結論から先に言うと
令和7年(2025年)5月18日実施の測量士補試験から、No.16〜No.20を解説します。No.16・17はデジタル航空カメラの画面距離と地上画素寸法を使った撮影高度・実長の計算、No.18〜20は航空レーザ測深・UAVレーザ測量・車載写真レーザ測量という、いずれも「レーザで地表や水中を測る」技術の知識問題です。計算の型自体は難しくないのですが、似た用語や似た数値がいくつも出てくるため、単発の暗記では取りこぼしやすい分野です。過去問で複数問落とした場合は、通信講座を価格・カリキュラムで比較したページも選択肢に入れてみてください。
この記事について
測量士補試験は例年5月に実施され、試験後に国土地理院が問題と正解を公式サイトで公表しています。令和7年試験は2025年5月18日に実施され、受験者13,363名のうち6,837名が合格、合格率は51.2%でした。本記事は国土地理院公開の「測量士補試験問題」「測量士補試験解答」PDF(出典は末尾に明記)をもとに、編集部が論点を要約し、解き方のポイントを整理したものです。著作権に配慮して問題文の全文転載は避けているので、正確な問題文・図表は公式PDFでご確認ください。
本シリーズは分野ごとに区切って令和7年の問題を解説していく企画で、今回の第5弾は写真測量とレーザ測量がテーマ。前半のNo.16・17は数値写真の縮尺に関する計算問題、後半のNo.18〜20は航空レーザ測深・UAVレーザ測量・車載写真レーザ測量という、近年の測量現場で実際に使われている技術が題材になっています。監修者・境さんは、不動産仕入れ営業の実務者としての視点に加え、自身も測量士補試験に挑む受験者という立場からコメントを添えています。
No.16 デジタル航空カメラで撮影した鉄道橋の実長を求める計算
論点の要約:画面距離120mm、撮像面の素子寸法6μmのデジタル航空カメラを鉛直下に向け、海面からの撮影高度3,000mで数値写真を撮影した。標高200mの地点に水平に架かる鉄道橋が、写真の主点付近に画面短辺と平行に写り込み、写真上での長さを計測したところ1,000画素だった。この鉄道橋の実際の長さを求める問題です。
解答へのアプローチ:この手の計算で最初に確認すべきは、写真の縮尺は撮影高度そのものではなく「撮影高度と被写体の標高との差」で決まるという点です。撮影高度は海面(標高0m)から3,000mですが、鉄道橋があるのは標高200mの地点。カメラから鉄道橋までの実質的な距離は、次のとおり2,800mになります。
H − h = 3,000m − 200m = 2,800m
次に、写真上での鉄道橋の長さをミリ単位に直します。1画素あたりの素子寸法が6μm(=0.000006m)なので、1,000画素分の長さは次のとおりです。
写真上の長さ = 1,000画素 × 0.000006m
= 0.006m(6mm)
あとは画面距離(120mm=0.12m)と(H−h)の比を使って、写真上の長さを実際の長さに引き伸ばします。
実際の長さ = 写真上の長さ × (H − h) ÷ 画面距離
= 0.006m × 2,800m ÷ 0.12m
= 0.006m × 23,333.33…
= 140m
鉄道橋の実際の長さは140m、選択肢2が正解です。
関連知識ポイント:この問題でうっかりやってしまいがちなのは、標高200mを無視して撮影高度3,000mをそのまま(H−h)の代わりに使ってしまうミスです。試しに計算すると0.006m×3,000m÷0.12m=150mとなり、これは選択肢3に一致します。問題文に被写体の標高が示されている場合、必ずそれを撮影高度から差し引くのが写真測量の縮尺計算の基本ルールです。標高を引き忘れた答えが選択肢に用意されていることが多いので、計算結果が選択肢と一致しても安心せず、H−hを使ったかを確認してください。
No.17 地上画素寸法から撮影高度を逆算する計算
論点の要約:画面距離100mm、画面の大きさ12,000画素×11,000画素、撮像面での素子寸法6μmのデジタル航空カメラで鉛直空中写真を撮影した。撮影基準面(標高250m)での地上画素寸法を15cmとした場合、標高0mからの撮影高度を求める問題です。
