結論から先に言うと
測量法では、測量業を営もうとする者は測量業者としての登録を受けなければならず、登録なしに測量業を営むことは禁じられています。登録の有効期間は5年で、続けるなら更新が要ります。登録の要件の柱の一つが、営業所ごとに測量士を1人以上置くことです。測量士補の資格は、この「置かなければならない人」の条件には入っていません。個人の資格の話と、会社の登録の話を分けて読むのがコツです。
測量士や測量士補が「人」の資格なのに対して、測量業者の登録は「会社や個人事業主」の登録だ。名前が似ているので混ざりやすいが、根拠になる条文の章も、登録先も、手続きもまったく別になっている。
この記事は、e-Gov法令検索の測量法・測量法施行令・測量法施行規則を実際に開いて、測量業者の登録について書かれていることだけを拾った。測量法全体の話は別の記事に任せて、ここでは業者登録に絞る。
本記事の情報について
条文は2026年10月31日に、e-Gov法令検索(法令API)から取得した測量法(昭和24年法律第188号)、測量法施行令(昭和24年政令第322号)、測量法施行規則(昭和24年建設省令第16号)を確認しています。登録に関する公開情報は、同日に国土交通省のページを確認しました。法令や運用は変わることがあるため、実際に手続きをする場合は最新の条文と、登録を受け付ける窓口の案内を確かめてください。
1. 登録が要るのは「測量業を営もうとする者」
測量法第55条第1項は、測量業を営もうとする者は、この法律の定めるところにより測量業者としての登録を受けなければならない、と定めている。そして第55条の14は、登録を受けない者は測量業を営むことができないと、もう一度念を押す形で書いている。
では「測量業」とは何か。第10条の2の定義はこうだ。
この法律において「測量業」とは、基本測量、公共測量又は基本測量及び公共測量以外の測量を請け負う営業をいう。
ポイントは「請け負う営業」であること。自分の土地を自分で測る、という話ではなく、測量を請け負うことを営業にする場合が対象になる。第59条には、委託などどんな名義であっても、報酬を得て測量の完成を目的として締結する契約は請負契約とみなし、その測量を行う営業は測量業とみなす、という規定もある。契約書の題名を変えれば登録が要らなくなる、という作りにはなっていない。
なお、条文上の「測量」「公共測量」「基本測量及び公共測量以外の測量」には、建物に関する測量その他の局地的測量や、小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを除く、という但し書きがある(第5条、第6条)。個別の仕事が登録の対象になる測量に当たるかどうかは、この政令の範囲の読み方に関わるので、この記事では判断しない。3区分そのものは公共測量とは?基本測量との違いと作業規程の準則で整理している。
2. 登録の要件と、申請書に書くこと
登録の「要件」は、条文の中で一か所にまとまっているわけではない。確認できたのは、次の三つの方向からだ。
営業所ごとに測量士を1人以上置く
第55条の13第1項は、測量業者はその営業所ごとに測量士を一人以上置かなければならない、と定める。第2項に例外があり、測量業者本人(法人の場合は役員のうちのいずれか)が測量士であるときは、その人が自ら主として業務を行う営業所には、この規定が適用されない。
ここで押さえたいのは、条文が求めているのが測量士であって、測量士補ではないことだ。測量士補だけの会社が、測量士補の人数をそろえれば足りる、という書き方にはなっていない。営業所の数え方も条文にあり、「営業所」は本店、支店、または政令で定めるこれに準ずるものとされ(第55条の2第2号)、施行令第7条は支店に準ずる営業所を「常時、測量の請負契約を締結する事務所」としている。
登録を拒否される場合に当たらないこと
国土交通大臣は、第55条の6第1項に挙がる者を、登録申請者であるときは登録を拒否しなければならない。確認できた項目は次のとおり。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 登録を取り消されて2年を経過しない者(一定の場合)
- 無登録営業の禁止に違反して刑に処せられ、2年を経過しない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなって5年を経過しない者
- 役員がこれらに該当する法人
- 暴力団員等が事業活動を支配する者
- 営業所について、測量士の設置の要件を欠く者
- 申請書や添付書類に重要な虚偽の記載がある、または重要な事実の記載が欠けている場合
営業所に測量士を置く要件を欠いていることは、登録の拒否理由にも入っている。測量士の設置は、登録の後にも守り続ける条件であり、登録を受ける前提でもある。
申請書に書くこと、添付する書類
登録申請書(第55条の2)の記載事項は、商号または名称、営業所の名称と所在地、法人なら資本金または出資の額と役員の氏名、個人ならその氏名、主として請け負う測量の種類(測量業以外の事業をしていればその種類)だ。
