令和8年 測量士補 過去問解説【第7弾】No.25〜28 応用測量

測量士補

結論から先に言うと
令和8年(2026年)5月17日実施の測量士補試験から、No.25〜No.28を解説します。この4問はすべて「応用測量」の分野で、前半2問が路線測量(下線部の誤り探しと、円曲線の路線長を求める計算)、後半2問が座標値から土地の面積を求める計算と河川測量の正誤判定です。特にNo.26とNo.27は、途中の数値や元の条件のまま計算を止めてしまうと、それがそのまま不正解の選択肢として用意されているタイプの問題なので、途中式ごと確認していきます。応用測量でつまずきが多かった方は、通信講座の比較ページで演習量の多い講座を探してみるのも一つの手です。

この記事について

測量士補試験は例年5月に実施され、国土地理院が試験翌日を目安に公式サイトで問題と正解を公表しています。令和8年試験は2026年5月17日に実施され、正解は5月18日に公表されました。本記事は国土地理院公開の「測量士補試験問題」「測量士補試験解答」PDF(出典は末尾に明記)をもとに、編集部が論点を要約し、解き方のポイントを整理したものです。著作権に配慮して問題文の全文転載は避けているので、正確な問題文・図表は公式PDFでご確認ください。

本シリーズはNo.1〜No.3を扱った第1弾からNo.28まで、分野ごとに問題を積み増していく企画です。今回の第7弾で扱う応用測量は、道路や河川といった土木寄りのテーマが並ぶ分野。図や座標を目で追いながら解く問題が多く、知識問題と計算問題がちょうど半々というのもこの分野らしいところです。なお監修者・境さんは、不動産仕入れ営業の実務者としての視点に加え、自身も測量士補試験に挑む受験者という立場からコメントを添えています。


No.25 路線測量の下線部の誤り(仮BM設置測量)

論点の要約:公共測量における路線測量について述べた1〜5の文のうち、下線部が「明らかに間違っているもの」を1つ選ぶ問題です。線形決定、中心線測量、仮BM設置測量、横断測量、用地幅杭設置測量という、路線測量の一連の作業がそれぞれ題材になっています。

解答へのアプローチ:路線測量はおおまかに「路線選定→線形決定→中心線測量→仮BM設置測量→縦断測量・横断測量→用地幅杭設置測量」という順番で進みます。この流れを頭に置いたうえで、各選択肢の定義と下線部の内容が食い違っていないかを一つずつ確認していくのが早道です。

路線測量の流れ:路線選定→線形決定→中心線測量→仮BM設置測量(平地は3級、山地は4級水準測量)→縦断測量・横断測量→用地幅杭設置測量

誤りは選択肢3、仮BM設置測量に関する記述でした。設問は「平地においては4級水準測量により行い、山地においては簡易水準測量により行う」としていますが、作業規程の準則では平地では3級水準測量、山地では4級水準測量により行うと定められています。設問文は平地・山地ともに1段階ずつ低い等級にずらしてあり、「山地は4級」という知識があると「4級」という言葉に引っ張られて正しそうに見えてしまいます。高低差が大きく観測条件の厳しい山地では許容範囲の緩い4級、平地では3級、と「平地のほうが1段階上の等級」とセットで覚えておきましょう。

残る4つの記述は、いずれも定義として正しい内容でした。線形決定は地形図上で交点の位置を座標として定め、計算などで求めた主要点・中心点の座標値を用いて線形図データファイルを作成する作業。中心線測量は、その主要点・中心点を現地に設置し、地形データに座標値を加えて線形地形図データファイルを作成する作業です。横断測量は中心杭を基準に地形の変化点の距離・地盤高を定め、横断測量の結果または三次元点群データから横断面図データファイルを作成する作業。用地幅杭設置測量は、用地取得等の範囲を示すために所定の位置へ用地幅杭を設置し、測点番号や中心杭からの距離を標杭に表示する作業です。

