結論から先に言うと
令和8年(2026年)5月17日実施の測量士補試験から、No.13〜No.15の3問を解説します。分野はすべて「地形測量」で、数値地形図データの用語穴埋め、トータルステーション(TS)による細部測量の誤差計算、等高線の表現方法という組み合わせ。用語の定義さえ押さえれば得点源にしやすい分野ですが、No.14のような誤差計算は公式を知らないと手が止まります。過去問を解いていて地形測量の分野に不安を感じた方は、講座の比較ページで学習の進め方を検討してみるのも一つの手です。
この記事について
本記事は国土地理院が公表した令和8年測量士補試験の問題・正解PDF(出典は末尾に明記)をもとに、編集部が論点を要約し、解き方を整理したものです。問題文の全文転載は避けているので、正確な文言・図表は必ず公式PDFで確認してください。監修者・境さんは不動産仕入れ営業の実務者であり、同時に自身も測量士補試験に挑む受験者という立場からコメントを添えています。
本シリーズはNo.1〜No.3を解説した第1弾の記事から始めて、問題番号順に1本ずつ積み増しています。今回のNo.13〜15はいずれも「地形測量」の分野で、公共測量の現場で数値地形図データがどう作られ、TSでどう細部を測り、等高線でどう地形を表現するかという一連の流れを問う出題でした。
No.13 数値地形図データの穴埋め(座標データ・地図情報レベル・数値編集・精度管理表)
論点の要約:公共測量で作成される数値地形図データについて述べたa〜cの文章中、空欄ア〜エに入る語句の組合せを選ぶ問題です。「数値地形図データ」「地図情報レベル」「数値編集」といった、作業規程の準則で定義されている用語の理解が問われています。
解答へのアプローチ:3つの文をそれぞれ単独の穴埋めとして読み解けば、消去法をほとんど使わずに正解にたどり着けます。
aの文は「数値地形図データとは、地形や地物などの位置と形状を表す[ア]及びその内容を表す属性データなどで構成されるデータ」というもの。位置と形状を数値として表すデータといえば、まず思い浮かぶのは座標データです。「メタデータ」はデータについての付随情報(作成日時や出典など)を指す言葉で、地形・地物そのものの位置や形状は表しません。ここでアに入るのは座標データです。
bの文は「地図情報レベルは、数値地形図データの[イ]を表し、地形図縮尺1/2,500は、地図情報レベル2500に相当する」という内容。地図情報レベルは、従来の「縮尺」に相当する数値地形図データ特有の指標で、その数値が数値地形図データの地図表現精度を表すものです。「地図表示範囲」だと、対象エリアの広さを表す言葉になってしまい、縮尺の代わりという文脈と噛み合いません。イには地図表現精度が入ります。
cの文は「[ウ]とは、細部測量や現地調査などの結果に基づき、図形編集装置を用いて数値地形図データを編集する工程をいい、その点検結果は[エ]に取りまとめる」という内容です。細部測量や現地調査の結果をもとに図形編集装置でデータを編集する工程は数値編集と呼ばれ、その点検結果は精度管理表に取りまとめます。「追加編集」は既存データに新たな内容を加える別の工程、「製品仕様書」は作成するデータの仕様を定める文書で、点検結果の取りまとめ先ではありません。ウは数値編集、エは精度管理表が入ります。
以上を組み合わせると、ア=座標データ、イ=地図表現精度、ウ=数値編集、エ=精度管理表となり、正解は選択肢4です。
関連知識ポイント:この手の穴埋め問題は、似た響きの用語(座標データ/メタデータ、地図表現精度/地図表示範囲)を並べて紛らわしくしてくるのが定番のひっかけ方です。用語を単体で覚えるより、「これは何を記録するデータか」「これは工程の名前か、成果物の名前か」という軸で仲間分けしておくと、初見の組合せ問題でも判断しやすくなります。地図情報レベルと縮尺・精度の関係を表で確かめたいときは、GISと地理空間情報の解説で準則の対応表を整理しています。
No.14 TS細部測量の水平位置誤差(角度誤差2′10″・距離103m)
論点の要約:細部測量でトータルステーションを基準点Aに整置し、距離103mの点Bを観測したところ、水平角に2′10″の誤差があったとき、点Bの水平位置の誤差はいくらかを求める計算問題です。角度1ラジアンは2×10⁵″という近似値が問題文で与えられています。
解答へのアプローチ:まず角度の誤差を秒(″)に統一します。2′10″は、2分=120″と10″を足して130″です。
角度誤差(″) = 2′10″ = 2×60″ + 10″ = 130″
次に、この角度誤差をラジアンに変換します。問題文の指定どおり「1ラジアン=2×10⁵″」を使うので、
角度誤差(rad) = 130″ ÷ (2×10⁵″/rad) = 0.00065 rad
水平位置の誤差は「距離×角度誤差(ラジアン)」で近似できるという考え方がこの問題の核です。角度がごくわずかな範囲では、点が弧を描いてずれる量は、円弧の半径(=観測距離)と中心角(ラジアン)の積にほぼ等しくなるためです。距離103mを当てはめると、
水平位置誤差 = 103m × 0.00065 = 0.06695m ≒ 66.95mm
小数点以下を丸めると約67mmになるので、正解は選択肢4の67mmです。検算しても130÷200,000×103×1,000=66.95mmとなり、選択肢の中では67mmが最も近い値です。
なお今回は「1ラジアン=2×10⁵″」という近似値が問題文で与えられていたため、巻末の関数表は使わずに解けます。すべての計算問題に関数表が必要というわけではなく、問題文で数値そのものが与えられている場合はそちらを優先して使うのがポイントです。
関連知識ポイント:この問題は、TSの角度観測誤差が距離に応じてどれだけ位置のズレに拡大されるかを扱う「誤差の伝播」の考え方です。観測距離が長いほど、同じ角度誤差でも位置誤差は大きくなる――この感覚を持っておくと、基準点測量の偏心計算や角度誤差を扱うほかの問題にも応用が利きます。角度⇔ラジアンの単位変換や、閉合誤差・許容範囲の計算をまとめて確認したい人は、計算問題のパターンと公式を一覧にした記事もあわせてどうぞ。
