結論から先に言うと
令和8年(2026年)5月17日実施の測量士補試験から、No.16〜No.20を解説します。この5問は「写真測量」と「三次元点群測量」の分野に集中していて、デジタル航空カメラの撮影基線長を求める計算、空中写真の特徴や倒れ込みに関する知識問題、UAV写真測量・UAVレーザ測量の穴埋め、航空レーザ測量の欠測率の計算と一通り出そろっています。この分野は覚えるべき用語と数字が独特なので、過去問を解いていて手が止まった方は、体系的にカリキュラムが組まれた通信講座の比較ページも選択肢に入れてみてください。
この記事について
測量士補試験は例年5月に実施され、国土地理院が試験翌日を目安に公式サイトで問題と正解を公表しています。令和8年試験は2026年5月17日に実施され、正解は5月18日に公表されました。本記事は国土地理院公開の「測量士補試験問題」「測量士補試験解答」PDF(出典は末尾に明記)をもとに、編集部が論点を要約し、解き方のポイントを整理したものです。著作権に配慮して問題文の全文転載は避けているので、正確な問題文・図表は公式PDFでご確認ください。
本シリーズはNo.1〜No.3を扱った第1弾からNo.28まで、分野ごとに問題を積み増していく企画です。今回の第5弾は写真測量・三次元点群測量という、多角測量や水準測量とはやや毛色の違う分野。デジタル航空カメラやUAV(ドローン)、レーザ測量といった機材寄りの用語が並ぶので、聞き慣れない言葉に戸惑った方も多いのではないでしょうか。なお監修者・境さんは、不動産仕入れ営業の実務者としての視点に加え、自身も測量士補試験に挑む受験者という立場からコメントを添えています。
No.16 デジタル航空カメラの撮影基線長を求める計算
論点の要約:画面の大きさ24,000画素×15,000画素のデジタル航空カメラを鉛直下に向け、海面からの撮影高度3,000mで標高0mの平たんな地域を撮影した。地上画素寸法15cm、撮影基線方向の隣接写真間の重複度60%、画面短辺が撮影基線と平行という条件のもとで、撮影基線長を求める問題です。
解答へのアプローチ:まず押さえておきたいのは、撮影基線長とは連続する2枚の写真を撮った地点どうしの距離だということ。この距離は、1枚の写真に写る地上の範囲(地上被覆幅)と重複度から逆算できます。
画面短辺が撮影基線と平行、という条件が最初のヒントです。短辺の画素数は15,000画素なので、この方向の地上被覆幅は次の式で求まります。
地上被覆幅 = 短辺の画素数 × 地上画素寸法
= 15,000画素 × 0.15m
= 2,250m
次に重複度60%の意味を考えます。隣り合う2枚の写真は60%が共通して写っているということは、逆に言えば新しく写る部分は残りの40%。撮影地点が次に移動する距離、つまり撮影基線長はこの「新しく写る部分」の長さに相当します。
撮影基線長 = 地上被覆幅 × (1 − 重複度)
= 2,250m × (1 − 0.6)
= 2,250m × 0.4
= 900m
撮影基線長は900m、選択肢1が正解です。
関連知識ポイント:この問題、実は撮影高度3,000mや標高0mという数値は計算に一切使っていません。地上画素寸法15cmが既にそのまま与えられているので、高度や焦点距離から逆算する手間は不要なんです。過去問には「読み取るべき数値」と「実は使わない数値」が混在していることがあり、公式に当てはめる前に何が本当に必要な情報かを見極める練習にもなります。撮影基線長の計算自体は「短辺(または長辺)の地上被覆幅×(1−重複度)」という型を覚えてしまえば、数値が変わっても対応できます。
No.17 空中写真測量の特徴に関する正誤判定
論点の要約:空中写真測量の特徴について述べたa〜eの5つの記述のうち、「明らかに間違っているものだけの組合せ」を選ぶ問題です。広域測量への適性、撮影高度と写る範囲の関係、画面距離(焦点距離)と写る範囲の関係、高塔・高層建物の倒れ込み、起伏による地上画素寸法の変化が題材になっています。
解答へのアプローチ:誤りだったのはcとeの組合せでした。cは「画面距離(焦点距離)の長い航空カメラを使用した方が、一枚の空中写真に写る地上の範囲は広くなる」という記述。焦点距離が長くなるほど画角は狭くなるので、写る地上の範囲はむしろ狭くなります。望遠レンズをイメージすると分かりやすいでしょう。逆に撮影高度が高いほど写る範囲が広くなる、というbの記述は正しい内容でした。
eは「起伏のある地形を撮影した場合、同一空中写真の中の地上画素寸法はどこでも同じになる」という記述。これも誤りです。カメラに近い(標高が高い)場所は写真上で大きく写り、同じ1画素が表す地上の範囲は小さくなります。逆にカメラから遠い(標高が低い)場所は地上画素寸法が大きくなる。同一写真内でも地形の起伏によって地上画素寸法は変わるため、「どこでも同じ」とは言い切れません。
残るa(広域な範囲の測量に適している)、d(高塔や高層建物は鉛直点を中心として外側へ倒れこむように写る)は、いずれも空中写真測量の性質として正しい記述でした。dの「倒れ込み」は、高い構造物の上部が根元よりも鉛直点(カメラの真下)から外側へずれて写る現象で、鉛直点から離れた位置にある構造物ほど、また高い構造物ほど大きくなります。
