め方を検討してみるのも一つの手だと思います。

この記事について

本記事は国土地理院が公表した令和7年測量士補試験の問題・正解PDF(出典は末尾に明記)をもとに、編集部が論点を要約し、解き方を整理したものです。令和7年試験は受験者13,363名に対し合格者6,837名、合格率51.2%という結果でした。問題文の全文転載は避けているので、正確な文言・図表は必ず公式PDFで確認してください。監修者・境さんは不動産仕入れ営業の実務者であり、同時に自身も測量士補試験に挑む受験者という立場からコメントを添えています。

今回のNo.13〜15はいずれも「地形測量」の分野です。同じ分野は令和8年試験にも出題されていて、令和8年の地形測量パートを解説した第4弾の記事では、数値地形図データの用語穴埋め・TS細部測量の誤差計算・等高線による地形表現の正誤という並びでした。令和7年は縦断面の位置計算・TS点設置の規定・地上レーザ測量の穴埋めという構成で、同じ「地形測量」でも問われる場面が年度ごとにかなり違います。出題範囲を1年分だけで判断せず、複数年度を見比べるのが対策としては安全です。


No.13 TSの高低角・斜距離から縦断面上の点の位置を求める計算

縦断面の模式図。標高86.3mの点AからTSで高低角−5°・斜距離72.0mの点Bを観測してBの標高80.02mを求め、B〜C(水平距離500.0m、Cの標高123.8m)の標高差43.78mに対するXまでの標高差7.28mの比から、BX≈83.1m、地形図上で約8.3cmを求める流れ

論点の要約:ある道路の縦断面を模式的に示した図をもとに、標高86.3mの点AにTSを設置して点Bを観測したところ、高低角−5°、斜距離72.0mの結果が得られたという設定です。同じ道路上の点Cの標高は123.8mで、B・C間の水平距離は500.0m。点Bと点Cを結ぶ道路上にある標高87.3mの点Xが、縮尺1/1,000の地形図上で点Bから何cmの地点になるかを求めます。

解答へのアプローチ:この問題は大きく2段階に分かれています。まず点Bの標高を求め、次に点Bから点Xまでの水平距離を比例配分で出す、という流れです。

最初のステップは、TSの観測値から点Bの標高を計算すること。高低角−5°、斜距離72.0mという観測結果は、点Aから点Bへ向かって斜め下に72.0m進んだことを意味します。標高差は「斜距離×sin(高低角)」で求められるので、巻末の関数表からsin5°=0.08716を読み取り、次のように計算します。

標高差(A→B) = 72.0m × sin5° = 72.0 × 0.08716 ≒ 6.28m
点Bの標高 = 86.3m − 6.28m = 80.02m

点AからBに向かって高低角がマイナス、つまり下り坂なので、点Aの標高から標高差を引く方向で計算するのがポイントです。ここを足し算にしてしまうと符号のミスで最初からつまずきます。

続いて2段階目。点Bと点Cを結ぶ道路は「傾斜が一定でまっすぐ」という条件が付いているので、標高は水平距離に比例して変化します。点Bの標高80.02m、点Cの標高123.8m、その差は43.78m。これが水平距離500.0mに対応します。点Xの標高87.3mは点Bから見て7.28m高い位置にあるので、

点Bから点Xまでの水平距離 = 500.0m × (87.3−80.02) ÷ (123.8−80.02)
                    = 500.0m × 7.28 ÷ 43.78
                    ≒ 83.1m

最後に、この水平距離を縮尺1/1,000の地形図上の長さに変換します。地形図に描かれるのは水平距離であって斜距離ではないという点も見落としやすいところですが、この問題ではB・C間はすでに水平距離500.0mとして与えられているので、そのままスケールを掛けるだけで済みます。

地形図上の長さ = 83.1m ÷ 1,000 = 0.0831m = 8.31cm

計算結果は約8.3cmとなり、正解は選択肢1の8.3cmです。

関連知識ポイント:この問題は「TSの観測値から標高を求める」計算と「地図の縮尺換算」という、測量士補試験で繰り返し出てくる2つの基本操作を組み合わせた出題です。高低角と斜距離から標高差を求める場面では符号(上りか下りか)を先に確認する癖をつけておくと、似た構成の問題でも迷いにくくなります。関数表の使い方や角度・距離の基本公式をまとめて確認したい方は、計算問題のパターンを整理した記事もあわせてどうぞ。