解答へのアプローチ:No.16と使う式は同じですが、今度は逆に「地上画素寸法」から「撮影高度」を求める向きの計算です。地上画素寸法とは、写真上の1画素が地上のどれだけの範囲に対応するかを表す値で、次の関係式が成り立ちます。
地上画素寸法 = 素子寸法 × (H − h) ÷ 画面距離
この式に、地上画素寸法0.15m、素子寸法0.000006m、画面距離0.1mを当てはめて(H−h)を逆算します。
0.15m = 0.000006m × (H − h) ÷ 0.1m
(H − h) = 0.15m × 0.1m ÷ 0.000006m
= 2,500m
(H−h)が2,500mと分かったら、あとは撮影基準面の標高250mを足すだけです。
撮影高度H = 2,500m + 250m = 2,750m
正解は選択肢3、2,750mです。(H−h)の2,500mで止めてしまうと選択肢2を選んでしまうので、最後に基準面の標高を足すのを忘れないようにしましょう。なお、この問題では画面の大きさ(12,000画素×11,000画素)は撮影範囲全体の広さを求めるための情報で、地上画素寸法から撮影高度を求める計算そのものには使いません。
関連知識ポイント:No.16とNo.17は、実は同じ関係式「地上画素寸法(または実長)=素子寸法×(H−h)÷画面距離」を、求めたい値の向きを変えて出題した一対の問題です。公式を丸暗記するのではなく、H・h・画面距離・素子寸法・地上の長さという5つの要素がどう関係しているかを図で理解しておくと、どちらの向きで問われても対応できます。過去問の計算パターンを型として整理したい方は、以下の記事もあわせて参考にしてください。
No.18 航空レーザ測深測量の穴埋め問題
論点の要約:公共測量における航空レーザ測深測量について述べたa〜cの文の空欄(ア〜ウ)に入る語句の組合せを選ぶ問題です。レーザ測距装置に用いる波長の反射特性、航空レーザ測深システムが計測データを地表面・水面・水底に分類する仕組み、水中を通るレーザが受ける調査対象(透明度・濁度)が題材になっています。
解答へのアプローチ:航空レーザ測深は、性質の異なる2つの波長のレーザを同時に使うのが最大の特徴です。近赤外の波長域のレーザは水面で反射しやすく、緑色の波長域のレーザは水を透過して水底まで届き、水底で反射しやすいという性質を持ちます。この2つを組み合わせることで、同じ場所を計測しても「地表面で反射した点」「水面で反射した点」「水底で反射した点」を区別できるわけです。したがってアには「近赤外」、イには「緑色」が入ります。
cの文は、緑色の波長域のレーザを使った測深が何の影響を受けるかを問うています。水を透過するタイプのレーザなので、水の透明度や濁り具合によって届く深さが変わってくる。ウに入るのは「水質」です。作業規程の準則でも、航空レーザ測深測量では測深に影響を与える河川の水質を調査し、透明度・濁度・透視度などを現地で確認するよう定めています(第588条)。以上から、ア=近赤外、イ=緑色、ウ=水質の組合せ、選択肢1が正解です。
関連知識ポイント:陸上を対象にした一般的な航空レーザ測量(地形測量)では近赤外の波長だけで十分ですが、水域を対象にする航空レーザ測深では、水面用と水底用の2波長をセットで扱う点が大きな違いです。海岸線や河川・湖沼のように陸と水が接するエリアの地形を面的に把握したいときに使われる技術で、「近赤外=水面用」「緑色=水中用」という組合せを逆に覚えてしまうと選択肢を丸ごと取り違えるので注意してください。
No.19 UAVレーザ測量の実施方法に関する正誤判定
論点の要約:公共測量におけるUAVレーザ測量について述べた1〜5の記述から、「明らかに間違っているもの」を1つ選ぶ問題です。飛行に関する法令順守、ボアサイトキャリブレーション・精度試験、レーザ測距装置の最大測距距離と計測距離の設定、計測直後のデータ収録状況の確認、既存データを点検に流用できる条件が題材です。