関連知識ポイント:焦点距離と撮影範囲の関係は「焦点距離が長い=望遠=範囲は狭い」、撮影高度と撮影範囲の関係は「高度が高い=範囲は広い」。似たような文脈で聞かれるので、この2つを混同しないようにしたいところです。倒れ込みは空中写真測量ならではの誤差要因で、標定点や対空標識の設置場所を考えるときにも関わってくる知識です。
No.18 UAV写真測量の実施方法に関する正誤判定
論点の要約:公共測量におけるUAV写真測量について述べた5つの記述から、「明らかに間違っているもの」を1つ選ぶ問題です。使用するデジタルカメラの選定基準、焦点距離の固定、撮影計画の見直し、対空標識の代替、そして「パスポイント」の定義が並びます。
解答へのアプローチ:誤りは選択肢5でした。「空中三角測量におけるパスポイントとは、隣接コースの数値写真間を連結する点のことをいう」という記述ですが、これはパスポイントではなくタイポイントの説明です。パスポイントは同一コース内で隣接する写真どうしを連結する点、タイポイントは隣接するコース間の写真を連結する点。よく似た2つの用語を入れ替えるのが、この問題のひっかけどころでした。
残る1〜4はいずれも正しい記述です。UAV写真測量に使うデジタルカメラは、当該測量の作業規程に定める性能・機能を満たしていれば市販品でも使用できます(1)。決定した焦点距離は撮影終了まで固定するのが原則(2)。撮影計画は明るさや風速・風向、地形、地物の経年変化といった現場状況によって見直すことも認められています(3)。そして数値写真上で周辺地物との色調差が明瞭な構造物が測定できる場合は、その構造物を標定点・対空標識として扱うこともできます(4)。現地に標識を設置しづらい場所でも、既存の地物を代用できるということですね。
関連知識ポイント:パスポイントとタイポイントは、どちらも「隣接する写真どうしを結ぶ点」という点で紛らわしいのですが、結ぶ相手が「同じコース内」か「隣のコース」かで名前が変わります。空中三角測量の用語はセットで整理しておくと、こうした入れ替えのひっかけに気づきやすくなります。
No.19 UAVレーザ測量の穴埋め問題
論点の要約:公共測量におけるUAVレーザ測量について述べたa〜cの文の空欄(ア〜ウ)に入る語句の組合せを選ぶ問題です。植生の影響が大きい箇所の点密度の扱い、「フィルタリング」の定義、UAVに求められる自動飛行・異常時対応の機能が題材です。
解答へのアプローチ:正解は選択肢5(ア=2倍、イ=除去、ウ=帰還)でした。
aの文は「グラウンドデータ、グリッドデータ、等高線データを成果品とする場合、植生の影響が大きい箇所におけるオリジナルデータの点密度は、植生の影響が小さい箇所と比較して(ア)とする」という内容。植生が茂っている場所はレーザが地表面まで届きにくく、地表面のデータが不足しがちになるため、通常より多くの点を取得しておく必要があります。答えは「2倍」です。
bの文は「『フィルタリング』とは、オリジナルデータに含まれる建物や植生など地表面以外のデータを(イ)する作業をいう」という内容。取得した点群の中から地表面以外のノイズ(建物や植生)を取り除くのがフィルタリングなので、答えは「除去」。「色調補正」ではありません。
cの文は「使用するUAVには、自動飛行機能及び異常時の自動(ウ)機能の装備が必要である」という内容。電波の途絶やバッテリー残量の低下といった異常時に、機体を自動的に出発地点へ戻す機能が必要とされていて、答えは「帰還」です。「充電」ではない点に注意してください。
関連知識ポイント:UAVレーザ測量は、UAV写真測量と混同しやすい分野です。写真測量は「写真をつなぎ合わせて立体化する」、レーザ測量は「レーザ光を地表に当てて反射点を直接点群として取得する」という仕組みの違いを押さえておくと、フィルタリングのような点群特有の作業も理解しやすくなります。植生下の地表面データを得意とするのはレーザ測量ならではの強みです。
No.20 航空レーザ測量のグリッドデータにおける欠測率の計算
論点の要約:公共測量における航空レーザ測量で、格子間隔1mのグリッドデータを作成する場面の計算問題です。図には格子とオリジナルデータ(取得点)の分布が示されていて、範囲内に86点が取得されています。この範囲における欠測率を求めます。
解答へのアプローチ:まず欠測率の対象になる格子を確定させましょう。図20の凡例には「水部」が示されています。水面ではレーザの反射が得られにくく、水部の格子は欠測率の計算から除外して考えるのが原則です。図の格子は縦7マス×横10マス=70マスで構成されていて、そのうち水部としてハッチングされているマスが10マス(上から3段目に4マス、4段目に4マス、5段目に2マス)。計算の対象になるのは70マスから水部10マスを除いた60マスです。
次に、この60マスの中でオリジナルデータが1点も入っていない「欠測」の格子を数えます。図を1マスずつ確認すると、欠測になっているマスは3つ見つかります。