No.14 現地測量におけるTS点の設置で明らかに間違っているもの

TS点の設置の対比図。基準点に整置してTS点を設置し地形・地物を測定するのは正しく、TS点を既知点にして別のTS点を設置するのは規定がなく誤り(第116〜118条・第121条)

論点の要約:公共測量における地形測量のうち、現地測量について述べた5つの記述から、明らかに間違っているものを1つ選ぶ問題です。TSやGNSS測量機を用いた数値地形図データの取得、TS点の設置、放射法による測定、ネットワーク型RTK法による観測など、現地測量の一連の作業がテーマになっています。

解答へのアプローチ:誤りは「設置したTS点を既知点として、TSを用い、別のTS点を設置した」とする記述でした。作業規程の準則では、基準点に機器を整置して細部測量を行うことが困難な場合にTS点を設置できるとしたうえで(第116条)、TSを用いるTS点の設置は「基準点にTS等を整置し」放射法等で行う(第117条)と定めています。GNSS測量機を使う場合も同様に基準点に整置します(第118条)。TS点を既知点にしてさらに別のTS点を設置する規定はなく、TS点からTS点への数珠つなぎは想定されていない作業です。

他の4つの記述は準則の内容と整合していました。TSまたはGNSS測量機を用いて地形・地物を測定し数値地形図データを作成すること(選択肢1)、整置が困難な場合にTS点を設置すること(選択肢2・第116条)、TSによる放射法での測定(選択肢4・第121条)は、いずれも規定どおりです。ネットワーク型RTK法による観測(選択肢5)についても、準則第37条のネットワーク型RTK法の説明に観測終了後に補正データ等を取得して「後処理により解析処理を行うことができる」と明記されているため、誤りではありません。RTK法という名前から「常にリアルタイムで位置を出す方法」というイメージを持ちがちですが、後処理解析も認められていると知っていれば、この選択肢は消去できます。

関連知識ポイント:TS点の設置に関する問題では、「TS点は基準点から作るもの」という関係を崩す記述が誤りとして出されやすいです。基準点→TS点→地形・地物の測定という流れの中で、TS点は地形・地物の測定には使える(第121条)一方、別のTS点を設置する起点にはならない、と区別しておくのが得点のカギになります。作業規程の準則そのものに一度目を通しておくと、条文の言い回しに引っかかりにくくなるはずです。


No.15 地上レーザ測量による数値地形図データ作成の穴埋め

地上レーザ測量の流れ。地上レーザスキャナで方向・距離・反射強度を計測し、計測条件を満たす範囲の外に設置した標定点の座標で平面直角座標系へ変換(相似変換法又は後方交会法)して、オリジナルデータを得る

論点の要約:公共測量における地上レーザスキャナを用いた数値地形図データの作成について述べた文章の空欄ア〜オに入る語句の組合せを選ぶ問題です。計測方法、レーザ光による計測項目、標定点の座標、変換後に得られるデータ、標定点の設置範囲という5つの空欄が並んでいます。

解答へのアプローチ:作業規程の準則の地上レーザ測量の章(第364条〜)の条文を1つずつ当てはめていきます。

平面直角座標系以外の座標系で計測する場合、原則として用いる計測方法は相似変換法又は後方交会法です。準則第376条第5項では、平面直角座標系で計測する場合は器械点・後視点法を用い、それ以外の座標系では相似変換法又は後方交会法を用いると使い分けが定められています。ここでアには「相似変換法又は後方交会法」が入ります。

地上レーザスキャナによるレーザ光を用いた計測では、地形・地物に対する方向、距離のほかに反射強度が計測されます(第376条第1項)。反射強度の差異は地物の判読、つまり「これが何の地物か」を見分ける材料として利用できるという説明が続くので、イには「反射強度」が入ります。「色」は写真測量やカメラの話であって、レーザ光そのものが計測する項目ではありません。

計測したデータは標定点の座標に基づいて平面直角座標系に変換することで、オリジナルデータを得ることができます。準則第379条は、平面直角座標系以外で計測した点群データを標定点等を使って平面直角座標系へ変換し、オリジナルデータとすると定めています。座標変換の基準となる点が「標定点」、変換後の点群データが「オリジナルデータ」という対応がここでのポイントです。選択肢にある「検証点」は点群の精度を確認するための点、「グラウンドデータ」はオリジナルデータから地表面のデータだけを抽出したもので、どちらもこの文脈には合いません。ウには「標定点」、エには「オリジナルデータ」が入ります。