添付書類(第55条の3)には、営業経歴書と定款(法人の場合)、直前2年の各事業年度の測量実施金額の書面、直前1年の財務に関する書類、使用人数と営業所ごとの測量士・測量士補の人数を書いた書面、登録拒否の事由に当たらないことと測量士の設置要件を備えていることの誓約書面、が並ぶ。ここに測量士補の人数が出てくるが、あくまで人数の報告であり、置かなければならない人の条件は前節のとおり測量士だ。
3. 登録の申請先・有効期間・更新・手数料
申請先
法律上の登録主体は国土交通大臣だ(第55条の2)。実際の窓口は、施行規則第18条に、主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局長(北海道は北海道開発局長)に権限を委任すると書かれている。ただし、取消しや営業停止など一部の権限については、国土交通大臣が自ら行うことを妨げない、という但し書きがある。
書類は、正本1通と、営業所のある都道府県の数と同じ部数の写しを出す(施行規則第16条第1項)。写しが営業所のある都道府県の分だけ要るのは、法第55条の12第2項で、国土交通大臣が営業所の所在する都道府県の知事に書類を送ることになっているためだ。
有効期間と更新
登録の有効期間は5年(第55条第2項)で、期間の満了後も続けて営むなら、更新の登録を受けなければならない(同条第3項)。更新の申請の時期については、施行規則第11条が有効期間満了の日の90日前から30日前までの間に登録申請書を提出すると定めている。
更新の申請をしたのに、満了の日までに登録も拒否もされないときは、その処分があるまで従前の登録が有効なものとみなされる(第55条第4項)。逆に、有効期間の満了のときに更新の申請がなければ、国土交通大臣は登録を消除する(第55条の10第1項第2号)。
費用
新規に登録を受けるときは登録免許税、更新のときは登録手数料を納める(第55条の4)。手数料の額は施行令第8条で、15,500円(情報通信技術活用法に基づく電子情報処理組織で申請する場合は15,100円)とされている。新規の登録免許税の額は、登録免許税法に定めがあるもので、この記事では条文を開いていないので書かない。第55条の4第2項により、すでに測量士として登録されている人が新規に登録を受ける場合は、登録免許税ではなく実費を勘案した登録手数料のほうになる。
登録後に続く義務
登録したら終わりではない。確認できた範囲で挙げておく。
- 毎事業年度の終了から3か月以内に、営業経歴書と財務に関する書類を提出する(第55条の8第1項)
- 登録事項(商号、営業所、役員、主として請け負う測量の種類など)に変更があれば、遅滞なく変更登録を申請する(第55条の7)
- 廃業や解散などのときは、その日から30日以内に届け出る(第55条の9第1項)
- 店舗ごとに、国土交通省令で定める標識を掲げる(第56条の5)
4. 登録しないで営んだ場合
無登録で測量業を営んだ者について、第61条の2第1号は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定めている。不正の手段で登録を受けた者や、営業停止の処分に違反して営んだ者も同じ条に並んでいる。
さらに第65条は、法人の代表者や代理人、使用人その他の従業者が、その法人や人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人や人にも罰金刑を科すと定める。会社の業務としてやったことは、個人だけの責任では終わらない、という読み方になる。
もう一つ見ておきたいのは、下請けの規定だ。第56条の3は、測量業者は請け負った測量(第4条から第6条までに規定する測量)を、測量業者以外の者に請け負わせてはならない、としている。登録を受けた業者に仕事を出すかどうかは、発注側だけでなく受注側の登録業者にとっても、条文上の問題になる。
5. 測量士・測量士補の資格との関係
整理すると、二つの登録は次のように別物だ。
| 測量士・測量士補の登録 | 測量業者の登録 | |
|---|---|---|
| 登録される対象 | 資格を持つ個人 | 測量業を営む会社・個人事業主 |
| 根拠 | 第49条(測量士名簿・測量士補名簿) | 第55条以下 |
| 登録の窓口 | 国土地理院の長 | 国土交通大臣(実際は地方整備局長等に委任) |
| 有効期間 | 条文上の期限の定めは確認していない | 5年、更新あり |
資格者の登録は、国土地理院に備える名簿への登録で(第49条)、手続きは測量士補の登録手続きで別に整理している。
業者登録と資格の関係は、条文で見ると次の二点になる。一つは、測量業者は営業所ごとに測量士を置かなければならないこと。もう一つは、第48条第1項で、基本測量または公共測量に技術者として従事する者は、登録された測量士または測量士補でなければならないとされていることだ。第48条は業者の登録の話ではなく、あくまで技術者の条件なので、この二つは別の規定として読む。
だから、測量士補の資格を取っただけで測量業を始められるわけではない。逆に、測量士になるには測量士補の資格とは別のルートがあり、その整理は測量士補から測量士になるにはにまとめてある。なお、開業後の収入や、業界での見込みについては、この記事では扱わない。
