位置指定道路の申請にかかる費用は何で決まる?手数料・測量・築造工事・承諾の内訳

測量士補

結論から先に言うと
道路位置指定の費用は、一つの金額ではなくいくつかの費用の足し算です。申請手数料、測量・図面づくり、道路の築造工事、関係する権利者の承諾の取得、分筆登記などに分かれます。この記事では総額や相場は示さず、道の長さ、行き止まりにするか、権利者の数、境界の状態のどれが費用を押し上げるかを、条文に沿って整理しました。

道路位置指定を受けて分譲する話になると、まず聞かれるのは「結局いくらかかるのか」だ。ところが、この質問に一つの数字で答えるのは難しい。

理由は単純で、費用の中身が性質の違うものの寄せ集めだからだ。役所に払う手数料のように自治体ごとに額が決まっているものもあれば、工事のように道の長さや地盤で大きく動くものもある。この記事では「何が、何によって増減するのか」の整理に絞る。

位置指定道路という制度そのものの説明、2項道路との違い、調べ方は位置指定道路とは?セットバックが必要になるケースと調べ方に任せている。ここでは、申請して新しく道を作る側の費用に話を限る。


1. 費用の全体像:三つの区分と五つの項目

申請に何が要るかは条文に書いてあるので、そこから費用の項目を拾っていく。

建築基準法第42条第1項第5号は、建物を建てるために道路法や都市計画法などによらずに作る道を、道路の一つとしている(e-Gov法令検索で確認)。条件は、政令の基準に合っていること、そして道を作る人が特定行政庁から位置の指定を受けていることだ。つまり、基準に合う道を作ることと、指定を受ける手続の両方に費用がかかる。

費用は、申請書に付ける図面と承諾書をそろえる費用(測量・図面、承諾)、基準に合う道を作る工事費、役所や登記にかかる費用(手数料、分筆登記)の三つに分けて考えると整理しやすい。以下では、手数料、測量・図面、築造工事、承諾、分筆登記の順に見ていく。

区分 項目 費用・手間が増える主な要因
役所と登記 申請手数料(2章) 計画地を管轄する特定行政庁(自治体)
図面と承諾書をそろえる 測量・図面作成(3章) 道の延長、境界の状態、高低差、土地内の物件の多さ
道を作る 築造工事(4章) 道の長さ・幅・形、転回広場・隅切り、勾配、排水、条例で定めた区域の基準
図面と承諾書をそろえる 承諾の取得(5章) 権利者の数、遠方にいるか、応じてもらえるか(主に時間に響く)
役所と登記 分筆登記(6章) 分ける筆数、土地の形、境界の状況

2. 申請手数料:額は自治体ごとに違う

申請手数料の額は自治体ごとに決まっていて、改定されることもある。

編集部では今回、自治体の条例や公式ページを開けず、額を確かめられなかった。そのため手数料の金額は載せていない。実際の額は、計画地を管轄する特定行政庁(市区町村または都道府県の建築指導の窓口)の手数料の案内で確かめてほしい。

手数料は窓口の案内を見れば額が分かる。見積もりが難しいのは、次の測量から先だ。

3. 測量・図面作成:図面に書く事項が多いほど手間が増える

申請には図面が要る。建築基準法施行規則第9条は、道路の位置の指定を受けようとする者は、申請書正副二通に、表に掲げる図面と承諾書を添えて特定行政庁に提出すると定めている(e-Gov法令検索で確認)。条文で「土地」と言っているのは、指定を受けようとする道路の敷地になる土地のことだ。地籍図に書く境界や地番も、この土地についてのものになる。

表に載っている図面は二つだ。

  • 附近見取図(方位、道路及び目標となる地物を明示)
  • 地籍図(縮尺、方位、指定を受けようとする道路の位置、延長及び幅員、土地の境界、地番、地目、土地の所有者及びその土地又はその土地にある建築物若しくは工作物に関して権利を有する者の氏名、土地内にある建築物、工作物、道路及び水路の位置並びに土地の高低その他形上特記すべき事項を明示)