関連知識ポイント:路線測量は工程の名前が似ていて混同しやすいので、「何を決めるための作業か」で整理するのがおすすめです。線形決定は交点の位置を数値(座標)で決める作業、中心線測量はその数値を現地に落とし込む作業、仮BM設置測量は縦断・横断測量に使う高さの基準を作る作業というように役割が違います。仮BM設置測量のように精度等級(◯級水準測量)の数字が絡む問題は、「平地3級・山地4級」のように平地と山地をペアで覚えておくと、片方だけずらした選択肢にも気づきやすくなります。


No.26 円曲線を交角の異なる新道路に付け替えたときの路線長

論点の要約:曲線半径R=350m、交角α=90°で設置されている現道路BC〜ECを改良し、交角β=60°の新道路BC〜EC′を建設する計算問題です。新道路の起点BC、および交点IPの位置は現道路と同じという条件で、新道路の路線長を求めます。円周率はπ=3.14として計算し、関数の値が必要な場合は巻末の関数表を使うという指定です。

解答へのアプローチ:この問題のポイントは、BCとIPの位置が現道路と新道路で変わらないという条件をどう使うかです。IPから円曲線の始点(BC)までの距離を接線長といい、次の式で求まります。

接線長 T = R × tan(交角 ÷ 2)

現道路と新道路の円曲線の重ね図:BCとIPは共通で接線長T=350m。現道路はR=350m・交角α=90°、新道路は交角β=60°で半径R′≈606.2m、路線長は約634.5m

現道路はIPからBCまでの接線長がT=350×tan(45°)=350×1.00000=350mです。BCとIPの位置は新道路でも変わらないので、この350mという接線長の値そのものが新道路にも引き継がれます。つまり新道路側は、半径が分からない代わりに接線長がすでに分かっている、という状況です。

350 = R′ × tan(60° ÷ 2) = R′ × tan(30°)
R′ = 350 ÷ tan(30°)
   = 350 ÷ 0.57735
   ≒ 606.2m

ここで焦ってこの606mを路線長として選んでしまうと選択肢3を選ぶことになり、不正解です(ちなみに現道路の路線長350×90×3.14÷180≒550mも選択肢2に用意されています)。606mはあくまで新道路の半径R′であって、設問が聞いているのは路線長(曲線の弧の長さ)。単曲線の路線長は「半径×交角(ラジアン)」で求めるので、もう一段階の計算が必要になります。

路線長 CL = R′ × β(ラジアン)
      = 606.2 × (60 × 3.14 ÷ 180)
      = 606.2 × 1.0467
      ≒ 634.5m

路線長は約634m、選択肢4が正解です。

関連知識ポイント:単曲線の要素計算(接線長T=R×tan(I/2)、路線長CL=R×I×π/180)は、測量士補試験の計算問題パターン・公式一覧でも扱っている頻出パターンです。この問題のように「半径そのものではなく、接線長やIP・BCの位置といった別の条件が共通」という設定は、公式を丸暗記しているだけだと逆算の方向を間違えやすいところ。何が既知で何を求めるべきかを図に書き出してから式を立てる癖をつけておくと安全です。


No.27 道路拡幅にともなう新境界線の面積計算

論点の要約:境界点A〜Dで囲まれた四角形の土地があり、境界点A・Bは道路との境界です。表27には各境界点の平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号)に基づくX・Y座標値が示されています。道路が拡幅され、線分ABと平行に新たな境界線PQが引かれることになりました。拡幅の幅は3.000mです。このとき点P、点Q、境界点C、境界点Dで囲まれた四角形の面積を求めます。

解答へのアプローチ:この問題は大きく2段階に分かれます。まず新しい境界線上の点P・Qの座標を求め、そのうえで座標法を使って四角形PQCDの面積を出す、という流れです。表27の座標値は次のとおりでした。

境界点 X座標(m) Y座標(m)
A −25.000 −5.000
B +4.000 −5.000
C −21.000 +20.000
D −25.000 +19.000

道路拡幅の座標図:境界点A(−25,−5)・B(4,−5)・C(−21,20)・D(−25,19)に対し、ABから3.000m平行にずらしたP(−25,−2)・Q(1,−2)を結び、四角形PQCDの面積は328m²