6. 登録されている測量業者の調べ方
登録の情報は、条文上、公衆の閲覧に供されることになっている。第55条の12は、国土交通大臣または都道府県知事が、登録簿と第55条の3の書類、変更登録の書類、毎事業年度の提出書類を、政令で定めるところにより公衆の閲覧に供しなければならない、と定め、施行令第9条が閲覧所を設けることを求めている。
実際に調べる方法として、国土交通省のウェブサイトでは次の二つが確認できた。
- オンラインで調べる:国土交通省の「建設関連業の登録業者に関する情報提供システム」。測量業者のExcelファイルが公開されていて、商号又は名称、所在地、登録番号などで検索できる。登録番号、登録年月日、資本金、測量の種類、営業所の情報、使用人数などが見られる。
- 書面で確かめる:本店所在地を管轄する地方整備局(北海道は北海道開発局、沖縄は沖縄総合事務局)、または、その都道府県に営業所がある業者の分に限って都道府県庁で、提出された書類を閲覧できる。
使うときの注意が二つある。一つは、オンラインの情報は登録時の書面から一部を抜粋した簡易確認用であること。もう一つは、更新が月1回程度で、必ずしも最新のデータとは限らないことだ。ページには、正式な登録内容を確認したいときは、各地方整備局等で書面を閲覧するよう書かれている。取引先として確かめたい、というような用途でも、「簡易に見つけて、正式な内容は書面で」という二段構えになる。
よくある質問
Q. 測量士補の資格だけで測量業の登録を受けられますか?
A. 条文が営業所に置くことを求めているのは測量士です(第55条の13)。測量士補だけでは、この要件は満たせません。
Q. 登録の有効期間はどのくらいですか?
A. 5年です(第55条第2項)。続けて営むなら更新が必要で、施行規則第11条は、満了の日の90日前から30日前までの間に申請書を出すと定めています。
Q. 登録なしで測量業を営むとどうなりますか?
A. 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(第61条の2第1号)。法人の業務に関する違反では、法人にも罰金刑が科されます(第65条)。
Q. 登録の窓口はどこですか?
A. 登録主体は国土交通大臣で、施行規則第18条により、主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局長(北海道は北海道開発局長)に権限が委任されています。
Q. 登録されている業者を調べるには?
A. 国土交通省の「建設関連業の登録業者に関する情報提供システム」で、測量業者のExcelファイルから検索できます。正式な内容は、地方整備局等での書面の閲覧で確かめます。
まとめ
- 測量業を営もうとする者は、測量業者の登録が必要。登録なしでは営めない(第55条第1項、第55条の14)
- 「測量業」は、測量を請け負う営業。報酬を得て測量の完成を目的とする契約は請負とみなされる(第10条の2、第59条)
- 営業所ごとに測量士を1人以上置く。置くのは測量士で、測量士補ではない(第55条の13)
- 有効期間は5年。更新の申請は満了の90日前から30日前まで(第55条、施行規則第11条)
- 無登録営業は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第61条の2)
- 登録業者は、国土交通省の情報提供システムで簡易に調べられ、正式な内容は地方整備局等で閲覧する
測量法全体の目的や罰則の全体像は、測量法とは?目的・測量の3区分・測量士と測量士補の資格・測量業者の登録・罰則を条文で整理で扱っている。
出典・参考
- e-Gov法令検索「測量法」(昭和24年法律第188号)第10条の2、第48条、第49条、第55条〜第57条、第59条、第61条の2、第65条(2026年10月31日取得)
- e-Gov法令検索「測量法施行令」(昭和24年政令第322号)第7条〜第9条(同日取得)
- e-Gov法令検索「測量法施行規則」(昭和24年建設省令第16号)第11条、第12条、第16条、第18条(同日取得)
- 国土交通省「建設関連業の登録業者に関する情報提供システム」のページ https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000059.html (同日・2026-11-01 に本文を取得して確認。掲載情報の最終更新は2026年10月2日と表示)
- 国土交通省「登録を受けている測量業者が提出を義務付けられている書類」のページ https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000022.html (同日・2026-11-01 に本文を取得して確認)
※本記事は条文の内容を一般向けに整理したもので、個別の事業の登録の要否や手続きの判断を行うものではありません。登録の申請や変更は、最新の条文と窓口の案内に沿って進めてください。




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