附近見取図は、方位と周りの道路、目印になるものが分かればよいので、手間はそれほどかからない。手間がかかるのは地籍図で、現地を正確に測ることが前提になる。

地籍図に書く事項から考えると、手間を増やす要因はおおまかに次のようになる。

  • 道の延長が長いほど、測って図面に書く範囲が増える
  • 道の敷地になる土地の境界がはっきりしないと、測る前に隣の所有者と境界を確かめる作業が加わる(境界標が残っていない、図面が古いなど)
  • 高低差のある土地は、高さの情報を取る手間が増える
  • その土地内に建物、工作物、水路などが多いほど、記載する対象が増える

なお、実際の窓口では、条文の表に書かれた範囲を超えて、周囲の土地や既存の道路との関係を示す図面を求められることもあり得る。これは条文ではなく自治体や案件ごとの運用の話なので、図面の範囲は申請先で確かめたい。

4. 道路の築造工事:基準の一つひとつが費用に跳ね返る

道を作る工事の費用は、道の長さ・幅・形で変わる。建築基準法施行令第144条の4が、位置指定の道に求める基準を定めている(e-Gov法令検索で確認)。第1項は五つの号でできている。

第1号 両端が他の道路に接続していること。 ただし、次のイからホまでのいずれかに該当する場合は、袋路状道路(行き止まりの道)とすることができる。

  • イ 延長が35メートル以下の場合。延長は、既存の幅員6メートル未満の袋路状道路に接続する道では、その袋路状道路が他の道路に接続するまでの部分も含めて数える(括弧書き。ハの延長も同じ)
  • ロ 終端が公園、広場その他これらに類するもので自動車の転回に支障がないものに接続している場合
  • ハ 延長が35メートルを超える場合で、終端と区間35メートル以内ごとに、国土交通大臣の定める基準に適合する自動車の転回広場が設けられている場合
  • ニ 幅員が6メートル以上の場合
  • ホ イからニまでに準ずる場合で、特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認めた場合

第2号 隅切り。 道が同一平面で交差し、若しくは接続し、又は屈曲する箇所は、角地の隅角を挟む辺の長さ2メートルの二等辺三角形の部分を道に含む隅切りを設けたものであること。交差・接続・屈曲でできる内角が120度以上の箇所は、括弧書きで除かれている。また、特定行政庁が周囲の状況によりやむを得ないと認めたり、その必要がないと認めたりすれば、隅切りを設けなくてよい(ただし書き)。

第3号 砂利敷その他ぬかるみとならない構造であること。

第4号 縦断勾配が12パーセント以下であり、かつ、階段状でないものであること。ただし、特定行政庁が周囲の状況から避難や通行の安全に支障がないと認めれば、この基準によらなくてよい(ただし書き)。

第5号 道及びこれに接する敷地内の排水に必要な側溝、街渠その他の施設を設けたものであること。

道の長さと幅。 建築基準法第42条第1項は、道路を幅員4メートル以上のものとしている(特定行政庁が指定する区域では6メートル)。幅が広く、延長が長いほど、舗装や側溝の量が増える。

行き止まりにするか、転回広場を設けるか。 第1号のとおり、行き止まりの道にできるかどうかは、延長(イ)、終端の接続先(ロ)、転回広場の有無(ハ)、幅員(ニ)などで分かれる。延長が35メートルを超える行き止まりの道で、ロ・ニ・ホのどれにも当たらなければ、終端と区間35メートル以内ごとに転回広場を設けることになる(ハ)。その分だけ工事が増え、道に取られる面積も増える。反対に、延長を35メートル以下に収めるか、幅員を6メートル以上にすれば、転回広場は要らない場合がある。ここでいう延長には、つないだ先の既存の袋路状道路(幅員6メートル未満)の分も入るので注意したい。

袋路状道路の延長35メートルの数え方と転回広場の位置の平面模式図。既存の袋路状道路15メートルと新しい道30メートルで延長45メートル、起点(他の道路との接続点)から20メートルの位置と終端に転回広場を置く例

隅切り。 隅切りを作る分の土地は、敷地として使えなくなる。工事費がかかるだけでなく、売れる面積も減る。条文は原則として隅切りを求めている(内角が120度以上の箇所や、特定行政庁が認めた場合を除く)。計画では、道が交わる・曲がる箇所の数だけ隅切りが要るものとして、区画の面積を見積もっておきたい。直角に交わる角なら、1か所で2平方メートルが道になる。