欠測率 = 欠測マス数 ÷ 計算対象マス数
= 3 ÷ 60
= 0.05 = 5%
欠測率は5%、選択肢2が正解です。念のため残り57マスの点をすべて数え上げると合計86点になり、問題文の「範囲内に86点取得している」という条件ともぴったり一致します。数え間違いがないかの検算にもなるので、こうした図読み取り型の計算問題では、最後に総数を照合する一手間がおすすめです。
関連知識ポイント:欠測率の計算そのものは「欠測マス数÷計算対象マス数」というシンプルな割り算ですが、この問題の本当の難所は「どのマスを分母に入れるか」の見極めです。水部のように条件で除外される領域を見落として全マスを分母にしてしまうと、答えがずれてしまいます。図中の凡例(今回なら「水部」)や問題文の条件を先に確認してから数え始める癖をつけておくと安全です。
他の年度も通しで解くなら
このシリーズの前後の回:前の回は令和8年 測量士補【第4弾】No.13〜15 地形測量、次の回は令和8年 測量士補【第6弾】No.21〜24 地図編集です。同じ年度を順番に解いていくと、出題の流れがつかみやすくなります。
この記事で扱っているのは令和8年の一部の問題です。複数年度を通しで解くなら、年度別の問題がまとまった市販の過去問集が効率的です。
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写真測量は、縮尺・撮影基線長・重複度の計算と、UAV・レーザの規定の知識が毎回のように組み合わさる分野です。計算の型を独学で固めきれないときは、計算問題対策のある講座を使うのも手です。編集部が比べた中では、過去7年分の過去問集と計算問題対策がそろっているアガルートが最初の候補になります。
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まとめ:次に何をすべきか
今回のNo.16〜No.20は、写真測量・三次元点群測量というひとまとまりの分野でした。多角測量や水準測量とは違う専門用語(撮影基線長、地上画素寸法、パスポイント、フィルタリング、欠測率)が並ぶので、単語の意味を取り違えると芋づる式に間違えてしまいます。この分野で複数問落とした場合は、単発の暗記ではなく体系的に用語を整理し直したほうが伸びやすいでしょう。独学のテキストだけでは知識が断片的になりがちだと感じたら、講座選びで迷ったら比較ページも参考にしてください。
監修者・境さんより
正直、写真測量やレーザ測量の話は、境界確定や越境みたいに仕入れの現場でそのまま使う場面はそう多くありません。ただ、大きめの造成地や高低差のある土地を検討するとき、測量会社さんから「UAVでレーザ測量をかけた点群データがあります」といった説明を受けることは増えてきていて、そこで出てくる用語の意味が分かるかどうかで話の理解度はだいぶ変わる気がしています。No.20のような「どこまでを計算の対象に含めるか」を見極める問題は、土地の面積や条件を確認するときの注意深さにも通じるものがあると感じました。仕入れ実務とのつながりについては仕入れ営業シリーズのハブ記事でもう少し詳しく書いています。
過去問演習を進める中で「自分の弱点分野が分からない」「独学と講座、どちらが自分に合うか判断できない」という方は、以下もあわせて参考にしてください。
- 測量士補とは?受験資格・試験概要 完全ガイドを見る
- 測量士補は独学で合格できる?勉強法とスケジュールを見る
- 測量士補の過去問は何年分解くべきか、効率的な進め方を確認する
- 3社の価格・カリキュラムを比較する
なお、問題を単元別(計算問題/法規/作業規程)に横断して復習できるインデックスページ、および他の問題番号を扱った解説記事は、当メディアで順次公開準備を進めています。公開後、本記事および各記事の末尾から回遊できるようリンクを追加する予定です。
出典・参考情報(2026年9月26日確認)
- 国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果」(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html )
- 国土地理院「令和8年測量士補試験問題」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000278974.pdf )
- 国土地理院「令和8年測量士補試験解答」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000278975.pdf )
※本記事の問題要約・解説は編集部が上記の公式PDFをもとに作成したものです。問題文の正確な表現・図表は国土地理院の公式PDFを必ずご確認ください。計算過程の数値は関数表の精度により若干の誤差が生じる場合があります。







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