AとBはどちらもY=−5.000で、線分ABはY座標が一定の直線です。新しい境界線PQはABと平行なので、こちらもY座標が一定の直線になります。拡幅幅3.000mの分だけ道路側から敷地側にずれるので、PQの位置はY=−5.000+3.000=−2.000です。

点Pは線分AD上にあります。AとDはどちらもX=−25.000で、線分ADはX座標が一定の直線。そのままY=−2.000を代入するだけで、P=(−25.000, −2.000)と求まります。

点Qは線分BC上にあります。B(4.000, −5.000)からC(−21.000, +20.000)へ向かう直線をパラメータtで表すと、X=4.000+t×(−25.000)、Y=−5.000+t×(25.000)。Y=−2.000になるtを求めると、

−5.000 + 25.000t = −2.000
25.000t = 3.000
t = 0.120

このtを使ってXを求めると、X=4.000+0.120×(−25.000)=4.000−3.000=1.000。よってQ=(1.000, −2.000)です。

P・Q・C・Dの4点がそろったところで、座標法の公式に当てはめます。

2S = ΣXi × (Yi+1 − Yi-1)

2S = X_P(Y_Q − Y_D) + X_Q(Y_C − Y_P) + X_C(Y_D − Y_Q) + X_D(Y_P − Y_C)
   = (−25.000)×(−2.000−19.000) + 1.000×(20.000−(−2.000)) + (−21.000)×(19.000−(−2.000)) + (−25.000)×(−2.000−20.000)
   = (−25.000)×(−21.000) + 1.000×22.000 + (−21.000)×21.000 + (−25.000)×(−22.000)
   = 525.000 + 22.000 − 441.000 + 550.000
   = 656.000

S = 656.000 ÷ 2 = 328.000m²

面積は328m²、選択肢1が正解です。なお、拡幅前の四角形ABCDの面積をそのまま計算すると410.5m²となり、選択肢4(411m²)に当たります。点P・Qを求めずに元の座標で計算してしまうと、こちらを選んでしまうわけです。

関連知識ポイント:座標法の公式そのものは座標法の公式をまとめた記事でも紹介していますが、この問題の本当の山場は公式に当てはめる手前、P・Qという「まだ座標が与えられていない点」を先に求めるステップにあります。土地の境界に接する道路が拡幅されたり後退したりすると、そこに接する敷地の境界線も動き、面積が変わる。この構図は不動産の現場でもそのまま起きることで、境界点の座標が数十センチずれるだけで、実測面積の数字も変わってきます。公簿面積と実測面積の食い違いが問題になる場面については、公簿売買と実測売買の違いを解説した記事でも詳しく書いているので、あわせて読んでみてください。


No.28 河川測量の正誤判定(距離標・深浅測量)

論点の要約:公共測量における河川測量について述べたa〜eの文のうち、「明らかに間違っているものだけの組合せ」を選ぶ問題です。水準基標測量、距離標の設置間隔、深浅測量の定義、深浅測量での水深測定の方法、定期横断測量の測量範囲が題材になっています。

解答へのアプローチ:誤りはbとcの組合せでした。

河川測量の図解:距離標は起点から河心に沿って200mごとに設置。横断面では水部が深浅測量、定期横断測量の範囲は堤外地に加えて堤内20〜50mまで含む

bは「距離標の設置間隔は、起点から河心に沿って、原則として2kmとする」という記述です。作業規程の準則では、距離標の設置間隔は河口または幹川への合流点に設けた起点から、河心に沿って200mを標準とするとされていて、この文の「2km」は一桁大きい数字にすり替えられています。距離標は起点からの距離を示す、いわば「川の住所」のような役割を持つ標識で、定期縦断・定期横断測量の基準にもなるため、細かい間隔で設置してこそ役に立ちます。2kmおきでは実用に耐えないと考えると、数字のおかしさに気づきやすいかもしれません。

cは「深浅測量とは、河川などにおいて水深及び測深位置を測定し、縦断面図データファイルを作成する作業をいう」という記述です。準則では深浅測量を「水深、測深位置又は船位、水位又は潮位を測定し、横断面図データファイルを作成する作業」と定めていて、作成するのは縦断面図ではなく横断面図データファイルです。水底の地形を横断方向の断面で捉えていく作業なので、「縦断」と「横断」を入れ替えたひっかけだと分かります。