No.15 等高線による地形表現で誤っているもの
論点の要約:公共測量の地形測量における、等高線による地形の表現方法について述べた5つの記述のうち、明らかに間違っているものを1つ選ぶ問題です。等高線の分岐、間隔、閉合、補助曲線、計曲線という等高線の基本ルールが一通り並んでいます。
解答へのアプローチ:選択肢を1つずつ検証していくと、誤りは選択肢3の「閉合する等高線の内部には必ず山頂がある」でした。等高線が輪のように閉じている場所は、山頂とは限らず、周囲より低い凹地(すり鉢状の窪地)である場合もあります。地形図ではこうした凹地を区別するために、等高線に低い方向を示す矢印などの凹地の記号を添えて「これは山頂ではなく窪みですよ」と示します。つまり「閉合=必ず山頂」と言い切ってしまう選択肢3が誤りです。
他の4つの記述は、いずれも等高線の基本的な性質として正しいものでした。1本の等高線が途中で2本以上に分かれることはなく、傾斜が急な場所ほど等高線の間隔は地形図上で狭くなり、補助曲線は主曲線だけでは表現しきれない緩やかな地形を補うために使われます。計曲線については、0mの主曲線を起点として5本目ごとの主曲線を太く(または種類を変えて)描いたものを指す、という説明も正しい内容です。
関連知識ポイント:等高線の問題は、地図を実際に読み慣れているかどうかで解答スピードが変わります。「輪になっている=山頂」と反射的に思い込むと引っかかる典型パターンなので、凹地の表現方法は図とセットで覚えておくと安心です。地形図の読図全般については、電子地形図25000を使った出題も過去に見られるため、日頃から国土地理院の地図をながめて主曲線・計曲線・補助曲線の違いを目で確認しておくと得点が安定します。
他の問題も通しで解くなら
このシリーズの前後の回:前の回は令和8年 測量士補【第3弾】No.8〜12 GNSS測量・水準測量、次の回は令和8年 測量士補【第5弾】No.16〜20 写真測量・三次元点群測量です。同じ年度を順番に解いていくと、出題の流れがつかみやすくなります。
今回はNo.13〜15の地形測量分野を扱いました。地形測量は数値地形図データの用語、TSでの誤差計算、地図表現のルールと守備範囲が広いぶん、1問1問はシンプルでも、積み重なると取りこぼしが増えやすい分野です。何年分をどのペースで解けばよいか迷っている方は、過去問の年数と周回の組み方を整理した記事も参考にしてください。
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地形測量は、数値地形図の作業工程と誤差の計算が混ざって出る分野です。用語だけを暗記して伸び悩んでいるなら、作業の流れを講義で一度つかんでおくと、選択肢のどこが入れ替わっているかに気づきやすくなります。編集部が比べた中では、過去7年分の過去問集と計算問題対策がそろっているアガルートが最初の候補になります。
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まとめ:次に何をすべきか
No.13は用語の穴埋め、No.14は誤差の計算、No.15は等高線の読み方。地形測量の分野は、公共測量の作業がどう進むかという「流れ」をイメージできているかどうかで解きやすさが変わります。用語を単発で覚えるより、測量→数値編集→地形図という工程の順に紐づけて理解しておくと、初見の組合せ問題にも対応しやすくなるはずです。過去問を解いて地形測量の分野で失点が続くようなら、独学の教材だけで潰しきるより講座で体系的に確認したほうが早いこともあります。3社の比較表から自分に合う学習スタイルを探してみるのも選択肢の一つです。
監修者・境さんより
No.14みたいな誤差の計算は、仕入れの実務にも近い感覚があります。数字がちょっとズレただけで、境界や測量の話は現場の空気がぴりっとする瞬間があるので。No.13の「地図情報レベル」みたいな用語は正直まだ暗記が甘いところもあるんですが、数値地形図データがどう作られてどう精度管理されるかという流れを知っておくと、測量図面を見せられたときに「これはどの段階の成果物なんだろう」と考える癖がつく気がしています。
過去問演習を進める中で「独学と講座、どちらが自分に合うか判断できない」という方は、以下もあわせて参考にしてください。
- 測量士補は独学で合格できる?勉強法とスケジュールを見る
- 測量士補試験の計算問題パターン・公式一覧を見る
- 価格とカリキュラムを比較してみる
なお、問題を単元別(計算問題/法規/作業規程)に横断して復習できるインデックスページは、当メディアで公開準備を進めています。公開後、本記事からも回遊できるようリンクを追加する予定です。
出典・参考情報(2026年9月26日確認)
- 国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果」(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html )
- 国土地理院「令和8年測量士補試験問題」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000278974.pdf )
- 国土地理院「令和8年測量士補試験解答」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000278975.pdf )
※本記事の問題要約・解説は編集部が上記の公式PDFをもとに作成したものです。問題文の正確な表現・図表は国土地理院の公式PDFを必ずご確認ください。計算過程の数値は関数表・近似値の精度により若干の誤差が生じる場合があります。






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