解答へのアプローチ:誤りは選択肢3でした。「測量作業範囲の地形条件などを踏まえ、使用するレーザ測距装置の最大測距距離を超えて計測距離を設定した」という記述ですが、作業規程の準則では、計測距離は使用するレーザスキャナの最大測距距離の80パーセント以下で計測するように定めることを標準とし、最大測距距離を超えないものとされています(第451条第6項)。最大測距距離を超えるとレーザの反射が十分に戻らず、欠測や精度低下の原因になります。地形条件が厳しいからといって機器の限界を超えた設定をするのではなく、対地高度やスキャン角度などの計測諸元を見直して、計測距離を範囲内に収めるのが正しい進め方です。
残る1・2・4・5はいずれも実施方法として妥当な内容でした。UAVの飛行には航空法に基づく許可・承認や国土交通省航空局の飛行ルールへの準拠が必要です(1)。使用するUAVレーザ測量システムの特性やデータ品質を確認するためのボアサイトキャリブレーション・精度試験は、準則で実施が義務付けられています(2・第449条)。計測直後に計測場所でデータの収録状況を確認する手順(4・第460条第2項)、必要な精度を有し作成時点から計測範囲の状況が大きく変わっていない既存データを点検に使う運用(5・第467条第3項)も、いずれも準則どおりの内容です。
関連知識ポイント:「明らかに間違っているものを選べ」という形式の問題では、使用する機器の性能の上限を超えるような記述には注意してください。UAVレーザ測量の計測距離は「最大測距距離の80パーセント以下が標準、最大測距距離は超えない」という数字とセットで覚えておくと、類題でも迷いません。
No.20 車載写真レーザ測量の穴埋め問題
論点の要約:公共測量における車載写真レーザ測量について述べた文の空欄(ア〜エ)に入る語句・数値の組合せを選ぶ問題です。計測車両に搭載する機器の種類、作成する数値地形図データの地図情報レベル、航空機を用いた空中写真測量と比べたときの特徴が題材になっています。
解答へのアプローチ:車載写真レーザ測量は、計測車両にレーザ測距装置とGNSS/IMU装置などを搭載し、道路上を走行しながら三次元計測を行う手法です。したがってアには「レーザ測距装置」、イには「GNSS/IMU装置」が入ります。作業規程の準則では、この方式で作成する数値地形図データの地図情報レベルは500及び1000を標準とすると定められており(第488条第1項第4号)、ウには「500及び1000」が入ります。
エは、航空機を用いた空中写真測量と比べたときの車載写真レーザ測量の特徴を問う空欄です。車両が地上に近い距離から計測するぶん、対象になるのは道路沿いに限られますが、そのぶん細かい地物まで捉えられる高精度なデータの作成に適しています。したがってエには「高精度」が入り、正解は選択肢5(ア=レーザ測距装置、イ=GNSS/IMU装置、ウ=500及び1000、エ=高精度)です。
関連知識ポイント:航空機による空中写真測量、UAV写真測量・UAVレーザ測量、そして車載写真レーザ測量は、いずれも「写真やレーザで三次元データを作る」という点では共通していますが、得意な範囲と精度のバランスが異なります。広い範囲を一気に押さえたいなら航空機、道路沿いをピンポイントで高精度に押さえたいなら車載、というふうに使い分けをイメージしておくと、選択肢に出てくる「広範囲」か「高精度」かの判断がしやすくなります。
令和8年の同分野と比べてどう出題が変わったか
同じ写真測量分野のNo.16〜20を、令和8年試験の第5弾でも扱っています。見比べると、令和7年は計算2問(実長と撮影高度)に、航空レーザ測深・車載写真レーザ測量という水域・道路に特化したレーザ技術(No.18・20)が加わる構成でした。令和8年は計算が撮影基線長(No.16)と航空レーザ測量の欠測率(No.20)の2問、知識問題は空中写真測量の特徴・UAV写真測量・UAVレーザ測量で、UAVレーザ測量は両年とも出題されています。同じ「写真測量」という枠でも、年によって出てくる機材や技術要素が入れ替わるため、UAVだけ、レーザだけ、と山を張らずに一通り目を通しておくほうが安全です。
他の年度も通しで解くなら