隅切りの図。直角に接続する箇所では2メートル×2メートルの二等辺三角形を道に含め、直角なら1か所2平方メートル。内角が120度以上のゆるい屈曲は除かれる

勾配と排水。 高低差のある土地だと、勾配の条件を満たすために造成が増える。排水は、道の外のどこへ流すかで、側溝などの規模が変わる。放流先は、計画の早い段階で窓口に確かめておきたい。

第1項の基準は、自治体の条例で変わることがある。地方公共団体は、気候・風土や土地の状況から必要なら、条例で区域を限って、第1項と異なる基準を定められる(第2項)。基準を緩める場合は、あらかじめ国土交通大臣の承認が要る(第3項)。

これは、第1号のただし書きのホや、第2号・第4号のただし書きにある特定行政庁の認定(個別の道について、周囲の状況を見て認める判断)とは別の話だ。前者は自治体が条例で区域に対して定める基準、後者は特定行政庁が個々の場面で行う判断だ。計画地が条例で基準を定めた区域に入っているかは、窓口で確かめる項目になる。

5. 関係権利者の承諾の取得:人数と応じやすさで時間が変わる

承諾の取得は、金額に直しにくい項目だ。施行規則第9条は、申請書に添える承諾書として、次の者のものを挙げている。

  • 指定を受けようとする道路の敷地となる土地の所有者
  • その土地、またはその土地にある建築物・工作物に関して権利を有する者
  • 当該道を施行令第144条の4第1項・第2項の基準に適合するように管理する者

条文は「権利を有する者」とだけ書いているので、どんな権利の持ち主が当たるのかは、個別の土地で申請先に確かめたい。承諾書が一通でも欠ければ、申請は進まないと考えたほうがいい。

承諾を取る手間と時間は、次のことで変わる。

  • 権利者の数が多いほど、承諾を取る手間が増える
  • 所有者が複数、あるいは遠方にいると、連絡と書類のやり取りに時間がかかる
  • 権利者が応じない場合、条件の調整や、道の取り方の見直しが必要になる

承諾をもらうのに謝礼などのお金がかかるかどうかは案件によるので、一般的な額は言えない。ただ、承諾集めが長引けば、その間の借入金の金利や土地を持っている費用がかさむ。仕入れの判断では、この期間も費用として見込んでおきたい。



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6. 分筆登記:道を別の土地として切り出す場合に出てくる

道にする部分を、元の土地から分けて登記するかどうかは、計画の作り方による。分けるのであれば、分筆登記の費用がかかる。施行規則第9条が申請書に添えるよう求めているのは図面と承諾書で、分筆の登記は挙がっていない。窓口の運用で分筆を求められるかどうかは、申請先で確かめたい。ここでは「分筆をするなら、この費用が加わる」という位置づけにとどめる。

分筆の費用は、分ける筆数、土地の形、境界の確認の状況で変わる。測量で得た成果を分筆にも使えることがあるので、測量・図面作成と分筆登記は、別々に見積もるより一体で見たほうが全体像がつかみやすい。分筆の手続と費用の考え方は、分筆登記の記事にまとめている。

7. 申請費用のほかに考えること:売れる面積と、完成後の税・維持費

申請の費用を考えるときは、請求書に載る項目を数えるだけでは足りない。

道に取られる面積。 道の幅と延長、隅切り、転回広場の分だけ、区画として使える土地が減る。区画を割る前に、道の分を除いた各区画の面積が最低敷地面積を割らないか、建てたい大きさの建物が建ぺい率・容積率の範囲に収まるかを、特定行政庁の窓口で確かめておきたい。

完成後の税。 完成した私道は、固定資産税の扱いが問題になる。地方税法第348条第2項第5号は、「公共の用に供する道路」に対しては固定資産税を課することができないと定めている(e-Gov法令検索で確認)。ただし、位置指定を受けたから自動的に非課税になるわけではない。非課税にするには、所有者が自治体に申告し、自治体が利用状況を見て認める流れになるのが一般的だ。手順や、どんな道を「公共の用に供する道路」と認めるかの基準は自治体ごとに違う(この記事では自治体の資料までは確かめていない。私道の固定資産税の記事で詳しく整理した)。

維持の費用。 位置指定道路は役所が補修してくれる道ではなく、舗装や側溝の補修は道の所有者が負担するのが基本だ。施行規則第9条は、申請書に、道を基準に適合するように管理する者の承諾書を添えるよう求めているので、申請の段階で管理する人を決めることになる。分譲する前に、補修費の分け方と道の持分の持たせ方も決めておきたい。持分と負担割合の考え方は私道の通行権・掘削承諾と持分・負担割合の記事にまとめている。