残るa・d・eは正しい記述でした。水準基標測量は定期縦断測量の基準となる水準基標の標高を定める作業。深浅測量の水深測定は音響測深機が原則ですが、水深が浅い場合はロッドまたはレッドを用いて直接測定する、という点も準則どおりです。そして定期横断測量の測量範囲は、堤外地(川側)だけでなく堤内地の一部も含むという記述も正しく、準則では陸部の測量範囲を堤内20〜50mと標準で定めています。

関連知識ポイント:河川測量は「距離標」「水準基標」「深浅測量」「定期横断測量」といった専用の用語がまとまって出てくる分野です。距離標は200m間隔という数字、深浅測量は横断面図を作るという成果物、この2点セットで覚えておくと、似たような数字・用語の入れ替えに気づきやすくなるはずです。


他の年度も通しで解くなら

このシリーズの前後の回:前の回は令和8年 測量士補【第6弾】No.21〜24 地図編集です。同じ年度を順番に解いていくと、出題の流れがつかみやすくなります。

この記事で扱っているのは令和8年の一部の問題です。複数年度を通しで解くなら、年度別の問題がまとまった市販の過去問集が効率的です。

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応用測量は、路線の曲線計算や面積計算など、手順を知っていれば得点できる計算問題が多い分野です。解き方の型を講義で一度押さえておくと、本番で手が止まりにくくなります。編集部が比べた中では、過去7年分の過去問集と計算問題対策がそろっているアガルートが最初の候補になります。

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まとめ:次に何をすべきか

今回のNo.25〜No.28は、路線測量・面積計算(用地測量の考え方)・河川測量という、応用測量の代表的なテーマがそろっていました。No.26・No.27のように計算が2段階になっている問題は、途中で出てきた数値(新道路の半径)や拡幅前の条件で出した数値を、そのまま最終的な答えだと早合点してしまうミスが起きやすいところです。設問の最後の一文を先に確認してから計算に入る、という手順を徹底しておくと防げるミスでもあります。応用測量の計算で手が止まった、あるいは知識問題の用語がごちゃごちゃになってきたという方は、3社のカリキュラムを比較ページで見比べてみるのもおすすめです。

監修者・境さんより
No.27の道路拡幅の問題は、狭小地の仕入れをやっているとわりと現実感のある話に見えました。道路の境界が数メートル動くだけで、隣接する土地の使える面積も変わってくる。実務では拡幅そのものより、私道の持分や境界標の位置が地積測量図の数字どおりに現地と一致しているかを確認する場面のほうが多いですが、座標の数字をきちんと追えば面積の増減がずれなく説明できる、という感覚はこの問題を解いていて掴めた気がします。No.26の円曲線は正直まだ実務との接点が見えていませんが、路線測量という言葉自体は現場でもたまに耳にするので、全体の流れくらいは追えるようにしておきたいところです。



公簿売買とは?実測売買との違いと面積差トラブルの防ぎ方
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過去問演習を進める中で「自分の弱点分野が分からない」「独学と講座、どちらが自分に合うか判断できない」という方は、以下もあわせて参考にしてください。

なお、問題を単元別(計算問題/法規/作業規程)に横断して復習できるインデックスページ、および他の問題番号を扱った解説記事は、当メディアで順次公開準備を進めています。公開後、本記事および各記事の末尾から回遊できるようリンクを追加する予定です。


出典・参考情報(2026年9月26日確認)

  • 国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果」(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html )
  • 国土地理院「令和8年測量士補試験問題」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000278974.pdf )
  • 国土地理院「令和8年測量士補試験解答」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000278975.pdf )

※本記事の問題要約・解説は編集部が上記の公式PDFをもとに作成したものです。問題文の正確な表現・図表は国土地理院の公式PDFを必ずご確認ください。計算過程の数値は関数表の精度により若干の誤差が生じる場合があります。

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