このシリーズの前後の回:前の回は令和7年 測量士補【第4弾】No.13〜15 地形測量、次の回は令和7年 測量士補【第6弾】No.21〜24 地図編集です。同じ年度を順番に解いていくと、出題の流れがつかみやすくなります。
この記事で扱っているのは令和7年の一部の問題です。複数年度を通しで解くなら、年度別の問題がまとまった市販の過去問集が効率的です。
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写真測量・レーザ測量は、縮尺や撮影高度の計算と、新しい測量手法の規定の知識の両方が必要な分野です。計算の型と規定の要点を講座でまとめて押さえるのも効率的です。編集部が比べた中では、過去7年分の過去問集と計算問題対策がそろっているアガルートが最初の候補になります。
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まとめ:次に何をすべきか
今回のNo.16〜No.20は、数値写真の縮尺計算と、航空レーザ測深・UAVレーザ測量・車載写真レーザ測量という3種類のレーザ技術の知識問題でした。計算問題は「H−hを求める→比を使って引き伸ばす(または逆算する)」という同じ型の繰り返しで、知識問題は近赤外と緑色、レーザ測距装置とGNSS/IMU装置のように似た用語のペアを正確に覚えているかが分かれ目になります。この分野でつまずきが多いと感じたら、独学のテキストだけで断片的に覚えるより、体系的にカリキュラムが組まれた講座を検討してみるのも一つの手です。
監修者・境さんより
航空レーザ測深とか車載写真レーザ測量とか、正直このあたりは仕入れの現場で自分から使う言葉ではありません。ただ、大きめの造成地や河川に近い土地の話が出たとき、測量会社さんから「レーザ測深のデータがあるので水際の地形はある程度分かります」といった説明を受けたことがあり、そのとき初めて名前だけ知っていた技術の中身が繋がった感覚がありました。No.19のように「機器の限界を超えた設定は誤り」という着眼点は、現場で聞く話の中にも「それって物理的に無理な話では」と気づくための土台になる気がしています。仕入れ実務とのつながりについては仕入れ営業シリーズのハブ記事でもう少し詳しく書いています。
過去問演習を進める中で「自分の弱点分野が分からない」「独学と講座、どちらが自分に合うか判断できない」という方は、以下もあわせて参考にしてください。
なお、問題を単元別(計算問題/法規/作業規程)に横断して復習できるインデックスページは、当メディアで公開準備を進めています。公開後、本記事からも回遊できるようリンクを追加する予定です。
出典・参考情報(2026年9月26日確認)
- 国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果」(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html )
- 国土地理院「令和7年測量士補試験問題1」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000270177.pdf )
- 国土地理院「令和7年測量士補試験問題2」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000270178.pdf )
- 国土地理院「令和7年測量士補試験正解」PDF(https://www.gsi.go.jp/common/000270180.pdf )
- 国土交通省国土地理院「作業規程の準則」(https://www.gsi.go.jp/common/000258734.pdf )
※本記事の問題要約・解説は編集部が上記の公式PDFをもとに作成したものです。問題文の正確な表現・図表は国土地理院の公式PDFを必ずご確認ください。計算過程の数値は関数表の精度により若干の誤差が生じる場合があります。







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