8. 仕入れ営業の視点:見積もりを頼む前に押さえること

専門家に見積もりを頼む前に、自分で確かめておくと話が早い項目をまとめておく。

  1. 計画地を管轄する特定行政庁と、その手数料の案内
  2. 自治体が条例で、施行令第144条の4と異なる基準を定めていないか
  3. 道の長さと幅、行き止まりになるかどうか
  4. 転回広場や隅切りが要るか(行き止まりの道にする場合、第1号のイ〜ホのどれに当たるか。隅切りが要る箇所の数と形も)
  5. 敷地内や周囲の高低差、排水の放流先
  6. 土地の所有者と、権利を有する者の洗い出し
  7. 境界がはっきりしているか(境界標、図面の有無)

1と2、それに4のうち特定行政庁の認定が要るかどうかは、役所で確かめる。3から5と7は測量・設計・工事の見積もりを左右し、6は承諾を集める手間と期間を左右する。



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よくある質問(FAQ)

Q. 位置指定道路の申請費用は、総額でいくらくらいですか。
A. この記事では総額や相場を示していません。費用は手数料、測量・図面、築造工事、承諾の取得、分筆登記などの合計で、道の長さ、地形、権利者の数によって大きく変わるためです。申請先の特定行政庁と、依頼予定の専門家に確認してください。

Q. 申請手数料はいくらですか。
A. 自治体ごとに違います。この記事では公式の資料を開いて確認できなかったため、金額は載せていません。計画地を管轄する特定行政庁の案内で確かめてください。

Q. 申請に必要な書類は何ですか。
A. 建築基準法施行規則第9条では、申請書正副二通に、附近見取図、地籍図、そして土地の所有者や権利を有する者、道を管理する者の承諾書を添えて提出すると定めています。自治体が独自に求める書類もあり得るので、窓口で確認してください。

Q. 道の基準は全国で同じですか。
A. 基本は全国共通で、施行令第144条の4第1項が定めています。ただし地方公共団体は、条例で区域を限って異なる基準を定められます(第2項)。基準を緩める場合は、国土交通大臣の承認が要ります(第3項)。計画地に条例の定めがあるかは、窓口で確かめてください。

まとめ

  • 道路位置指定の費用は一つの金額ではなく、手数料・測量と図面・築造工事・承諾の取得・分筆登記などの足し算
  • 申請手数料は自治体ごとに違う。この記事では金額を確認できていないため載せていない
  • 図面(附近見取図・地籍図)の手間は、延長・境界の状況・高低差・土地内の物件の多さで増える
  • 築造工事は、施行令第144条の4の基準(接続と転回広場・隅切り・構造・勾配・排水)と、区域を限った条例の基準で変わる
  • 承諾書は所有者・権利者・管理する者のものが必要。数と応じやすさで時間が変わる
  • 道に取られる面積(転回広場・隅切りを含む)の分、売れる面積が減る
  • 見積もりを頼む前に、役所で手数料と条例の基準を確かめ、手元で道の長さと幅、行き止まりにするか、権利者、境界の状態を洗い出しておく(8章の7項目)

出典・参考

  • e-Gov法令検索「建築基準法」第42条(編集部で条文を開いて確認、2026-10-31)
  • e-Gov法令検索「建築基準法施行令」第144条の4(同上)
  • e-Gov法令検索「建築基準法施行規則」第9条(同上)
  • e-Gov法令検索「地方税法」第348条第2項第5号(同上、2026-11-03に条文を再確認)
  • 施行令第144条の4・施行規則第9条・建築基準法第42条は、2026-11-03にe-Gov法令APIの原文で再確認
  • 申請手数料の額は、各自治体の条例・公式ページを編集部の環境から開けなかったため確認しておらず、本記事には金額を載せていない
  • 築造工事や測量・分筆の金額は、案件ごとに異なるため示していない
  • 本記事の実務論点は、一般的な典型例として編集部が整理したものであり、特定の実在案件・企業を示すものではありません

※本記事は一般的な解説記事です。個別の土地の申請可否・費用は、必ず申請先の特定行政庁、土地家屋調査士・建築士・測量士等の専門家にご確認ください。

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