標定点は、計測条件を満たす範囲の外に設置することを原則とします(第370条第2項)。計測範囲を標定点で囲むように配置すれば、座標変換が標定点の内側で行われることになり、範囲の端で誤差が大きくなりにくいためです。なお、地形等により外側に置くのが難しい場合はこの限りではない、というただし書きも付いています。オには「外」が入ります。

まとめると、ア=相似変換法又は後方交会法、イ=反射強度、ウ=標定点、エ=オリジナルデータ、オ=外となり、正解は選択肢2です。

関連知識ポイント:地上レーザ測量は近年の測量士補試験で出題が増えている分野で、UAVレーザ測量や航空レーザ測深と混同しやすい用語がいくつもあります。「標定点」「オリジナルデータ」「反射強度」といった言葉は地上レーザ測量に特有の呼び方なので、ほかの測量方法の用語と対にして整理しておくと、選択肢を読んだ瞬間に判断しやすくなります。測量に関する用語をまとめて確認したい方は、測量用語集の記事も参考にしてください。


地形測量は、作業規程の工程と現地測量の計算が組み合わさって出る分野です。規程の順番や細かな条件に自信がないなら、講義で作業の流れごと押さえておくと取り違えにくくなります。編集部が比べた中では、過去7年分の過去問集と計算問題対策がそろっているアガルートが最初の候補になります。

※以下は広告(アフィリエイトリンク)です。

このシリーズの前後の回:前の回は令和7年 測量士補【第3弾】No.10〜12 水準測量、次の回は令和7年 測量士補【第5弾】No.16〜20 写真測量・レーザ測量です。同じ年度を順番に解いていくと、出題の流れがつかみやすくなります。

まとめ:次に何をすべきか

No.13は縦断面の比例配分による位置計算、No.14はTS点設置に関する規定の正誤、No.15は地上レーザ測量の用語穴埋めでした。3問とも「地形測量」という同じ分野ですが、問われる知識の質はかなり違っていて、計算の型・条文の読み方・専門用語の対応関係をそれぞれ別々に押さえる必要があるのがこの分野の厄介なところです。1年分だけ解いて分かった気にならず、複数年度で出題パターンの幅を確認しておくと安心感が違います。

※ここから先の商品リンクは広告(アフィリエイトリンク)です。価格・在庫はリンク先でご確認ください。

測量士補 過去問280 令和9年度版
測量士補 過去問280 令和9年度版建築資料研究社/日建学院Amazonで見る楽天市場で見る

過去問を解いていて地形測量の分野で失点が続くようなら、独学の教材だけで潰しきろうとするより、体系的にカリキュラムが組まれた講座で弱点を補ったほうが結果的に近道になることもあります。3社の価格とカリキュラムを比較してみるのも選択肢の一つです。



測量士補の過去問は何年分解くべき?効率的な学習法
測量士補の過去問は何年分解くべき?効率的な学習法

監修者・境さんより
No.14のTS点の規定は、正直「基準点からしかTS点を作れない」という決まり自体を知らないと、選択肢を見てもピンと来ないタイプの問題だと思います。仕入れの実務で境界確認の資料を見せてもらうときも、どの点がどの点をもとに出されたものなのか、根拠を1段階ずつ遡って考える場面があるので、この「起点は決まっている」という考え方はすんなり腹に落ちました。No.13の比例配分の計算は、土地の高低差や擁壁の話で概算を頭の中でやるのと近い作業だなと感じます。



測量士補の知識は不動産の仕入れ営業にどう活きる?境界・越境・私道持分の実例
測量士補の知識は不動産の仕入れ営業にどう活きる?境界・越境・私道持分の実例

過去問演習を進める中で「独学と講座、どちらが自分に合うか判断できない」という方は、以下もあわせて参考にしてください。

なお、問題を単元別(計算問題/法規/作業規程)に横断して復習できるインデックスページは、当メディアで公開準備を進めています。公開後、本記事からも回遊できるようリンクを追加する予定です。


出典・参考情報(2026年9月26日確認)

  • 国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果」(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html )
  • 国土地理院「令和7年測量士補試験問題」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000270177.pdf )
  • 国土地理院「令和7年測量士補試験問題」PDF その2(https://www.gsi.go.jp/common/000270178.pdf )
  • 国土地理院「令和7年測量士補試験解答」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000270180.pdf )
  • 国土交通省国土地理院「作業規程の準則」(https://www.gsi.go.jp/common/000258734.pdf )

※本記事の問題要約・解説は編集部が上記の公式PDFをもとに作成したものです。問題文の正確な表現・図表は国土地理院の公式PDFを必ずご確認ください。計算過程の数値は関数表の精度により若干の誤差が生じる場合があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました